宿泊業の効果的な離職防止策とは?深刻な人手不足の原因も紹介

この記事を読む方の中には
「宿泊業を営んでいて人手不足が深刻」とお悩みの方がいるのではないでしょうか。 そこで今回は、宿泊業における離職防止策についてご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

宿泊業の現状

ホテルや旅館などの宿泊業は、慢性的な人手不足といわれています。はじめに、宿泊業の離職率と人手不足といわれる理由からご紹介します。

宿泊業における離職率の現状

厚生労働省が発表した「令和4年雇用動向調査」によると、宿泊業・飲食サービス業を合わせた離職率は26.8%でした。業界別の離職率ではトップです。離職する人が多いため、求人数も多く出ています。令和6年2月の求人数は70,859人でした。 一年前は、アフターコロナ時代に入り、急激に求人が増えたため、前年に比べると求人数は減少しています。しかし、他業種に比べて多くの求人があり、人手不足の問題は、業界全体の課題です。

参考①:厚生労働省_令和4年 雇用動向調査結果の概要
参考②:厚生労働省_一般職業紹介状況(令和6年2月分)について

 

宿泊業が人材不足といわれる理由

宿泊業が人材不足といわれるのは、主に3つの理由があります。

  • 他業種と比較して離職率が高い
  • 宿泊者数の増加
  • 外国語対応が難しい

勤務時間の長さや休みの取りづらさから、離職率は常に高い状況です。加えて、アフターコロナに入り、旅行を楽しむ人が増えています。観光庁が実施した2024年3月の宿泊旅行統計調査によると、前年同月に比べて宿泊者が約9%増加でした。 宿泊者数の急増にともない、今までの人員では業務が回らず、人材不足を招きます。

宿泊業は、外国人観光客の対応など、語学スキルを問われる業務です。外国語対応ができるスタッフの確保も難しく、人材不足の要因となっています。

参考③:観光庁_宿泊旅行統計調査(2024年3月・第2次速報、2024年4月・第1次速報)

 

宿泊業の離職率が高い理由

宿泊業の離職率が高いのは、待遇や労働環境に不満があるためです。不満に感じる要素をご紹介します。

待遇に不満

不満要素になる待遇は次のとおりです。

  • 給与水準が低い
  • 休日数が少ない
  • 不規則なシフト勤務

国税庁が発表した令和4年度の「民間給与実態統計調査」によると、宿泊業の平均給与は268万円と最も低い結果でした。さらに、有給休暇の取得率も49.1%と業種別のワースト1位です。24時間営業が基本なため、早朝や夜間の勤務にあたる可能性もあります。給与や休日などに不満を感じて離職を考えるようです。

参考④:国税庁_令和4年分 民間給与実態統計調査
参考⑤:厚生労働省_令和5年就労条件総合調査 結果の概要

 

労働環境に不満

宿泊業は、慢性的な人手不足から長時間労働です。厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」によると、週の所定労働時間が39時間35分と最も長い結果でした。人手不足なため勤務中は常に忙しい状況が続くため、離職を考えます。

離職率の高さは、eNPS調査の結果にも出ています。過去の調査から参考にしてみてください。

 

事例から見る宿泊業の離職防止策

宿泊業の離職防止策を事例とともにご紹介します。

業務の標準化

業務の標準化は、従業員のマルチタスク化や業務の見直しにつながります。標準化のためには、動画マニュアルやスキルマップの作成がおすすめです。スキルマップとは、従業員一人一人の業務に関するスキルレベルを一覧にしたものです。従業員のスキルレベルと把握し、業務マニュアルを使って知識を標準化します。

従業員のスキルを均一にすれば、業務負担の軽減が可能です。

事例①:日本生産性本部_宿泊業の生産性向上事例集_動画マニュアルと連動したスキルマップの作成

 

DXの推進

人による作業をシステム化すれば、従業員の業務負担が軽減できます。どんな業務を軽減したいか考えるのがポイントです。同業では、次のような施策があります。

  • インバウンド需要に対応するため翻訳機の導入
  • チャットツールによる情報共有
  • 予約状況や客室管理を一元化するPMS(ホテルの管理システム)の導入
  • 清掃ロボットの導入

