就業規則の変更が従業員に与える影響と注意点とは?

この記事を読む方の中には

「就業規則を変更したいが、どうすればよい?」とお悩みの方がいるのではないでしょうか。

 

そこで今回は、就業規則の変更が従業員に与える影響と、就業規則を変更する際の注意点についてご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

就業規則とは?

就業規則とは、組織で働く人が守るべき基礎的な事項をまとめた規則です。労働基準法第89条第1項により、常時10人以上の従業員を雇用する使用者は、就業規則を作成し、労働基準監督署への届け出が義務付けられています。

 

就業規則には、就業中のトラブルを防止するために、給与・労働時間や休日などの記載が必要です。

就業規則の変更が従業員に与える影響

就業規則を変更することで、従業員の意識や環境に変化を及ぼします。主な変化は4点です。

モチベーションとエンゲージメント

就業規則は、組織で働く労働者の秩序を守るために必要です。例えば、パワハラに関する規定がないときに、上司からパワハラを受けたとします。規則がない場合、被害にあった従業員を守ることができません。

 

しかし、就業規則にハラスメントの禁止の声明、懲戒内容などハラスメントを防止できるよう明記した規則に変更することで、被害にあった従業員を守ることができます。安心して働ける環境を作ることにより、モチベーション・エンゲージメント向上に効果的です。

 

ワークライフバランス

就業規則は、ワークライフバランスにも影響を及ぼします。就業規則に勤務時間や休日の規定があれば、ワークライフバランスの改善が可能です。しかし、就業規則に勤務時間の記載がなければ、労働基準法第35条が適用される形となります。その場合、休日は毎週少なくとも1回与える週休制が原則とされ(例外として4週間を通じて4日以上の休日を与える変形休日制が認められています。)、プライベートを充実させることは難しいでしょう。従業員の心身を守れない組織では、安心して働けず、病気休業や離職が増えるかもしれません。

キャリアの見通しや成長機会

就業規則により、従業員の人事規定や、職場環境の整備をしておけば、従業員の成長機会が増えます。例えば、ハラスメント対策の規則を設けておけば、部下の成長機会をパワハラ上司から守れるでしょう。人事規定を設ければ、キャリアアップの見通しが立てられて、従業員のモチベーション向上が期待できます。

組織と従業員間のコミュニケーション

組織は、従業員の労働環境を守るのが義務です。しかし、従業員の間には組織が気づかない課題があるかもしれません。就業規則を整備する過程で従業員の意見を聞くことで、潜在的な課題が見つかる可能性があります。就業規則の変更は、従業員の意見を聞くよい機会となるでしょう。

就業規則を変更する場合の注意点

就業規則の変更には、労働契約法・労働基準法で定められた注意点があります。法律により義務付けられた注意点なので、遵守しましょう。

原則は労働者の合意なしに変更できない

就業規則は、原則として労働者の合意なく変更してはいけません。労働契約法9条に定められています。合意があった場合においても、組織から労働者に強制した合意の場合、その合意は無効です。

合理的な変更であるか検討する

就業規則を変更する場合には、合理的な変更であるか検討が必要です。特に、手当の廃止や労働時間の変更など、労働者が不利益となる変更の場合、変更の旨に加えて変更の理由を説明しなければなりません。合理的な変更を労働者へ説明するのは、労働契約法10条に定められています。

組織から従業員に説明して周知する

就業規則を変更したときは、速やかに従業員へ説明しなければなりません。従業員への周知は労働基準法第106条で定められています。就業規則を変更しても、従業員に周知していなければ、その変更は無効です。周知の方法は、各事業所の目立つところに掲示するほか、書面での交付・備え付けが義務付けられています。

就業規則への意見を把握する方法

就業規則を変更するのであれば、従業員の意見を反映した規則へ変更すれば、より働きやすい環境が実現可能です。そこで、従業員の意見を把握する方法をまとめました。

過半数代表者との話し合い

就業規則を変更したい場合は、過半数の代表者の意見を聞かなければなりません。この過半数代表者との話し合いは、労働基準法90条で定められています。過半数代表者とは、管理・監督する立場になく、労働者から選出された人のことです。

 

過半数代表者と話し合い、従業員の意見を把握することで、従業員に寄り添った就業規則へ変更できるでしょう。

 

1on1で一人ひとりの意見をきく

組織は大きくなるほど全体を把握するのは難しいでしょう。そこで、1on1などゆっくり話す機会を設けて従業員の意見を聞くのがおすすめです。1on1により、組織が気づかなかった労働環境の課題を見つけられるかもしれません。

アンケートを実施する

従業員アンケートは、面と向かって言いにくい意見を聞くよい機会です。従業員の本音が聞ければ、組織に合った就業規則へ変更ができます。組織内のトラブル回避や、よりよい労働環境の提供が実現可能です。

口頭では意見を言いにくい方への配慮が重要

就業規則を変更するときは、過半数代表者の同意と社内への十分な周知、合理的な理由があれば、労働基準法・労働契約法には抵触しません。しかし「従業員が本当はどう思っているのか?」を把握することで、トラブル回避につながります。

 

従業員の本音を探るためには、匿名性のあるアンケートを第三者機関が実施するなど、回答する従業員への配慮が必要です。

オーダーメイド型の従業員アンケート

アスマークの「従業員アンケート」は、オーダーメイド型の従業員アンケートサービスです。例えば、以下のような場合に活用できます。

  • 従業員満足度調査
  • ハラスメントアンケート
  • コンプライアンスチェック
  • 組織の心理的安全度を計測
  • ストレスチェック

 

 

Humapの「従業員アンケート」では、長年蓄積したノウハウを元に、有効な回答が得られる設問を設計します。加えて、調査結果は、求めるイメージ通りのアウトプットや、調査結果から見えるサマリー・結論を付けたレポートの提供が可能です。

 

就業規則の変更が従業員に与える影響と、就業規則を変更するときの注意点について解説しました。従業員の不利益から守るため、就業規則の変更には、従業員への周知や過半数代表の意見を聞かなければなりません。

 

しかし、就業規則を変更するのであれば、法律のためだけでなく、よりよい労働環境を提供したいものです。そこで、1on1やアンケートなど、従業員の本音を聞く機会を作りましょう。アンケートは、第三者が実施する匿名性の高いアンケートを行えば、従業員の本音を引き出しやすいです。従業員の本音を聞き出すためにアンケートサービスを活用してみてはいかがでしょうか。

執筆者

Humap編集局

株式会社アスマーク 経営企画部 Humap事業G

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