リテンション強化に向けた具体的な取り組み

新入社員が入社して1カ月ほど経過し、研修が一段落した企業も多いのではないでしょうか。そのような企業の人事担当者の中には、

    「入社早々に従業員が退職する」
    「最近、社内の雰囲気が悪く、退職者が後を絶たない」

といった悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。持続的な企業競争を確保するためには人材の流出を防止するのは必要不可欠であり、そのための取り組みであるリテンションは近年注目を集めています。

そこで、人材流出防止策として注目されている「リテンション強化」についてご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

テンションとは

リテンションとは、英語の「retention」からくるビジネス用語です。「retention」は、保持・維持という意味です。そこから転じて、人事分野では「人材流出を防止する施策」、マーケティング分野では「既存顧客満足度を維持する施策」を意味します。

本記事では、人事分野のリテンションについてご紹介します。

テンションが注目される背景

現在の日本企業で深刻な問題となっている「人材の流出」。そこで、人事分野における「リテンション」が注目されています。

リテンションが注目される背景には、主に3点の社会問題があります。

  • 少子高齢化
  • 急速なグローバル化
  • 終身雇用制度の崩壊

テンションのメリット

リテンションを強化することで、どのようなメリットがあるのでしょうか?主に4つのメリットがあります。

ノウハウやスキルの流出防止

数年かけて育成した社員が、他社へ転職すれば、今まで培ってきたノウハウやスキルを他社で使うこととなるでしょう。そこでリテンションを強化すれば、従業員が持つノウハウ・スキルの流出を防止できます。

採用・育成に関するコストダウン

新卒採用・中途採用など、年間を通して採用活動を行うためには「採用広告費」「面接会場費用」「採用・不採用連絡の通信費」など、費用がかかります。また、人を採用すると、ゼロから自社の理念や仕事の仕方を教えることとなり、育成資料の準備や担当者の時間的コストなど、多くの費用がかかるでしょう。

ですが、リテンション強化を行い、人材流出が防げれば、採用・育成にかかるコストダウンが見込めます。

従業員のモチベーションアップ

新入社員が入ってきて、少しずつスキルを積み上げてきたところで辞めてしまう。そんなとき、新たに従業員が入ってきたとしても「また辞めてしまうのでは?」と、考えてしまうこともあるのではないでしょうか。

そのような気持ちのまま教育をしても、新入社員には教育が響かず、覚えにくくなるでしょう。そこで、リテンション強化を行い、人材流出を防止すれば、教育への不安を払拭でき、従業員のモチベーションアップにつながります。

長期戦略の実施による他社との差別化

リテンション強化を行うことで、従業員のスキルが蓄積され・モチベーションアップにつながります。ノウハウ・スキルを一定期間維持することで行えるのが「長期的な視野での経営」。長期戦略を元に、事業を行うと、他社と差別化がはかれて、会社のさらなる飛躍となるでしょう。

また、長く一緒に仕事をすれば、従業員間の信頼関係が増し、チーム経営が実現し、より他社との差別化がはかれます。

テンション強化のための具体的な施策

人材やノウハウの流出防止に効果的なリテンション強化。では、リテンション強化のため、具体的に何をすればよいでしょうか?主な5つの施策をご紹介します。

労働環境の整備(ワークライフバランス)

仕事とプライベートの両立は、長期的視野で勤務してもらうためには最も大切な施策。具体的な例として、5つの対策があります。

  • 残業時間の削減
  • 有給休暇取得を推奨
  • 出産・育児・介護など休暇制度の充実
  • テレワーク環境の推進
  • フレックスタイム制の導入

いずれも、設置しているだけでは意味がありません。現在、実際に休暇取得している従業員に「不都合がないか?」「業務上、不利益を被っていないか?」と確認しながら稼働する必要があります。

 

 

従業員の能力開発

従業員一人ひとりが能力を最大限に発揮できれば、今までの何倍も業務効率が上がります。そこで、能力開発の施策をしましょう。主な具体例は4つです。

  • ジョブローテーション
  • 社内研修制度の充実
  • 大学院・専門学校への通学支援
  • 外部研修への参加支援

また、従業員本人の希望と働きやすい業務が違うケースなどを踏まえ、定期面談などで従業員の特性を知っておくと、より能力開発に役立ちます。

社内コミュニケーションの活発化

従業員間のコミュニケーションが活発化すると、連携が強化され、ミスの迅速報告や新たなアイデアが多く出る傾向にあります。また、人間関係を理由とした退職防止につながります。社内コミュニケーションを活発化する主な施策例は5つです。

  • 社内貢献の表彰制度
  • 社内SNSの充実
  • 社内イベントの実施
  • 懇親会の実施
  • 1on1面談の実施

社内交流とは、大々的にイベントを行うだけではありません。「無理に飲み会に参加させるのはちょっと」と、不安に感じる場合は「Smileボーナス」などのツールを利用しましょう。日頃の感謝をこまめに述べることで、自然とコミュニケーションが生まれます。

報酬制度の改善

報酬の見直しも従業員満足度を高める大切な項目です。主に3つの施策があります。

  • インセンティブ制度
  • ストックオプション制度
  • 住宅手当・子育て支援金など、福利厚生制度

ここでいう報酬制度の改善とは、単に報酬を上げるだけではありません。報酬制度の改善には、具体的な効果測定方法と「能力に見合った報酬か?」検証することが大切です。そのためには、全従業員に理解できる評価制度の充実も合わせて行いましょう。

社風に合った人材の採用

精神面・金銭面でリテンションを強化しても、社風に合わない人材である場合、長くは続かないでしょう。そこで、社風に合った人材を採用する必要があります。具体的な施策は5つです。

  • 採用時に企業理念に関する設問をする(企業理念の共感度を見る)
  • 採用時に趣味思考に関する設問をする(話しやすさを見る)
  • 採用面接時に何かしら共感できる点があるか見る
  • 長く勤務している従業員に近しいタイプか見る
  • リファラル採用(従業員からの紹介による採用)制度の導入

とめ

リテンション強化に向けた取り組みについてご紹介しました。リテンションとは、優秀な従業員を確保する施策。主な施策は5つあり、労働環境やコミュニケーションの活発化など、金銭面以外の項目から実施すると、従業員満足度が上がり、離職防止につながります。離職が防止されれば、既存の優秀な従業員が長く働ける環境が実現します。

最後に、全ての項目において、人事担当者は「実稼働しているか?」確認する点が最重要任務です。リテンション強化を図り、優秀な人材の流出を防止しましょう。

執筆者

Humap編集局

株式会社アスマーク 経営企画部 Humap事業G

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