従業員満足度調査とは?

従業員満足度調査(ES調査「Employee Satisfaction Survey」)とは、従業員のモチベーションや意欲を図るために行うアンケート調査です。 従業員が不安・不満に思っている点を直接吸い上げ、問題点を改善することが可能で、いままで気づかなかった従業員の意見を聞きとり、業績や企業価値の向上に結びつけることができます。従業員満足度(ES)は顧客満足度(CS)と非常に関連が強く、ESが高い企業は自ずとCSも高くなる傾向にあります。

多くの企業が、人材の流出に悩んでおり、また、欲しい人材が集まらないという採用難にも陥っています。少子高齢化が及ぼす労働人口の減少が、人材難という形で企業の人事面に表れ、最重要課題のひとつだと捉えられています。 従業員のエンゲージメントを高め、一度採用した人材をリテンションし続けることで、人材の流出を防ぐことが見込めるため、人事戦略のひとつとして、従業員のエンゲージメントの把握と組織がどうあるべきなのかを知るために、多くの企業が従業員満足度調査(ES調査)を導入しています。

 

 

従業員満足度調査を実施することで、従業員が抱える不満と仕事に対するエンゲージメントを可視化することができます。「どういう人たちが」「何に対して」不満を感じていて、エンゲージメントを高める因子が何なのかを数値の“まとまり”から落とし込むことができるため、次にどういった人事施策を打つべきなのかを判断するための根拠として用いることができます。

1.仮説を立てる

何のために従業員満足度調査を行なうのか(調査目的)を整理し、結果データをもとにどのようなアクションを起こすのかを事前に考えておく必要があります。もちろん、結果データが出るまではどのようにアクションをすべきなのかはわかりませんが、仮説を立てておくことが非常に重要です。 「離職が多い(課題)のは、マネジメントのやり方に問題がある(因子)のではないか」と事前に仮説を立てておくことで、調査結果からその仮説検証ができます。もし、事前に仮説を立てていなければ、従業員満足度調査をやること自体が目的になってしまい、結果データからアクションに結び付けるのが難しくなってしまいます。 データを見ることに長けている人事担当者は比較的少ないため、調査を実施したものの、本来行なうべき施策がデータから読み取れず、誤った方向性の施策を組んでしまうことにもなりかねません。 調査結果を有効的に活用するために、事前に仮説を立てておきましょう。

2.仮説を検証できるアンケートを作る(選ぶ)

事前に立てた仮説を検証することができるアンケートを作る(選ぶ)必要があります。従業員満足度調査のテンプレート質問項目やアンケートの雛形質問などはweb上にありますが、基本的には課題別に特化して作られた設計にはなっていません。仮説が立てられず、何が課題なのかわからない場合には、要点だけあぶり出すことができる簡易的な調査であるため、web上のテンプレート質問で実施するのも有効です。 一方、課題に起因する因子まではわからない結果になることが多いので、結果データからアクションに繋げるのは難しくなります。事前に立てた仮説を検証できる調査票(アンケートの質問項目)にて調査を実施することが重要です。

従業員満足度調査はアンケート調査です。アンケート調査は「調査票が全てだ」といわれています。 アンケート調査は量的データを扱うため、質問に対する回答者の捉え方が統一されていなければ、意図と異なる回答を誘発してしまい、結果誤ったデータとなってしまいます。これは、ロジカルな調査票設計ができていないために起こってしまうことであり、意味のないデータを集めてしまう原因となります。

  • 誘導的な質問にしない
  • 主語を必ず入れる
  • 結びを統一する
  • 人によって違う解釈にならないような設問文を作る
  • 1つの設問に2つの内容を入れない

