東海村は、茨城県の中央部に位置し、半径4kmほどのエリアに人口約38,000人が暮らしています。住みやすい街づくりや他県からの移住にも力を入れており、東海村の住民の利便性向上および行政職員の働き方改革のため、DX(デジタルトランスフォーメーション)に積極的に取り組んでいます。本インタビューでは、東海村の総合戦略部・地域戦略課においてデジタル化や働き方改革の推進に携わっておられる藤田様に、「せきなび」を導入された背景や運用面の工夫、導入後のご感想を伺いました。(2024年4月)
導入サービス | 「せきなび」 |
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課題 | ・デジタル化構想に基づき、ABWを取り入れたオフィス改革に挑戦することに ・モデルオフィスでフリーアドレスを導入し、新しい働き方の実証を開始 ・テレワークなども含め、職員の所在がわかりづらい状況が想定された |
運用 | ・無償トライアル実施後、総合戦略部全体の30数名で運用を開始 ・閲覧用URLを全庁に共有し、モデルオフィス以外の職員も閲覧可能に ・毎朝自動で起動する電子黒板を設置し、「せきなび」の画面を表示 |
効果 | ・庁内勤務、在宅勤務、出張、休暇なども含めて所在がわかるように ・「せきなび」から内線番号一覧を開けることで、全職員の利便性がアップ ・新しい働き方のための実証に役立てられている |
藤田様 私が所属する総合戦略部では、2020年11月に策定された『とうかい“まるごと”デジタル化構想』に基づき、「行政手続きのデジタル化による住民の利便性向上」、「働き方改革による職員の生産性向上」、「住民へのデジタル対応支援」という3つを柱に、「新しい役場への転換」に向けた取り組みを進めています。
急速に変化する社会で付加価値の高い行政サービスを提供し続けるためには、そこで働く職員の働き方を、多様で自律的なものに変換していく必要があります。そこで、職員が「いつでも」「どこでも」「誰とでも」仕事ができ、生産性の高い働き方ができるABW(※)を実現するために、令和6年度中に「東海村オフィス改革プラン」を策定して、全庁のオフィス改革に挑戦することにしました。
※ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)…仕事内容に合わせて、その時々で働く場所を自由に選択する働き方。
藤田様 全庁オフィス改革に先駆けたモデルオフィスとして、まずは私が所属する総合戦略部の執務エリアをフリーアドレス化して、「職員の新しい働き方」の実証を開始しました。一つの課であれば、誰がどこにいるのかは口頭や感覚でわかる範囲に収まりますが、全体に拡大する際には、「誰がどこに座っているかわからない」状態と、それによって生じるさまざま課題が想定されたので、それを解消するためのツールが必要だと考えました。
藤田様 2023年7月に開催されたDX推進関連のEXPOでオンラインセミナーを視聴する機会があり、そこで「せきなび」を知ったのですが、画面が見やすく、UIが使いやすそうな印象を持ちました。最初はモデルオフィスに導入するとしても、いずれ全庁に展開することを考えると、デジタルに強い担当者だけではなく色々な職員が使うことになります。わかりやすくて直感的に操作できるツールを入れたいと考えていたので、その点「せきなび」はピッタリでした。オンラインでサービスの説明を受けた時は、機能の説明だけではなく、労働生産性上位国は在席管理ツールの活用率が高い傾向にあることや、居場所がわかることは職員の心理的安全性を高めることに繫がるといった、働き方改革を進める上でのツールの重要性も伝えてくれたことが好印象でした。
藤田様 私が所属する総合戦略部がフリーアドレスになるタイミングに合わせて、約30名でトライアルを開始したのですが、トライアルを実施すると決めてからスタートまでの手続きがとても簡単で、かつスピーディーでした。担当の方が常に付きっきりで対応してくれているのではと思うくらい細かくサポートしてくれて、トライアル開始時に説明会も実施してもらったことで、トラブルもなく非常にスムーズに実施できました。
