経営者層のハラスメント対策~人事担当者ができること

この記事を読む方の中には、「経営者や役員層にハラスメントの重要性を理解してもらえない」「上司だからハラスメント行為の注意ができない」とお悩みの方がいると思います。

そこで今回は、経営者層のハラスメント対策についてご紹介します。
合わせて人事担当者に意識してほしいポイントを解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

 

ラスメント行為が発生しやすい企業の特徴

最初に、ハラスメント対策が発生しやすい企業の特徴を再確認しましょう。下の5項目が1つでも当てはまる場合は、既に社内でハラスメント行為が発生しているかもしれません。

  • 従業員間のコミュニケーションが少ない
  • 従業員の年代にかたよりがある
  • 残業が多く、休みがとりにくい
  • ノルマや規則が厳しく、失敗が許されない雰囲気がある
  • さまざまな雇用形態の従業員がいる

職場内のコミュニケーションが希薄で、成果主義の職場は、心理的安全性が低く、ハラスメント行為につながりやすいです。今一度自社の体質を見直してみましょう。

ラスメントが経営者に与える影響

2022年4月から、すべての企業において、パワハラ防止法が適用されました。ハラスメント行為が発覚した企業が、経営者層に与える影響は主に2つです。

法的責任

パワハラ防止法による罰則はありません。しかし、ハラスメント行為が発覚した企業は、厚生労働省からの勧告を受ける可能性があります。

ハラスメント行為が発覚し、是正措置をとればよいのですが、改善が見られない場合は、社名・ハラスメントの事実・行為の内容などを公表され、続く経営責任を負う可能性があります。

経営責任

ハラスメント行為が発覚したら、企業価値が大きく下がります。企業価値が下がると、株価低下・取引先の撤退など、経営にも影響を及ぼし、経営不振に陥りかねません。経営不振を引き起こした責任をとって辞職ということも考えられます。その他、被害者からの損害賠償請求に応じたり、裁判費用が発生したりと金銭面においても大きな責任を負うこととなるでしょう。

 

経営者層は、企業の責任を負う立場のため、どんなハラスメント行為においても2つの責任が伴います。そのため、ハラスメント行為を常に身近な存在として意識しておく必要があります。

ラスメント対策を意識づけるためのポイント

ハラスメント行為を経営者層に意識づけることは、人事担当者が頭を悩ます点でしょう。「上司だから言いにくい」「忙しそう」と後回しにしては、日に日に当事者意識がなくなります。

そこで、3つのポイントを意識して、経営者層へハラスメント対策について伝えましょう。

  • 短時間
  • 図解
  • シンプル

経営者は、経営について考えるのが仕事です。「このテストは1時間です」「研修が半日です」と長い時間をかけることは極力控えましょう。また、図解にしてひと目で伝わるように、シンプルなワードで伝えることを意識すると、短時間で頭に入りやすいのでおすすめです。

「忙しい相手に意識づけるにはどうしたらよいか」という視点から伝え方を考えると、より伝わりやすくなります。

営者層へ向けたハラスメント対策

経営者層への伝え方を意識しながら、ハラスメント対策を伝えましょう。具体的にとるべき対策は5つです。それぞれ詳しく見ていきましょう。

① 経営者層の隠れたハラスメントリスクを可視化

第一に、ハラスメントリスクの可視化です。CHeckなどのアセスメントチェックを行い、ハラスメントリスクを可視化しましょう。

潜在的リスクは自分から見えません。アセスメントチェックの結果を見て、当事者意識を持てば、今後のハラスメント対策意識が大きく変わるでしょう。

② ハラスメント対策はチームマネジメントの一環として意識づける

第二に、チームマネジメントの一環として意識づけることです。以前の日本企業は、典型的な「年功序列」でした。問題が発生すれば「怒る」「罰する」といった具合に、刺激を与えて従業員を奮い立たせる体質が多かったのでしょう。

ですが現在は、働き方改革が進み、従業員個人を尊重する文化へ変貌をとげています。そこで、チームマネジメントの手法も相手を尊重するよう変えなければなりません。

相手を「怒る」「罰する」のではなく「相手を受け入れて交渉することで企業が成長する」ことを伝え続けましょう。良好な人間関係を築ければ、自然とハラスメントはなくなるはずです。

③ ハラスメントに関する情報を共有し危機感を喚起する

第三に、ハラスメントに関する情報共有です。ハラスメントについて経営者層へシンプルに伝え続けることで、注意喚起の役割があります。特に大切なのが、従業員のアセスメントチェック結果です。

アセスメントチェック結果は、自社に関する情報のため、今後の経営判断に役立つ情報としてより意識的に確認するでしょう。また、ハラスメント行為に関する事件情報など、雑談ベースで有するだけでも、危機意識が植え付けられます。

日常的な会話で対策まで話し合えれば、よりハラスメント対策に役立つでしょう。

④ ハラスメントが経営者層に与える影響を伝える

第四に、ハラスメントが経営者層に与える影響についてです。これは、ハラスメント行為が他人ごとになっている経営者へおすすめの項目です。自社に与える影響を考えると、より当事者意識が植え付けられます。

ですが、抽象的に伝えては、頭に入りにくいので、効果がありません。そこで、ハラスメント事例とともに短時間で伝えましょう。経営者層へ当事者意識を植え付けられれば、ハラスメント対策はスムーズに進むはずです。

⑤ 経営者層に自らハラスメント対策研修を実施してもらう

最後に、ハラスメント対策研修の実施です。さまざまな情報を経営者層へ伝え、頭で理解していても、実際に口に出してみると、ハラスメントに近いことを言っている可能性があります。

そこで、日々伝えた情報を元に、従業員へハラスメント対策研修を実施してもらいましょう。自ら語ることで、ハラスメントに対する知識と意識がより深くなり、率先してハラスメント対策に参加してくれるでしょう。

とめ

経営者層へ向けたハラスメント対策についてご紹介しました。ハラスメント行為は、法的にも経営的にも大きな責任を伴います。そこで、ハラスメントについて「短時間で」「分かりやすく」伝えることで、より意識を向けてもらいましょう。

具体的には、5つの対策があります。

  • 潜在ハラスメントリスクを可視化する
  • ハラスメント対策はチームマネジメントの一環として伝える
  • ハラスメントに関する情報を伝える
  • ハラスメントが経営者に与える影響を伝える
  • ハラスメント研修を自ら実施してもらう

常に忙しく、経営について考えているため、ハラスメント対策まで意識が向かない方もいるでしょう。ですが、より健全な企業運営のために、今一度ハラスメント行為について当事者意識を持ってもらいましょう。

執筆者

Humap編集局

株式会社アスマーク 経営企画部 Humap事業G

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