EVP経営とは? 企業価値を高めるために人事部門ができること

この記事をお読みの方には

「企業価値を高めたいがどうしたらよいか分からない」という方がいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、EVPと設定項目についてご紹介します。企業価値を高めたい人事担当者の方はぜひ参考にしてみてください。

EVPとは

EVPとは「Employee Value Proposition」、日本語で「従業員価値提供」の頭文字を取った略語です。

 EVPには、2つの意味があります。

  • 従業員に対して企業がどのような価値提供ができるかを具体的に示すこと
  • 会社が、求職者に対して実施するブランディング

企業から見ると、従業員に対して成果を求めますが、従業員からも企業に対して待遇面・キャリア形成など価値を求めます。そこで、EVPを高めると「その企業で働き続けたい」と考えるようになり、モチベーション管理や離職防止に効果的です。

目される背景

 近年、EVPが注目され始めたのは、主に3つの変化があります。

  • 経営環境=グローバル化、多様性の確保、人材流動性の高まり、技術革新による働き方の変化
  • 従業員意識=複業やフリーランスなど働き方の変化、就業意識の変化、テレワーク普及による職場環境の変化
  • 企業と従業員の関係=以前は「企業に選ばれる従業員」だったが「従業員に選ばれる企業」へと変化

 2011年以降転職者は増加し、人材流出は深刻な問題です。そこで、優秀な人材に選ばれることが企業にとって重要な課題となりました。

EVPの設定項目

 EVPを高めるために、人事担当者は、何をしたらよいでしょうか?それぞれ見ていきましょう。

 また、EVP項目は設定したら終了ではありません。EVPの設定項目が「エンゲージメントに効果的なのか」を、ASQによる従業員満足度調査やCHeckによるハラスメントチェックなどを活用し定期的に把握しましょう。そして、新たに出た課題は、見直しをかける必要があります。

ミッションとビジョン

 ミッションとビジョンは、組織が掲げる目標・使命・社会的責任を指します。「自分は何のために働いているのか」「自分の仕事が社会的に役割を果たしているのか」を明確にすることで、従業員がやりがいや誇りを持てるようになります。

 経営者が「従業員とどういう関係性を結びたいのか」「従業員とどのような会社を作りたいのか」をトップメッセージとして発信することが大切です。トップメッセージを変える場合は、今いる従業員が不安にならないよう「なぜトップメッセージを変えるのか」をしっかり説明しましょう。

カルチャー

 カルチャーは「フラットでオープン」や「従業員一人一人が裁量権を持つ」などといった企業の特徴を指します。

 カルチャーを発信することで得られる効果は2つです。

  • 採用サイトで発信することにより、求職者へのブランディング効果と採用のミスマッチを防ぐ
  • カルチャーに合わせた人事制度・施策を検討しやすくなる

カルチャー戦略の例として、趣味の部屋・県人会のチャットルームなど、部署を超えたコミュニケーションの機会を作るなどがあります。

職場環境

 テレワーク環境が普及し、毎日全員が顔を合わせる機会が少なくなりました。そこで、多様な働き方を受け入れる体制を作りましょう。

多様な働き方を受け入れると、従業員のEVP向上に加えて3つの相乗効果があります。

  • 副業人材を採用して高いスキルを自社で生かしてもらう
  • 育児・介護・障害のある人などが能力を発揮する可能性が広がる
  • 出産・育児・病気・配偶者の転勤など将来的なライフステージの変化が起きても仕事を続けられる

 そして、企業では、Wi-Fi環境の提供、休職・退職リターンなどの人事制度の整備など、多様な働き方をサポートすることで、従業員は「安心して働ける場所」と感じ、よりEVPが高まります。

成長環境

臆することなく業務にチャレンジできる機会や外部研修など、自分で率先して仕事ができる環境作りは、仕事への感度が高い従業員にとって、企業に価値を見いだす大切な項目です。

また、キャリア面談やキャリアデザインへの支援は、従業員自身の気づきと、主体的なキャリア形成を促すのに役立ちます。

待遇・福利厚生

最後に、待遇・福利厚生です。福利厚生や給与等の待遇は、生活に直接関わる項目として重要なEVP項目です。ここで大切なのは、あくまでも公平な仕組みを構築することです。公平な仕組みを構築し「なぜこの待遇なのか」を丁寧に説明し、納得感を得ることが、仕事のモチベーション管理に役立ちます。

合わせて、福利厚生制度の中に、従業員の暮らしを豊かにするサービスを導入すると、従業員だけでなく家族の満足度が上がります。待遇・福利厚生制度は、競合他社の状況を分析し、ミッション・ビジョンと照らし合わせながら設計しましょう。

EVPを設定するメリット

EVPには、多くの設定項目があります。では、EVPを設定するとどのようなメリットがあるのでしょうか?主に3つのメリットがあります。それぞれ見ていきましょう。

従業員満足度やワークエンゲージメントの向上

EVPが高まることで、従業員は企業に高い価値を感じます。例えば、多様な働き方に対し「長く働き続けたい」と感じたり、トップからのミッション・ビジョンに共感し「会社のミッション実現に向けてがんばりたい」と思ったりなどです。

 

 

人事担当者は、従業員のニーズをしっかり把握した状態で、EVPを設定し、従業員が望むタイミングで分かりやすく提供しましょう。確実にエンゲージメントの向上につながります。

人材のリテンション

EVPが高まると、従業員のモチベーション向上や働きがいにつながり「この会社で長く働きたい」と考える人が増えます。そのため、定着率が向上し、離職防止に効果的です。仮に、転職をした従業員がいたとしても、EVPが高まっていれば、社外で新たな経験を得て戻ってきたり、転職先との事業提携などポジティブな可能性が生まれます。

離職率が下がると、採用コストの節約に直結するため、節約した分をEVPの充実に振り分け、より従業員満足度を高めるシナジー効果が発揮できるでしょう。

人材の獲得や採用ブランディング

公式サイトや採用サイトからEVPの設定項目を発信することで、採用ブランディングにつながります。採用ブランディングは、優秀な人材を確保しやすくなる上に、社内での評判は社外へと伝わり、従業員紹介制度による採用や、エージェントを介さず直接応募が増えるなど、人材獲得に効果的です。

自社ならではの魅力を、SNSなどから広く発信することで、求職者の目に留まりやすくなり、応募・入社を判断する材料となります。

とめ

EVPは「従業員に対して企業がどのような価値提供ができるか」という考え方です。労働環境の変化により注目されるようになりました。

パルスサーベイは、「週に1回」「隔週に1回」など短期間で繰り返し数問の質問に答える簡易的な調査のことです。定期的に実施することもあり、人事や集計担当者が毎回集計や分析をするよりも、何か重大なアラートを検知する目的で実施する企業が多く、問題が発生したことにすぐに気づき、対策を行うことが可能です。

EVPの設定項目は「ミッションとビジョン」「職場環境」など、5つです。従業員満足度向上、人材リテンションや採用ブランディングにメリットがあります。EVPを高めて、企業の価値を上げましょう。

執筆者

Humap編集局

株式会社アスマーク 経営企画部 Humap事業G

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