藤田様 本庁の場合は、職員に配布されているパソコンがLGWAN(総合行政ネットワーク)の端末ではなくインターネット端末なので問題ありませんでした。
「せきなび」はインターネット上でログインすれば使えるので、PCにソフトのダウンロードが必要なシステムよりもむしろ導入しやすかったです。
藤田様 有償で体験できるツールもありましたが、そちらは試していません。「せきなび」は無償でトライアルができるので、ハードルが低く試しやすかったです。私たちが在席管理ツールを使うのは初めてでしたが、必要な機能は「せきなび」に揃っていまたし、ツールの使用感や必要性も十分に確認することができました。
なにより、本契約ではないトライアルの段階から、担当の方のサポートが本当に素晴らしかった。カスタマーサポートは企業でも自治体でも大事なものだと思いますが、こちらからの問い合わせにすぐ対応してくれて、いつも親身になって相談に乗ってくれました。このサポートのスピード感、手厚さ、正確さは本当にありがたかく、私が「せきなび」を導入してよかったと実感している大きな理由でもあります。
藤田様 総合戦略部には、私の属する地域戦略課と政策推進課という2つの課があるのですが、この2つを合わせた30名ほどで使用している執務エリアが「せきなび」の対象となっています。アカウントを発行して利用しているのはこの30数名ですが、全庁に「せきなび」の閲覧用URLを案内しているので、全職員が見られるようになっています。以前は3つほど閲覧専用のアカウントを作ってログインしてもらっていましたが、閲覧用URLを利用することでログイン不要になったので、更に見やすくなったのではないかと思います。
藤田様 固定席は、総合戦略部では完全に廃止しており、出勤時には「前日とは違う席に座る」というルールでフリーアドレスを運用しているので、毎日座る場所が変わります。執務エリアには会議室や集中エリア、来客スペースなどいくつかのブースがありますが、「せきなび」があることで、誰がどこにいるのかわかるようになっています。
働き方で言うと、時差出勤(分散出勤)やテレワーク制度もあり、職員一人ひとりがその時々の状況に合わせて働き方を選択していますが、それらも含めて「せきなび」で状況を把握することができています。
藤田様 私たちの課は職員間でたくさんコミュニケーションを取るので、移動は確かに多いですね。自治体のオフィスと言うと、事務机が横一列に並んだ島型のレイアウトが一般的なイメージだと思いますが、その頃からコミュニケーションは活発でした。オフィスが今の形になってからは、以前よりも更にコミュニケーションを取りながら仕事がしやすくなりました。「今日はちょっとあの人と話したいことがあるから、近くに座ろう」といったこともできますし、フリーアドレスと「せきなび」が上手く機能していると思います。
藤田様 全庁がまったく同じ形である必要はなく、たとえば住民の方がよく来られる窓口階だとか、島型のレイアウトの方が仕事をしやすいという場合もあると思います。全庁に展開する際は、それぞれの場所と業務に合わせた最適なフリーアドレスの形を取ることがベストですが、その観点でも、「せきなび」はレイアウトの画像を変えればすぐに反映できるところが使いやすい点の一つですね。現在の総合戦略部だけでも、モデルオフィスということでレイアウトを変更する回数が多いのですが、「せきなび」への反映は画像を差し替えるだけで済むので、とても助かっています。
藤田様 テレワークや出張、休暇の時にアイコンを配置する場所を、オフィスのレイアウトの隣に作成してもらいました。座席表内にアイコンがなくても、探している職員の状況が一目でわかるようになっているのが工夫した点です。それから、アイコンの名前の上部分には、職員に配布されているスマートフォンの内線番号を登録しています。全庁の職員の内線一覧表に「せきなび」からアクセスできるようにしているので、「せきなび」を開いていれば、庁内外を含めたどの職員にもすぐに電話をかけられるということで、喜ばれています。
