PERMA理論とは?職場環境改善に効果的。ポジティブ心理学とウェルビーイング向上法を解説

この記事をご覧の方は、職場のエンゲージメント低下や離職率の高さに悩み、「どうすれば従業員がいきいきと働き続けられる職場をつくれるのか」と模索しているのではないでしょうか。

本記事では、近年注目されているポジティブ心理学とPERMA理論をもとに、職場のエンゲージメントや幸福感を高めるための具体的な方法をわかりやすく解説します。ぜひ最後までご覧いただき、働きがいのある職場づくりのヒントとしてご活用ください。

いま求められる「幸福感と働きがいの両立」

近年は、ウェルビーイング経営や人的資本経営といった考え方が注目されるようになり、人事部門には「働きがい」「幸福感」「健康」の三要素を両立させた環境づくりが求められています。 実際に、多くの人事担当者が直面している主な課題は次のとおりです。

 

こうした課題を解決するには、従業員の幸福感と働きがいを高める職場環境の整備が不可欠です。

ポジティブ心理学とPERMA理論とは?

ポジティブ心理学は、個人の幸福や強み、充実感といった「人がよりよく生きるための要素」に着目した心理学の分野です。近年では、ビジネス領域でも注目されており、その中核を成す理論の一つがPERMA理論です。

PERMA理論では、人が幸福を感じるために必要な5つの要素を以下のように定義しています。

これらがバランスよく満たされることで、幸福感が高まり、働きがいの向上にもつながると考えられています。企業がエンゲージメント施策のベース理論として活用する傾向も見られます。

PERMA理論が職場改善に有効な理由

働きやすさだけでなく、「働きがい」や「幸福感」を実感できる環境が整うことで、従業員のパフォーマンスや定着率は大きく向上します。PERMA理論の視点を取り入れた職場では、エンゲージメントの向上も期待されます。

主な効果

  • ポジティブ感情が増えることで、メンタル不調のリスクが低下
  • 良好な人間関係が育まれ、風通しのよい職場文化が形成される
  • 意義や達成感を得ることで、離職率が下がる

一部の調査では、幸福感の高い従業員は生産性が31%高いという報告もあります。PERMA理論に基づいた職場づくりは、エンゲージメント改善に向けた重要な施策の一つといえるでしょう。

 

PERMA理論を職場で実践する5つのアプローチ

PERMA理論の考え方は、日々の職場づくりにも応用することが可能です。以下に、要素ごとの実践しやすいアプローチを整理しました。

PERMA理論の考え方

P(ポジティブ感情)
感謝を伝える習慣の定着、社内表彰制度の導入

E(熱中・没頭)
個人の強みを活かした業務アサイン、創造的なワークショップの実施

R(良好な人間関係)
定期的な1on1ミーティング、チームランチ・社内交流イベントの開催

M(意義のある仕事)
会社の理念やビジョンを共有し、業務とのつながりを認識できる場を作る

A(達成感)
小さな成功の積極的な共有、目標達成を称える仕組みづくり

これらの施策は、従業員一人ひとりの幸福感とエンゲージメントを高める土台として機能します。

幸福感とエンゲージメントを高める具体施策

職場の幸福感やエンゲージメントを高めるためには、組織の現状把握と働きかけの両面からアプローチすることが重要です。比較的導入しやすい施策を以下にまとめました。

具体的な施策例

  • ウェルビーイングサーベイの実施:従業員の幸福度やストレス状況を定期的にチェック
  • 1on1ミーティングの導入:上司と部下の対話機会を通じて、不安や悩みを早期に把握
  • キャリア開発支援制度の整備:本人の希望に応じたキャリアパスや研修機会を提供
  • 感謝・承認の文化づくり:日々の「ありがとう」を可視化する仕組みを構築

これらの取り組みを積み重ねることが、従業員の幸福感や働きがいの向上へとつながっていきます。

 

職場環境改善の成功事例

実際にPERMA理論やウェルビーイング施策を実践し、成果を上げている企業の事例をご紹介します。自社に合った取り組みを検討する際の参考としてご活用ください。

企業の取り組み例

味の素株式会社

取り組み内容:
「人財に関するグループポリシー」を策定し、従業員の健康を支援するために全員面談を実施。健康状態の可視化やセルフケアの推進、休業者の職場復帰支援などを積極的に進めています。

効果:
「健康経営銘柄」に4年連続で認定され、従業員の健康維持と職場環境の両面で成果をあげています。

参考:厚生労働省 職場のメンタルヘルスシンポジウム「職場復帰支援の実践 企業や精神科医の取組事例から」

 

楽天グループ株式会社

取り組み内容:
「コレクティブ・ウェルビーイング」と称した独自のガイドラインを策定。毎週の全社会議「朝会」をオンラインで開催し、チームでのハドルミーティングも導入。多様な働き方のなかでも社内コミュニケーションの活性化を図っています。

効果:
従業員同士のつながりが強化され、持続可能なチームづくりに貢献しています。

参考:Rakuten People & Culture Lab

 

株式会社アシックス

取り組み内容:
「ASICS健康経営宣言」を掲げ、従業員とその家族のウェルビーイングを支える取り組みを実施。自社開発の健康増進プログラムや運動推進セミナー、メンタルヘルス研修などを展開しています。

効果:
従業員の健康意識が高まり、職場全体の活性化にもつながっています。

参考:アシックスの健康経営

 

ウェルビーイング経営を進めるうえでの注意点

PERMA理論の実践を含め、ウェルビーイング経営においては、導入後の運用にも継続的な工夫が求められます。特に、属人化・やりっぱなし・形骸化を防ぐことが重要です。以下のポイントを意識すると、施策の効果を持続しやすくなります。

取り組みのポイント

  • 数値化と定期的な可視化:サーベイや離職率などの指標を設定し、改善状況を追跡
  • 継続的な振り返りと改善:年次・半期ごとに施策効果を確認し、必要に応じて見直し
  • ハードとソフトの両面からアプローチ:制度面の整備と、職場風土の醸成を並行して実施

たとえば、「1on1」や「感謝カード」といった施策も、運用ルールを明確にし、評価制度に連動させることで形骸化を防ぐことができます。無理なく続けられる設計こそが、成功の鍵といえるでしょう。

幸福感とエンゲージメントを「ES+」で見える化

ウェルビーイング経営の実現には、現状の可視化と改善の仕組みづくりが欠かせません。
アスマークの「ES+(イーエスプラス)」は、従業員の幸福感やエンゲージメントを定量的に可視化し、優先的に取り組むべき課題の把握から研修までをサポートする調査+研修のパッケージです。

「ES+」の主な特長

  • 幸福感・エンゲージメントを独自サーベイで可視化
  • 施策の優先順位と改善ポイントをレポート化
  • 経営層・人事担当者に向けた分析とアクション提案を支援
  • 課題に合わせた研修と効果の計測でPDCAを回し組織改善

本記事で紹介したPERMA理論の視点を取り入れながら課題分析や職場改善を進めたい企業にもご活用いただけます。
「従業員の声を経営に活かしたい」「離職率や職場満足度を改善したい」といった課題意識をお持ちの方は、ぜひ一度導入をご検討ください。
定期的なモニタリングと改善の積み重ねが、組織の健全な成長を支える土台となります。

 

執筆者

Humap編集局

株式会社アスマーク 営業部 Humap事業G

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