マルホ株式会社は、皮膚科学を専門として薬品の研究・開発や生産を行う製薬企業です。同社の研究開発の拠点である京都R&Dセンターにおいて、管理部門として働き方改革プロジェクトの実行にあたっておられる伊藤様と、研究開発全般のシステムを取り扱う情報システム部の緒方様に、「せきなび」導入の背景や運用状況、導入後のご感想を伺いました。(2023年8月)
導入サービス | 「せきなび」 |
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課題 | ・フリーアドレス化で「誰がどこにいるか」「隣の席は誰か」がわからない状態に ・コミュニケーション活性化のため、席の予約機能がないシステムを探していた |
運用 | ・オフィス改修のメンバー数名でトライアルを実施後、150名で導入 ・席に置く「自己紹介カード」と「せきなび」のプロフィール機能を併用して活用 ・システム部門など管理側の対応は最小限で、手離れよく運用中 |
効果 | ・誰がどこにいるか、すぐ確認できるようになった ・機能やステータスをシンプルにしたことで、スムーズに定着した ・更なるコミュニケーション活性のため、社内からもアイデアが寄せられるように |
伊藤様 当社の全社的な動きとして「新たな働き方検討プロジェクト」というものを進めており、その施策の一つである「オフィス環境整備パイロットタスク」の中で、この京都R&Dセンターの1フロアが対象として選定されました。昨年5月にオフィスのレイアウト改修を行い、フリーアドレス制が導入されたのですが、1フロアに150名が働いているので、「誰がどこにいるかわからない」「どの席が空いているかわからない」といった声が寄せられるようになりました。そこで在席管理システムの導入を検討し始めました。
伊藤様 まずはインターネットで情報収集を行い、たくさんの在席管理システムを比較しました。選ぶ基準としては、使いやすくてシンプルなもの、それから席の予約機能が付いていないものを探しました。数社まで絞り込んだタイミングで名古屋の展示会があり、Humapのブースで「せきなび」の仕様など、詳しいお話を聞かせてもらいました。
伊藤様 予約ができてしまうと、結局は「席の固定化」に繫がってしまうのではないかという懸念がありました。フリーアドレス化は社員同士のコミュニケーションの活性化を目的としているので、予約機能は活性化の妨げになる可能性があります。「席は日ごとに変えましょう」というルールがあり、誰もが平等にその日の席を選んで座るというスタイルで運用していましたので、予約機能は必要ないという判断になりました。
それから、今は色々な会社から在席管理システムが出ていますが、当社にマッチするのは、システム系から発展したものよりも人事系の、HRの観点から作られたものの方ではないかと考えました。単に座席を管理するだけのシステムではなく、自己紹介が充実しているなど、コミュニケーションの活性化にも繋がるようなツールを求めていました。
伊藤様 本格的に導入する際は対象者全員に案内をしましたが、トライアル時には説明会等は行いませんでした。システム導入を検討する前から、社員がExcelとFormsを使ってハンドメイドで同様のツールを作り運用していましたので、在席管理システムとはどういったものかということは皆理解していました。まずはスモールスタートで、レイアウト改修を担当していたメンバーに参加してもらい、「せきなび」以外も含めた数社のトライアルをして感想を聞きました。
伊藤様 特に使いづらさや困ったことが起きることもなく、トライアルに参加したユーザーと管理者、どちらにとってもスムーズに進めることができました。何社か試してみて、「レイアウトは自分達で作ってください」というところが多かったのですが、「せきなび」はオフィスの図面をお渡ししたらすぐに作成してもらえたので、とても助かりました。
緒方様 新しいシステムの導入を検討する際に、機能が豊富だと、その分「何をしよう、どんな風に使おう」という妄想だけが膨らんで、本質がおろそかになってしまうということが起こりがちです。その点「せきなび」は、当社が必要とする機能は備えつつ、そういった余分なことを考える余地はスパッと排除できるシステムです。機能がシンプルな分、特に不満もなく「使いやすい」という感想をもらいました。
緒方様 これまで様々なシステムを入れて使ってきた経験として、総務系も情報システム部も、運用保守の部分で多大なコストを使うことが多い傾向にありましたが、「せきなび」なら管理側の工数を大きく削減できそうな印象を持ちました。それからユーザー側も、画面がシンプルで直感的に操作できるので、パソコンを使える人であれば誰でも簡単に使えるだろうと。そこは大きなポイントだったと思います。
