この記事を読む方の中には、「若手社員が入社して間もなく辞めてしまう」「引き止める方法が見つからない」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。
Z世代をはじめとした若手社員の離職理由はさまざまですが、その背後には、職場での不安や孤立感、自己肯定感の低下といったメンタル面の課題が潜んでいるケースもあります。
そこで今回は、Z世代の離職防止に向けて有効な「メンタルヘルス研修」に焦点をあて、導入のポイントをご紹介します。
Z世代とは、明確な定義はないものの、1990年代後半〜2010年代初頭に生まれた世代を指します。2025年時点では、13歳から29歳前後の若者が該当します。
厚生労働省が令和5年に実施した調査によると、過去1年間に「自己都合による退職をした若年労働者がいる」と回答した事業所は40.9%に上りました。また、「転職したいと思っていない」と回答した若年正社員は3割にとどまり、Z世代にとって転職はキャリア形成の選択肢のひとつとして一般化していることが読み取れます。
Z世代が転職を検討する理由として、以下のような要因が挙げられます。
やりたい仕事ができない
キャリア志向が強いZ世代は、成長機会や自己実現を重視し、やりたい仕事と実際の業務とのギャップを感じた場合に転職を検討する傾向があります
待遇に不満がある
給与はただ高ければよいというわけではなく、労力に見合った報酬かどうかといった視点でも評価されます。同業他社と比べて給与水準が低い場合も転職を考えることがあります。
会社の将来性に不安を感じる
経営状況を会社の業績や社内の雰囲気などから察知し、「ここにいても将来を見通せない」と感じると離職意向が高まりやすくなります。
加えて、周囲に相談できる人がいない、評価の軸が不明瞭といった不安を抱えることで、精神的な負担が蓄積され、離職につながるケースも見受けられます。
こうした背景を踏まえると、早期離職を防ぐ手段として、待遇などの構造的課題への対処とあわせて、“メンタル面のケア”も重要だといえるでしょう。
Z世代の早期離職を防ぐためには、メンタル面の不調や不安に対するサポートが欠かせません。ここでは、Z世代本人向けと管理職向け、それぞれに効果的な研修プログラムの一例をご紹介します。
Z世代向けのメンタルヘルス研修では、次のようなプログラムを取り入れると効果的です。
ストレスを長期間溜め込んだ状態になると、仕事に行くことだけでも辛くなってしまい、修復が困難になります。ストレスを感じ始めた段階で適切な対処ができれば、不調の悪化や離職リスクの軽減につながります。
そこで、日常的に実践できるセルフケアやセルフマネジメントの方法を研修プログラムに取り入れて学ぶことで、自分自身の状態を客観的に見つめ、早めに対処する力が養われます。
また、相談できる窓口の存在や、相談しやすい職場の雰囲気を認識してもらうことも重要でしょう。早い段階で不安を言語化・共有できれば、ひとりで抱え込まずに周囲のサポートを得て、孤立やメンタルダウンを未然に防ぐことが可能となります。加えて、ストレスチェックの結果を活用することで、個人や組織の現状を可視化し、適切な対策に結び付けることができます。
Z世代のメンタルケアを職場全体で支えていくためには、管理職向けの研修も重要です。具体的には、次のようなカリキュラムを取り入れるとよいでしょう。
いつの時代においても、“世代間のギャップ”による価値観の違いや、育成・指導の仕方に戸惑う管理職は多いものです。Z世代を支援するためには、スモールステップによる業務指示やタスク管理、丁寧なフォローとフィードバック、承認・共感を重視した対話など、世代特性に合った育成法とコミュニケーション術が求められます。
また、チームビルディングについて学ぶことで、メンバーの多様な個性や価値観を活かしながら、目標の達成に向けて協働する力を養うことができます。研修を通じて、多様性を受け入れる姿勢や風通しのよいコミュニケーションなど、Z世代に合わせた対応法を身に付けられます。
こうした取り組みが、Z世代にとって安心して働ける環境づくりにつながるでしょう。
Z世代の離職を防ぎ、職場での定着を図るためには、単なる知識提供型の研修だけでは十分とはいえません。Z世代の価値観や特徴に合わせたアプローチが重要となります。以下に、効果的な研修を実現するための4つのポイントをご紹介します。
Z世代は、管理職から過度に干渉されることを好まない傾向があります。一方で、業務で躓きや疑問点が生じても自ら相談することが苦手なケースも多く、管理職の立場からすると、「どこまで理解できているのか」「どのタイミングで声掛けをすべきか」と悩むことが少なくないのではないでしょうか。
そこで効果を発揮するのが、定期的なフォローアップです。研修を実施した後は、短時間の定期的なフォローアップの機会を設け、業務中は見守りに徹します。フォローアップの1回ごとの時間は短く取り、それ以外は必要なときに都度サポートするスタンスを取るとよいでしょう。こうした接し方により、若手社員の自主性を尊重しつつも、多くの接触によって心理的安全性を確保することが可能となります。
Z世代は、トップダウン型の上司を好みません。一方通行の「指導」や「命令」よりも、自分の意見が尊重される対話的な関係性を好む傾向があるため、双方向のコミュニケーションを意識したプログラムが必要です。
講義形式の座学だけではなく、ディスカッションや意見交換の場も積極的に取り入れるとよいでしょう。Z世代の考え方や価値観に耳を傾け、対話を通じて理解を深めることが、信頼関係の構築につながります。結果として職場でのストレスが軽減され、離職のリスクも減らすことが期待できます。
成果だけでなく、そこに至るプロセスにも注目する姿勢が、Z世代との関係性構築においては重要です。業務の進め方や考え方の違いを把握し、長所や改善点を丁寧にフィードバックすることで、本人の納得感が得やすくなります。プロセスに着目した支援は、メンタル面での安定にもつながり、安心感や成長意欲を高めることにもつながるでしょう。
一人ひとりが「自分を見てくれている」と感じられることは、Z世代にとって大きな安心材料です。心理的安全性を確保するためにも、個別の課題や傾向を把握し、それに応じた支援を心掛けましょう。そのためには、離職リスクやストレス要因といった組織全体の課題、あるいは現場ごとの課題を事前に明確化し、状況に応じた研修設計を行うことが求められます。
20代を中心としたZ世代の離職率は高く、キャリアプランに転職を含めるのは当たり前の時代となりました。「一つの会社でできるだけ長く働きたい」と考える若手は、もはや多数派ではありません。
若手社員の離職を防ぎ、やりがいや成長意欲を維持しながら活躍してもらうためには、メンタルケアやストレス対策といった個人支援と、組織としての課題把握・育成施策の両輪が必要です。若手社員の不安を想起に察知して働きやすい組織を整えることが、早期離職防止の鍵となります。
しかし実際には、「どこに課題があるのか分からない」「全社一律の施策では効果が見えにくい」といった悩みを抱える企業も少なくありません。
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調査と研修を組み合わせ、PDCAを回していくことで、若手社員が安心して働ける組織風土の醸成を着実に進めることができます。Z世代の離職防止に向けて、実態に即したオーダーメイト型の研修を設計したいとお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。
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