株式会社JOE(ジェイ・オー・イー)は、給与計算システムを軸に人事業務のBPOサービスを展開するIT企業です。制度の見直しや新たな取り組みを進める中で、「それが本当に従業員のためになっているのか」を検証する仕組みの必要性を感じていました。
同社は、「ASQ」を活用し、分析結果・施策提言をもとに具体的な施策を実行。さらに経年比較によってその有効性を検証し、見直しを重ねています。1度きりの調査・分析で終わらせない、JOEの組織改善の取り組みについてお話を伺いました。(2026年1月)
| 導入サービス | 「ASQ」 |
|---|---|
| 課題 | ・制度の整備が、従業員にどう受け止められているのか把握したい ・組織拡大に伴い、施策が響いているかどうかを検証する仕組みが必要だった |
| 運用 | ・全社員を対象に実施 ・経営会議・部門長へフィードバックし、施策立案に活用 ・施策提言をもとに優先順位を整理 |
| 継続理由 | ・プロによる多角的な分析や経年比較で、施策の効果を客観的に検証できるため ・単なる数値報告ではなく、背景分析と仮説提示も得られるため |
| 効果 | ・賞与制度の見直しや処遇改善など、具体的な制度改革を実行 ・教育制度や会社への信頼性スコアに改善傾向がみられた ・「安心して働ける職場づくり」を軸とした施策の明確化 |
武田様 親会社では満足度調査を実施していましたが、その調査対象に当社は含まれていませんでした。そのため、JOEの社員が何を感じているのか、満足しているのかどうかを確認する術がありませんでした。
宮部様 ここ数年で、当社も新しい制度を導入したり、見直しを行ったりしてきました。
ただ、それが社員の満足度とどう関係しているのかまでは確認できていない状態でした。新しい制度や取り組みが社員にとって意味のあるものになっているのか、その相関関係を把握するために調査を始めました。
武田様 時代とともに新しい制度を作ったり、変更したりしていく過程で、従業員がどう受け止めているのか、会社が打ち出す制度にどう反応してくれているのか、相関関係が分からない。一方通行の制度運用になっていないかを確認する必要がありました。
武田様 私が入社した15年前は従業員数が80人ほどで、社長が話をすれば、全員が目の前で聞いて理解することができました。今は会社の規模も大きくなり、従業員数は約340人、仙台や大阪にも拠点があり、同じ方法では限界があります。
会社の経営理念に、「従業員と会社が共に成長する」という言葉があるのですが、それをどう実現していくのか。会社の規模が大きくなるにつれて、「きちんと社員の声を拾っていかないと、響く施策が打てないのでは」という思いもありました。

宮部様 実は、利用している人事システムの一つにアンケート機能が使えるものがありました。 ただ、ES調査を実施したあとの「分析」や「データの考察」まで行うには、社内の力や知識だけでは足りないのではという不安があり、調査を専門にしている外部に委託したいと考えました。
親会社からの紹介で「ASQ」を知り、多角的な側面から分析してくれるというところに惹かれました。他社のサービスも検討はしましたが、当社とは異なる分野の業種に強みがある印象だったため、幅広いデータを持っている「ASQ」の方が、業界比較ができることも含めて当社に合っていると感じました。
武田様 いただいたレポートを使って、経営会議に必ず報告をしています。
細かいところは省略しますが、「どういう傾向があるのか」と、経年でどう変化しているのかも含めて共有しています。
例えば、「人材教育制度に対する評価が、どう推移しているのか」といった部分を整理して、サマリーとして報告したあとに、「人事は来年度にこういう施策を打ちます」とつなげています。
武田様 各所属長にフィードバックを行っています。
部門ごとの傾向もあるので、部門の施策を考えてもらうにあたって、分析結果から必要な部分を切り取って各部に展開をしています。
実際の流れとしては、ベースとなる全社方針と行動計画があり、各部門長も部門ごとの行動計画を立てています。全社方針に紐づく各部の方針を1月後半から3月頃にかけて作成するのですが、来期は自分の部署で何をすべきかを考えるうえで、「ASQ」のデータが非常によい材料になっていると思いますし、私たちからも「分析結果を施策に反映してほしい」とフィードバックの際に伝えています。
武田様 そうですね。従業員の状態や職場環境を把握するために、主に3つの取り組みがあるのですが、まず1つはこのES調査。それから、親会社が実施しているコンプライアンスアンケートと、ストレスチェックも行っています。
ES調査は、部門の状況を知るための“通信簿”のような役割があり、これをフィードバックすることで、各部門が進むべき道をより明確にできるのではないかと思っています。
武田様 ESの結果を渡す際に、人事がどこまで踏み込んでコミュニケーションを取るかというのはこれからの検討課題ですが、分析結果をどのように受け止めて行動計画に反映するかは、各部門長に委ねています。