藤田様 基本的な運用ルールとしては、変更があった場合は必ず入力する、目安として3時間以上離席する時は、その場所をきちんと片付けてから離席し、アイコンのステータスも退席に変更する、といったことを決めています。ルールをコンパクトにまとめた資料も作っていて、定期的に案内をし続けることで「せきなび」の入力を徹底できるように取り組んでいます。
あとは席の予約機能も使えるのですが、常に予約OKにしてしまうと同じ席を使いがちになってしまうので、予約は本当に必要なときだけ使ってくださいという風にしています。
藤田様 現時点では数名しか入れていないのですが、「担当業務」や「得意なこと」「ひと言」などの項目を用意しています。元々グループウェアがあり、そちらの方に顔写真やプロフィールは登録してあるので、「せきなび」にも入れると二重になってしまうのは、今後工夫していきたいと思っている点です。
藤田様 まず「使いやすい」という反応が一番でした。「誰がどこにいるかわかる」という当初の目的はクリアしていますし、入力するかどうかは個々の職員次第にはなりますが、徐々に慣れながら、ステータスを変えたりしてくれるようになってきています。他の課についても、導入当初は「せきなび」を確認せずに電話がかかってくることも多かったのですが、庁内で「せきなび」の名前が浸透するにつれて、状況(在席・不在など)を事前に確認する職員が増えてきました。もし「せきなび」がなければ、余計な手間が増えて不満に繋がっていたかも知れません。
藤田様 やはり導入直後は慣れていないので、朝出勤した際に「せきなび」で在席状況を登録するのをうっかり忘れてしまう職員が続出しました。そこで、課に一台ある電子黒板を毎朝自動で立ち上がるようにして、「せきなび」を表示するようにしました。自分のパソコンを起動する前に「せきなび」の画面が目に入るので、まず「せきなび」を見て、空席状況を確認してから座る席を決めるという習慣ができました。タッチ操作ができる電子黒板なので、その日座る席にアイコンを動かしてから席に移動することができ、使いたい席が被ってしまうということも防げています。
藤田様 モデルオフィスがフリーアドレスに変わるタイミングで「せきなび」を入れたので、同じ状況で導入前後の比較というのはできないのですが、もし「せきなび」がなかったら大変だったろうなということは想像できます。今では「せきなび」という言葉が庁内でも一般化して、他課の職員から電話をもらった時に『「せきなび」を見たら会議中だったので』と言われるなど、だいぶ浸透してきたことを実感しています。
デジタル化構想においても、モデルオフィスで実証した新しい働き方を全庁に展開するために、どういうツールが必要で、最低限どのような機能がなければならないか、さまざまなことを限られた期間で検証しなければなりません。そういった状況で、無償トライアルも含めて「せきなび」というツールを長期間利用し続けられたことは、非常に役立っていますし、助かっています。
藤田様 本村では数年以内に全庁オフィス改革を完了させる予定なので、フリーアドレス・グループアドレスを取り入れる場所も増えてきているのですが、新しい働き方、ABWを実現するためには、こういったツールの活用は必要不可欠になります。現在はモデルオフィスという限られた範囲内で「せきなび」を運用していますが、今後の全庁展開も見据えて、担当の方にもお力を借りながら活用の幅を広げていけたらと考えています。
藤田様 「せきなび」というツールの良いところとしては、機能がシンプルで使いやすいUIと、導入のハードルが低いということはもちろんあるのですが、何より、非常に高いサポート力。ここを一番に挙げたいです。私は東海村の職員として働く前に民間企業も経験しているのですが、アスマークさんのレスポンスの早さやサポート力は本当に素晴らしいです。
在席管理ツールという、今の時代ならではの新しいサービス自体が初めてという企業や自治体も多いと思います。そういう方にとっては、カスタマーサポートが充実していると、導入までの不安や質問にも丁寧に向き合って応えてもらえるし、導入した後の担当者の負担も少なく済みます。ネットで色々なツールを比較して悩み続けるよりも、まずトライアルで試すなどして、操作性やサポート力を実感してみてはいかがでしょうか。
お話しいただき、ありがとうございました!