テレワークや在宅勤務が導入されたことによって、社員間のコミュニケーションが少なくなったことを課題として認識している企業も増えてきています。そのため、職場におけるコミュニケーション活性化や社員間の信頼関係の構築をはかる施策の一つとして、サンクスカードの導入を検討されている企業は多いのではないかと思います。サンクスカードとは、「同僚・上司・部下など職場の方に対して、仕事上の感謝や尊敬の気持ちをカードに記入して相手に渡す」社内制度です。感謝などのポジティブな気持ちは、メールや電話、あるいは直接口頭で伝えることも可能とはいえ、躊躇してしまう人もいるでしょう。その一方、称賛される機会が少ないと、企業に所属する意味を見失うだけではなく、それがきっかけで転職などに行動を移し、結果として重要な社員を失ってしまう可能性もあります。
サンクスカードを導入することによるメリットにはどのようなものがあるでしょうか?3つあげたいと思います。
所属部門・役職・雇用形態などに関係なくサンクスカードを送り合うことで、コミュニケーションを取る機会が少ないメンバーとコミュニケーションを取るきっかけにもなるため、社員間の相互理解にもつながるでしょう。また、このようなサンクスカードを受け取ることに対して、ネガティブな気持ちを持つ人は少ないため、「サンクスカードをもらった」ことそのものに対する感謝の気持ちが生まれます。こういったポジティブな関係性が社内でじわじわと拡大していくでしょう。
サンクスカードを送るためには、社内の動きに対して感度を上げて、状況を理解するようになります。そういった行動が、結果的に社内の連携意識を高めることにつながるでしょう。社員同士が称賛するようになると、「互いに認め合う文化」が形成されます。それによって、「自分もさらに頑張りたい」と思うだけではなく、働きやすく長く働きたい職場として認識するようになります。そのため、社員が定着し離職率が低下することが期待できます。
企業内のコミュニケーションが活性化し、社員の行動が良い方向に変化することで、企業イメージにも影響が出てくるかもしれません。外部からみても、「働きやすい会社」「職場の風通りが良い会社」と認識されることで企業ブランド力の向上につながるでしょう。
サンクスカードを導入するだけではなく定着させるために留意しておくべき点について3つ記載します。
なぜサンクスカードを導入するのか・導入することで企業がどの様に変化することを期待しているのかといったことや、サンクスカードの効果としてどのようなことがあるかを最初の段階で周知することが肝要です。また、運用手順やマニュアルといったものを用意しておき、「使用しやすい」状況を作り出しましょう。
サンクスカードは社内の階層に関係なく参加することができます。経営層や上司からのサンクスカードはメンバーにとっては嬉しいものです。そのため、経営層こそ積極的にサンクスカードを社員に送ることで定着化の促進に貢献しましょう。
サンクスカードの導入後は、定期的に運用状況を振り返り、今後の実施方針の見直しをしましょう。制度は導入して終わりということはなく、各社にあった形にブラッシュアップしていくことが重要です。そのため、制度導入直後には、諸々の不具合が発生するのは想定しておくべきことでしょう。
「どのようなツール」を使うのかによって、サンクスカードの運用は異なってきます。具体的には、「紙」と「(専用ツールを含む)オンライン」のいずれかになるでしょう。紙で運用する場合、導入するための費用はおさえられるので、導入は比較的容易でしょう。しかし、「(コメントの)記入」→「(カードの)集計」→「(相手への)配布」といったステップを経る必要があります。これらに関しては、手順やスケジュールを事前に決めておくことが重要です。事業所が複数に存在している、あるいはテレワークなどで勤務地が離れている場合、手渡しは難しいため、カードの回収・配布方法などを事前に決めておきましょう。
Smileボーナスなど有料のオンラインツールを活用すると、パソコンやスマートフォンなどを使用することで、どこからでも利用可能なため、送る側も手軽に送れます。カードの送受信だけではなく、データ集計もシステム内で自動化されているゆえ、運用負担はかなり軽減されるでしょう。しかし、こういったツールは費用が発生するので、まずは費用対効果を検討しましょう。このような有料ツールではなくGoogleフォーム等のWEB上のツールを活用して運用する企業もあります。
サンクスカードの運用方法・実施形式については、サンクスカードを贈るメンバーもそれを管理する(人事部門などの)推進者も、できるだけ負担が少なくすることを前提に、自社で運用しやすいスタイルで導入しましょう。
代表取締役 永見 昌彦
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