伊藤様 1フロアの約150名で利用しています。当社はフレックスタイム制でリモートワークも導入していますが、研究開発の拠点として実験など行う研究員が多数在籍していますので、出社率は7割前後と高めです。
伊藤様 レイアウトに関しては、一画面で見やすく作っていただけたことと、座席の部分に席番号も入れてもらったことが良かったと思っています。「せきなび」を導入する以前から「何番にいます」という風に座席を番号で呼んでいたので、同じように番号を掲載した方がスムーズに移行できるだろうと考えました。
ステータスは始めに10種類ほど用意していただきましたが、頻繁に変更することはかえって負担になるかも知れないので、「出社」「リモート」「退社・未出社」、この3つに絞って運用しています。まずは少ない状態で開始して、運用に慣れて「こういうステータスも欲しい」という要望が出てきたら増やそうと考えていたのですが、現状そういった要望は出ていません。
伊藤様 その他にスムーズに使ってもらうための工夫としては、「せきなび」を利用する対象者全員へ事前案内をする際に、当社独自のマニュアルを作成して添付しました。それから、ついうっかり登録を忘れてしまう人のために、運用促進のメールも(カスタマーサクセス担当者から)配信してもらいました。まずは全員がしっかりアカウント登録を完了できるように、何度かリマインドも行いました。
伊藤様 「せきなび」を選んだ決め手の一つが、充実したプロフィール欄でしたので、さまざまな情報を登録して使っています。コミュニケーションを活性化する目的で固定席をフリーアドレスにしたのですが、1フロアに150名もいますから、隣に座っているのがどんな人かわからないことも多いです。そこで、A6サイズぐらいの「自己紹介カード」を用意して、その日使用する席に立ててもらうようにしました。カードに載せている情報と同じものを「せきなび」のプロフィールにも登録しているので、どちらでも確認できるようになっています。
伊藤様 まずは所属している「部署」、「業務歴」、「地域歴(出身)」、それから趣味などの「好きなこと」、「好きな言葉」です。また、「せきなび」に登録するにあたって新たに「マイブーム」と「ひと言」も追加しました。業務歴や地域歴のような変化の出にくい情報以外に、その時々で内容を変えられるような項目もあると自己アピールになるのでは、という提案を受けて採用したものです。ただ、新しい項目や顔写真のところはまだ入れていない人もいますので、ここの周知や活性化は今後の課題だと思っています。
伊藤様 トライアルの時もそうでしたが、不満や要望といった反応が特に寄せられていないことが、問題なく順調に利用できている証拠だと捉えています。開始直後は、一部アカウント登録やログインのところで躓いてしまった人もいましたが、それ以降は特に問題も起きていません。「誰がどこにいるかわからない」という課題も、狙い通り解消できたのではと思います。
先ほどお話した自己紹介カードとプロフィール情報のところは、内容をさらに充実させて、コミュニケーション活性化の鍵にしたいという期待を社内から寄せられていますので、進めていきたいと考えています。たとえば、いつも同じようなメンバーで固まってしまわないように、「出身地」などの項目を使って「今日、このエリアは『○○繋がり』の人で座りましょう」という風にして変化をつけてみたり。そういったユニークなアイデアも出てきています。
伊藤様 今年の9月にリニューアル予定で改修を進めているフロアがもう1つありまして、同じくフリーアドレスになる予定ですので、そちらでも「せきなび」を導入したいと考えています。
緒方様 現在は1フロアで見通しが良いので、「せきなび」を見ればすぐに探せますが、フロアが複数になると、また違った意見や課題が挙がってくるかも知れません。違うフロアにいても所在がわかるとか、本来の在席管理システムとしての役割をどう機能させていくのか、ご相談しながら検討していければと思います。
伊藤様 これから改修するフロアは、研究開発のために出社率が高い研究員ではなく、デスクワークや外勤の多い部署が入っていますので、働き方やカルチャーの違いも含めて、「せきなび」の使い方を工夫して活用していきたいですね。
伊藤様 非常にシンプルで、操作も簡単で使いやすいという点はもちろんですが、管理する側としては、手厚くサポートしてもらえるところが、本当にありがたい。そこが、私が一番おすすめできるところです。
緒方様 表現が難しいのですが、手離れが良いと言いますか、手切れが良いシステムに久々に出会えました。情報システム部として必要な最低限の確認は行いますが、(他のシステムと違って)常にユーザーのことを気にかけて、問い合わせを受けて対応して…という必要が、「せきなび」ではありません。システムを管理・運用する側に負荷がかからないシステムだということを改めて実感しています。
お話しいただき、ありがとうございました!