チャットツールによる情報共有とは、各人のタスク完了を報告することです。ほかの人の作業状況に着目し、無駄な動きをなくすことで、業務の負担と勤務時間の削減につながりました。清掃ロボットや翻訳機は、家電量販店で市販されているものを採用しています。低コストではじめられるものも多くあるため、できることから始めましょう。

事例②:日本生産性本部_宿泊業の生産性向上事例集_ITを活用した情報共有による業務の効率化

 

給与・休暇制度の見直し

長時間労働で給与が低いなど、データから見ても労働環境の悪さが目立ちます。そこで、基本給の増額や有給取得の義務化など、待遇を見直しましょう。
人手不足の中、休暇の取得を義務化するのは難しいと感じる場合は、業務内容とシフトの見直しから始めるのがおすすめです。業務を見直すと、無駄なタスクや一定の時間帯に不要な人員を出勤させているかもしれません。

近年は、客室稼働率とコストを比較して、休館日を設ける宿泊施設もあります。休館日により、心身のリフレッシュと心理的負担の軽減が可能です。

事例③:日本生産性本部_宿泊業の生産性向上事例集_業務棚卸しとサービススタッフの働き方の見直し

 

給与が低いと感じるのは、業務負担に対して低いと感じるためです。エンゲージメントの向上につながる評価制度を導入するポイントをご紹介します。

 

コミュニケーション施策の導入

離職率が高い要因として、業務負担や待遇面に目が行きがちです。しかし、急な待遇改善は難しいでしょう。さらに、お客様の対応や客室の清掃などが主な業務のため、勤務中に従業員同士でコミュニケーションを取る時間はあまりありません。
そこで、エンゲージメントを高める施策に着目してみましょう。

エンゲージメントの向上には、従業員同士のコミュニケーションが大切です。社内報やサンクスカードを導入して「ここで働きたい」を感じてもらえるような環境作りを目指しましょう。

事例④:日本生産性本部_宿泊業の生産性向上事例集_社内報(エンジェル新聞)とありがとうカードの導入

離職防止には従業員のニーズを把握するのが大切

離職率の問題は宿泊業界全体の課題です。しかし、会社の規模や働き方により、必要な離職防止策はホテルごとに違います。自社が抱える課題を見つけるには、従業員満足度調査でニーズを知ることが大切です。

従業員のニーズ把握には「ASQ」

アスマークの「ASQ」は、離職防止策が分かる従業員満足度調査サービスです。 調査は、実施しただけでは課題が分かりません。ASQでは、次のような分析結果をレポート化します。

  • 当社保有のベンチマークデータによる同業平均比較
  • 満足度・離職意向と相関性の高い要素ランキング
  • 組織・リーダー・社員の満足度と離職意向をタイプ分類
  • 組織・人材コンサルタントからの簡易的な施策提言

特に着目いただきたいのが「同業平均比較」です。自社の弱みを改善する施策から検討するのに役立ちます。

宿泊業の慢性的な人手不足は、業界全体の課題です。
考えられる原因には、急激な宿泊者の増加や外国語スキルを求められるうえに、給与が安いなど、待遇や労働環境が悪いといった背景があります。

離職防止のためには、DXの推進や業務の標準化による業務負担の軽減、待遇面の改善が大切です。改善すべき待遇を把握するために、従業員満足度調査を活用してみてはいかがでしょうか。

執筆者

Humap編集局

株式会社アスマーク 営業部 Humap事業G

「あなたの組織の従業員総活躍をサポートしたい」の理念のもと、在席管理、パワハラ防止法対策、ES調査、RPAなど組織の働き方改革を応援する6つのサービスをご提供しています。

Humapの編集ポリシー

 

若手社員が早期に退職する理由
~突然の退職を止める対策も解説

若手の退職による企業の影響や、退職を考える若手社員の特徴をご紹介。

オンラインサンクスカード導入の効果とメリット

サンクスカードは、職場におけるコミュニケーション活性化や社員間の信頼関係の構築に有効な施策の一つです。
サンクスカードのメリットや運用方法について解説します。

> 詳しく見る

 

おすすめ記事