この記事を読む方の中には
「リスキリング」という言葉を耳にするが、具体的に何をするのかが不明でお悩みの方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、リスキリングの意味や導入方法についてご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
リスキリングとは、業務やビジネスモデルの変化に応じて、新たに必要なスキルを学ぶことです。特にデジタル化が進んだ近年では、業務の内容や進め方が大幅に変わることもめずらしくなく、新しいスキルや技術、手法を学ぶ必要性が高まっています。
リスキリングによって業務を効率化し、組織全体を活性化させましょう。
リカレント教育は、一度仕事を離れて、大学などの教育機関で自分に必要な新たなスキルを学ぶものです。個人が主体であり、一度離職する点がリスキリングと異なります。また、リカレント教育と混同されやすい「学び直し」は、個人の関心に基づく学習であり、企業が必要とするスキルを学ぶことに焦点を当てているリスキリングとは異なります。
生涯学習は、趣味や社会貢献など、人生を豊かにするためにさまざまな知識を習得することを指します。これに対しリスキリングは、今後新たに発生する業務で役立つスキルや知識の習得など企業のニーズに応じたスキル習得を目的とするため、学習範囲が限定されている点が生涯学習とは異なります。
アンラーニング(学習棄却)は、既存の概念やルーティンを一度忘れ、新たな知識や概念を取り入れることです。変化が激しい市場環境の中では、古い概念を捨てて、新しいアプローチを採用することが求められています。
リスキリングが注目される背景には、デジタル技術の発展や働き方改革の推進に伴う人材不足が影響しています。詳しく見ていきましょう。
デジタル化を推進する「DX(デジタルトランスフォーメーション)」や、環境保護と経済成長の調和を目指す「GX(グリーントランスフォーメーション)」など、新しい技術の発展により、業務の効率化が進んでいます。そのため、デジタルスキルを活用する必要性が増し、リスキリングが注目されるようになりました。
新型コロナウイルスの流行や、社会的責任を問われるSDGs・ESG・LGBTQなどの潮流によって、従来の働き方では通用しなくなっています。テレワークやオンラインでのコミュニケーションを円滑に進めるため、新たなスキルが求められています。
AIやIoT、ロボット技術など、先端技術を扱うことのできる人材が不足しており、高度なスキルを持つ人材の採用が難しい状況となっています。そこで、既存の従業員に対してリスキリングを実施することが、企業にとって有効な手段として注目されています。
なお、経済産業省による「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」では、転職希望者を対象にキャリア相談や転職支援を行い、リスキリング講座の提供などを行う補助事業者に対して補助金を交付する取組みを実施しています。
参考:経済産業省_リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業
リスキリングを進めることで、業務効率化や新しいアイデアの創出が見込めます。採用の場面においても、高いスキルを持った人材を新たに獲得する必要がなく、業務効率化によってより少ない人員で運用できる可能性が高まります。従業員にとってもキャリアアップの機会となるため、エンゲージメントの向上が期待できます。
高度なITスキルを持つ人材を新たに採用することは困難です。社内の人材のリスキリングによって、少数精鋭の体制を構築できるようになり、事務スタッフなどの採用しやすい人材は比較的短期間で採用できるため、採用コストが削減できる点もメリットです。
新しい知識やスキルを業務に活かすことで、業務フローの見直しや自動化を進めることができます。特に、データの一元管理や分析に応用できるスキルであれば、人的ミスの削減・防止や作業時間の短縮による効率化が見込めるでしょう。
新たなスキルを学んだ人材は、従来の業務に新しい視点をもたらします。既存業務を知り尽くした従業員による新しいアイデアだからこそ、現場に即したアイデアが生まれることが期待されます。
リスキリングによって、従業員は新たなスキルを習得し、キャリアアップの機会を得ることにもつながります。このため、従業員のエンゲージメントが向上し、長期的な勤務につながるでしょう。高スキルの従業員が長く勤務する環境が整えば、「スキルアップができる企業」というイメージが定着し、優秀な人材も集まりやすくなります。
リスキリングを導入するには、次の4つのステップを踏んで進めます。
はじめに、求めるスキル・ゴール・対象者・目的を設定します。求めるスキルは漠然としたものではなく、企業の現状と理想の姿を比較して、差のある部分を明確にします。対象者はゴールに近い部署や役職などから選定しますが、リスキリングは無理に実施すべきものではありません。対象者を選定したら、必ず本人に受講の意思を確認しましょう。
学ぶべきスキルと対象者、目的を明確にしたら、学習日程・学習方法・カリキュラムを作成します。リスキリングは自社の成長のための人材育成が目的であり、従業員が個人的に行う学習とは異なります。従業員のモチベーション低下を防ぐためにも、リスキリングの学習は業務時間内で行うことが望ましいでしょう。
学習方法は、e-learningや対面での研修、外部研修などさまざまな選択肢があります。従業員の意見を聞いてニーズに合わせたプログラムを構築しましょう。
プログラムを作成したら、スケジュール通りに研修を実施していきます。研修効果を高めるために、質問や面談、課題のチェックシートなどを通じてフォローアップも行うとよいでしょう。また、リスキリングを実施している期間は研修と業務の両方をこなすことになるため、受講者の負担が増えます。面談の際には、受講が過度な負担になっていないか、キャリア観に変化はないかをヒアリングすることもポイントです。必要に応じて勤務時間や業務量の調整を行い、受講者が無理なく学習を進められる環境を整えましょう。
リスキリングは、身に付けたスキルを現場で活用することが最大の目的です。そこで、次の3点を意識して効果を測定します。
リスキリングが組織に根付くことで、従業員の成長意欲が高まり、企業全体がより強い組織へと成長していくことが期待できます。上記のうち1つでも満たされていないものがある場合は、追加プログラムや個別のフォローを実施して、リスキリングの効果を最大化させましょう。従業員同士でフィードバックの機会を設けると、プログラムがブラッシュアップできます。
学び続ける企業文化を築くことで、従業員一人ひとりがより高いパフォーマンスを発揮することができ、企業の成長につながります。
リスキリングの効果測定には、研修後のヒアリングやアンケートの実施をおすすめします。当社は20年以上の調査実績を基にオーダーメイド型のアンケートサービスを提供しています。リスキリングの影響・効果を的確に把握し、さらなる改善につなげるために、ぜひご活用ください。
リスキリングとは、業務の変化に対応するために必要なスキルを習得することです。企業には人材不足の解消や業務効率化を、従業員にはキャリアアップの機会を提供します。導入に際しては、求めるスキルやゴールを明確にし、実施後に効果測定をすることが重要です。
リスキリングの実施中は従業員の負担が増えるため、定期的にヒアリングやアンケートを実施し、サポートを提供することが成功のポイントとなります。
リスキリングの導入に役立つポイントを押さえたチェックリストも提供していますので、ぜひご活用ください。
リスキリングによって業務を効率化し、組織全体を活性化させましょう。
株式会社アスマーク 営業部 Humap事業G