この記事を読む方の中には「有給休暇の取得率が低い。安心して有給を取得してもらうにはどうしたらよいだろう」とお悩みの方がいるのではないでしょうか。
そこで今回は、有給休暇の取得率が低い原因と対策についてご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
有給休暇とは、「年次有給休暇」の略称で、給与を受け取れる休暇を指します。労働基準法第39条で定められている「労働者の権利」のひとつです。正社員・アルバイトなど常勤の従業員だけでなく、期限付き雇用の従業員であっても、2つの労働条件を満たした従業員には有給休暇を付与することが義務付けられています。
【有給休暇付与の条件】
従業員から有給休暇の申請を受けたら、原則的に企業に拒否権はありません(※)。
(※)ただし、労基法39条5項には「請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合」においては年休を与える日を変更することができる(時季変更権)と規定されています。
有給休暇は、賃金の心配をせずに、心身疲労を回復し、ライフワークバランスの充実を図ることを目的とした制度です。
しかし、日本では職場への配慮や休みを取ることへのためらいなどから、有給休暇の取得率は低い状態が続いていました。そこで、2019年4月の制度改正で、年10日以上の年次有給休暇を付与されたすべての従業員に対し、年5日間は時季を指定して有給休暇を取得させることが義務付けられました。
それでも、有給休暇の取得率は、決して高い水準ではありません。厚生労働省が発表した「令和4年就労条件総合調査」によると、2021年の有給休暇平均取得率は58.3%でした。政府は、2025年までに有給休暇取得率の目標値を70%に掲げていますが、目標に遠く及ばないのが現状です。
有給休暇は、従業員にとって意義のある制度ですが、取得率はまだまだ低いのが現状です。なぜ取得率が低いのでしょうか。4つの理由が考えられます。
仕事のスピード感が重視される現代社会では、生産性向上・作業効率化が求められています。スピードを意識するばかりに、スケジュールを過密化し、仕事量を増やす方が多いのではないでしょうか。
過密スケジュールの状況では、有給休暇を取れません。また、無理に休暇を取得しようとしても、問題発生時や急な追加業務が発生した際などに対応できるスケジュールになっていないため、「休暇中に問題が起きたらどうしよう」と安心して有給休暇を取れないのでしょう。
1人で多くの仕事をこなす部署では、休むと仕事が回らないと考えがちです。真面目な従業員や、中小企業の従業員ほど、周囲に配慮し、休みを取りません。
そのため、有給休暇取得率が低いのです。
旧体質の企業は、有給休暇の必要性を軽視する傾向にあります。2021年に厚生労働省が行った調査(※)では、有給休暇に関する措置を導入していない企業のうち、約40%の企業が「業務に支障をきたすため、有給休暇に関する措置を講じていない」という結果でした。組織レベルで意識の低い企業がある点が、調査結果からも見て取れます。
有給休暇に関する措置や制度がなければ、従業員も有給休暇の取得をはばかります。そのため、取得率が低いのです。
※厚生労働省の調査=令和3年度「仕事と生活の調和」の実現及び特別な休暇制度の普及促進に関する意識調査報告書
以前の日本企業は、残業・休日出勤など、長時間労働する方が褒められるのが通例でした。そのような考えを持った上司・先輩により、休暇を取得しづらい空気が残っているのではないでしょうか。
また、休みの間の業務フォローする体制が整っておらず、誰かが休むと他の人に迷惑がいくような状況では休暇を取得しづらいでしょう。
2021年に行われた調査(※)では、約45%が「有給休暇の取得にためらいを感じている」という結果でした。
休暇を取りにくいため有給休暇を取らず、取得率が下がるのです。
※三菱UFJリサーチ&コンサルティング=令和3年度「仕事と生活の調和」の実現及び特別な休暇制度の普及促進に関する意識調査報告書
有給休暇の取得率があがらないと感じる企業は、社内の体制・制度の見直しがおすすめです。解決策の例をご紹介します。
業務効率化ツールとは、RPAや案件管理、進捗管理ツールなどを指します。業務効率化ツールの導入は、スケジュールの過密化・業務属人化が原因で有給休暇取得率が低い企業におすすめです。業務内容や進捗を見える化し効率化をはかることで、業務量を調整して有給休暇が取得できる状況を作るのが目的です。
人事・総務の業務も
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社内の周知・啓発によって、有給休暇に関するルールを明確にし、従業員に知らせ、互いに理解し合うことが求められます。経営者・上司などの管理職を中心に啓発することで、組織レベルでの意識向上を目指します。経営者や上司が積極的に休暇を取るのも、有給休暇を取得しづらい空気感を払拭するのにも効果的でしょう。
ルールの明確化は、就業規則・経営理念に定めるとともに、従業員との雇用契約書にも明記すると、双方の確認となります。
社内アンケートは、実態把握に効果的です。有給休暇を取りにくい原因や従業員のニーズを探り、有効な制度設計に生かすことができます。
例えば、有給休暇を取りにくい理由が休暇申請手続きの煩雑さなどにある場合は、勤怠管理システムを導入し有休の申請や管理を簡単にするなど、有効な対策を考えることができます。
関連サイト:勤怠管理システム「ジンジャー勤怠」| 労務管理のクラウド化ならジンジャー(jinjer)
有給休暇の取得率向上を目的とした施策の中でも、従業員の社内の周知・啓発活動は非常に重要です。社内アンケートで実態を把握したら、その後の対策や啓発活動の検討に時間を割く場面が増えるでしょう。対策検討に集中できる環境作りの一環として、社内アンケートや業務効率化ツールの導入などは、プロに依頼するのがおすすめです。
特に社内アンケートは、設問設計から調査実施、集計、分析など、経験のない人が行うには複雑で時間もかかり、知りたい結果を得られる設計を行うには専門知識も必要です。プロに任せれば、知りたい結果がわかりやすく戻ってきます。無理な内製化よりプロへの相談を検討してみてはいかがでしょうか。
アスマークの「ASQ」は、オーダーメイド対応の従業員満足度調査サービスです。有給休暇の取得率向上に向けた対策として、3点の特徴があります。
「ASQ」では、調査のプロであるアスマークと人材コンサル会社と共同作成した従業員満足度調査パッケージに、独自の設問を追加して調査することができます。
デフォルトの設問にある業務負荷等の回答に加え、有給休暇に関する設問も追加することで有給休暇取得向上に向けた対策に役立てることができます。
「ASQ」は、全国の有職者1万人以上のデータを保有しています。このデータをベンチマークデータとして自社の状況との比較が可能です。同業他社と比較することで、自社の業務負荷が高いのか少ないのかや、自社の強み・弱みを把握できるので、施策改善に役立てられます。
「ASQ」の調査レポートには、分析結果だけでなく、結果を基にした簡易施策提言までついてきます。。組織・人材コンサルタントによる提言のため、改善すべきポイントが分かりやすく、改善施策の検討に素早く着手することが可能です。
また、レポート全体も図や表を用いてカラフルに仕上げてあるので、見やすい点も魅力です。
施策提言まで込みの
真に役立つES調査パッケージ
働きやすい企業には、優秀な人材が集まり、業績向上に効果的です。
有給休暇の取得率向上は、働きやすさの指標にもなります。有給休暇取得を推進するために、従業員満足度調査の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
株式会社アスマーク 経営企画部 Humap事業G