など、質問文に関してだけでも留意すべきポイントが多数あります。同じく、選択肢や設問順序などについても、いろいろな注意事項があります。(詳しくはこちら

従業員満足度調査は、満足度と重要度を算出し、評価の順位付けを行うことができるポートフォリオ分析をかけるのが必須なので、この分析ができるような調査票に設計する必要があります。ポートフォリオ分析(詳しくはこちら)をかけたい項目は、一般的に5段階評価で回答を集める必要があります。 また、eNPS(Employee Net Promoter Score)と呼ばれる従業員ロイヤルティを数値化した指標も算出するのが一般的です。全体に占める推奨者の割合から批判者の割合を引き算した数値がeNPS指標とされ、-100~100の間で表されるスコアであり、推奨者が増えるほど数値が高くなり、批判者が減るほど数値が高くなるように設計します。

調査実施前に、どの“まとまり”のデータを軸にするのかを予め決めておく必要があります。事業部別/役職別/年齢別/勤続年数別などです。例えば、事業部別を軸とした場合、事業部毎に役職別/年齢別/勤続年数別などの分析を行なう必要があります。事業部の数が多ければ多いほど、出力するレポートも多くなります。同様に、分析軸を増やせばさらに多くのレポートが必要になります。 軸を決めたら調査を実施し、集まったデータを設定軸毎に集計を行ない、ポートフォリオ分析を始めとした各種分析を行ないます。必要になる細かい分析については、調査目的と調査票の内容により異なってきます。

本当に本音の回答が集まるのか?

従業員満足度調査自体を初めて実施される場合、回答者には「誰が回答したのかわかるのではないか?」という心理が働き、本音を言えない方もいます。 実施後に回答者の紐づけがなかったことがわかると、二回目以降は、より本音の回答が集まりやすくなります。 また、初回でも事前の通知方法で回答への不安を取り除くことができれば、比較的本音を集めやすくなります。

自社でやるか、システムを活用するか

自社で行なう際のデメリット

「従業員満足度調査のテンプレート調査票さえあれば自社でもできる!」と多くの方が思うでしょう。前述の通り、web上で入手できるテンプレート調査票は、どんな課題を持つ人にも汎用性を持たせるため、焦点を絞っておらず、かつ、設問ボリュームも少ないので、広く浅いデータしか得ることができません。「何が課題なのかわからない」という人事担当者にとっては、薄っすら課題を認識することができると思いますが、要因分析を行なうボリュームではないので、データを得たところでアクションに移す根拠に乏しいと思います。 もう一点、自社で実施する場合、「誰が回答したのかわかるのではないか?」という心理が非常に強く働きます。そのため、本音の回答は得られにくく、差し支えない無難な回答ばかりとなり、課題が埋没されてしまったデータが集まってしまいます。第三者機関が介入することで、個人を特定されるのではないかという心理負荷は大きく和らぐため、比較的、本音を集めやすくなります。

従業員満足度調査の選び方

一概に従業員満足度調査といっても各社でサービスが異なります。 事前に仮説を立てている場合は、その仮説を検証できるよう調査票の焦点が絞られたシステムが存在します。課題別に従業員満足度調査のパッケージサービスを展開しているシステムなどが、これに当てはまります。課題に合わせて調査票を設計するオーダーメイド型の従業員満足度調査でも代用できます。 「あらゆる課題を全て浮き彫りにしたい」という担当者も多いでしょう。その場合は、70~100問と設問ボリュームはかなり増えますが、あらゆる角度から分析できるフルパッケージのサービスが適しています。 ”どういった設問”で”何の指標”をピックアップしているのかが非常に重要です。同様に、最終的なアウトプットから具体的なアクションをイメージできるのかどうかも業者を選定する基準として持っておいた方が良いでしょう。

アスマークの従業員満足度調査

アスマークでは、組織診断・人材診断も同時に行なうことができるフルパッケージ型の従業員満足度調査と、課題に合わせて設問をカスタム設計するオーダーメイド型の従業員満足度調査の2つのサービスがあります。

本格的なフルパッケージ型の従業員満足度調査(ASQ)

組織診断・人材診断も同時に行ない、満足度と離職意向に起因する要因を特定し、具体的な改善点を示唆できるようなレポートをご提供致します。

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