人事からのトップダウンで決まる施策もありますが、各部門のオリジナリティも大事にしたい。研修や教育についても、部門長の裁量がかなりあります。
たとえば、当社は給与計算を軸に事業を行っていて、東京・大阪・仙台に拠点があります。給与計算に関わっている社員だけでも約100人いますが、1つの部署ではなく5つほどに分かれており、それぞれ専門性も違いますし、置かれている状況も課題も異なります。
ですから、「ASQ」の分析で部門ごとに強みや弱みが見えることは、非常に重要です。
宮部様 昨年の結果では、教育制度や処遇に関する部分に注目しました。
教育制度については、研修体系をより整備する必要性があること、メンター制度の導入などです。処遇の面では、役職定年の廃止や、ベア(賃上げ)の実施、賞与制度の見直しも行いました。
また、子育て世代も多いので、託児補給金の制度を導入したことも最近の取り組みの一つです。
武田様 最も大きいのは、賞与制度の見直しです。賞与は業績連動型が一般的ですが、「業績に関わらず安定して支給する」という方針を打ち出しました。
最低限の安定を示すことで、従業員にとっては大きな安心感につながるのではないかと考えました。
処遇面については、不満があるからといって、「では給料を上げます」と、そう簡単にはいかないものです。ただ、データとしてはそこが顕著に表れていたことと、時代の流れとして物価高騰も続いています。「安定感」を求める従業員が増えていることも調査を通じて分かってきていたので、ベア(賃上げ)や賞与制度の見直しに踏み切ることができました。
武田様 最近、人事の中でよく出てくるキーワードが「安心して働ける職場づくり」です。
例えば、セクハラ・パワハラなどのハラスメントがない職場ということもその一つですし、処遇の安定や、自分の働きがきちんと評価されるという人事評価への納得度もそうです。
福利厚生も含めて、「安心して働ける環境を整えること」が、離職を防止するうえでも重要だと考えています。
宮部様 やはり、経年比較ができるところが、継続して利用している大きな理由です。
分析結果も細かく、「何に満足しているのか(満足していないのか)」が、目に見えて分かるところがとても良いですね。次の施策を考える際にも、判断材料が揃っているので、過去の結果も踏まえながら次の一手を検討することができます。
武田様 当社が特に良いと感じるのは、「分析項目」と「データの解釈」です。
組織の課題というのは、必ずしも会社側だけに原因があるとは限らず、個人要因も当然あります。「ASQ」のレポートは、その両側面から分析されている印象がありました。
さらに、上がってくるレポートを「どう読み解くか」が課題となりがちですが、「ASQ」では報告会もあり他社での傾向から「こう解釈できるのでは」といった気づきやアドバイスをいただけます。その分析の枠組みや切り口が、我々がやろうとしていることと非常にマッチしていますね。
宮部様 はい、非常に助かっています。私たちは、自社の中でしかケースを取ることができません。
施策検討にあたり、「こういう傾向がみられる場合は、このような取り組みが考えられます」といった取り組み事例を教えていただけることや、多くの企業を見てきた立場からのアドバイスは、やはり参考になりますね。

宮部様 まだ3年目ということもありますので、今後データが蓄積されていくことで、よりはっきりした傾向が見えてくるのではと思います。
今年度の結果でいうと、教育制度に関する項目や、会社への信頼性に関する項目が昨年よりも数値として上がっていました。実際に取り組んできたことが、一定の評価につながっているのではと感じています。
宮部様 先ほど武田が申し上げたとおり、「安心して働ける会社」であってほしい。その土台づくりを人事部として作っていきたいという思いが強くあります。
そのためには従業員の声を聞く必要がありますが、社内で直接会話をしていても、すべての声を拾いきれるわけではありません。
アンケートという形で、数値として可視化し、客観的なデータから材料を拾える点が、「ASQ」を利用して非常に助かっているところです。
武田様 ひと言で表現すると、「ただのアンケートではない」という点ですね。
数字をただ並べるだけでは、人によって解釈が異なりますし、どの解釈が合っているかどうかも分かりません。
「従業員がこう思っています」「こういう数値になっています」という結果だけではなく、多くの企業を見てきた人事コンサルティング的な立場から、「この数値の背景には、もしかしたらこういう要因があるのでは」という仮説を立てたり、「この傾向が出ている場合、一般的にはこういうケースが多い」といった視点を示してもらえたりします。
その気づきやアドバイスこそが、当社にとっては大きな付加価値だと思っています。
「はい、これが通信簿です」で終わるのではなく、それをどう読み解き、どう解釈すべきか、というアドバイスまでもらえるところに、非常に期待しています。
お話しいただき、ありがとうございました!