アルムナイ採用のメリットと成功へ導くポイント

この記事を読む方の中には
「アルムナイ採用を導入したい」とお悩みの方がいるのではないでしょうか。

そこで今回は、アルムナイ採用のメリットと成功へのポイントをご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

アルムナイ採用とは?

アルムナイ採用とは、以前勤務していた社員を再雇用する制度のことです。英語で「同窓生」「卒業生」をあらわすalumni(アルムナイ)をビジネスシーンで使ったことからはじまりました。退職者を貴重な人材と捉えて新たな採用スタイルとして注目されています。

アルムナイ採用は、企業によって「カムバック採用」「出戻り採用」「ジョブリターン制度」などと呼ばれることがあります。呼び方は違うものの、退職者を再雇用する点は同じです。しかし「再雇用制度」というと、一般的に定年退職者を別の雇用形態で再雇用することを指すことが多いようです。

アルムナイ採用が注目される背景

アルムナイ採用が注目されているのは、3つの社会的背景があるためです。

  • 労働人口の減少
  • 働き方の多様化
  • 終身雇用制度の崩壊

近年は「一つの組織で定年まで勤め上げる」と言った常識は崩れつつあり、転職することや複数の会社に勤めることはめずらしくありません。加えて、少子高齢化のため労働力が不足しています。企業が優秀な人材を確保するための手段として、アルムナイ採用が注目されています。 過去の調査においても、入社5年以内の転職意向が高いという結果が出ました。この調査結果からも、働き方に対する意識の変化がうかがえます。

 

アルムナイ採用のメリット

アルムナイ採用により、離職率の低下や生産性の向上が期待できます。主なメリットは3点です。

採用時のミスマッチを防げる

アルムナイ採用の対象者は、以前勤務していた社員です。新規採用に比べて社風や人間関係を理解しているため、ミスマッチが減らせます。採用時のミスマッチが減ると、離職率の低下にも効果的です。

即戦力の人材が獲得できる

再雇用後は、組織へスムーズになじめるため、即戦力として活躍が期待できます。また、前職で経験を積んだ元社員は、過去のキャリアを生かして新しいアイデアの創出や課題解決に貢献できるでしょう。

採用コストの削減

新たな人材を採用する場合、採用広告や一からの研修に多くの費用がかかります。アルムナイ採用であれば、求人広告や1からの研修が不要なため、採用コストの削減が可能です。

アルムナイ採用の事例

アルムナイ採用を導入している企業の事例をご紹介します。

三菱重工

三菱重工は、勤続1年以上かつ自主退職者を対象としてアルムナイ採用を実施しています。会員制の専用サイト「ウェルカムバック採用サイト」へ登録すると、求人やイベント情報の閲覧が可能です。 また、再雇用に関する不安を解消するために、カムバックコーディネーターを配置しています。専用サイトは、Webから登録するため、気軽に登録しておけるのがポイントです。

参考:三菱重工業株式会社_ウェルカムバック採用

パナソニックホールディングス

パナソニックホールディングスでは、2024年4月にアルムナイネットワークの本格運用を開始しました。専用アプリとWebサイトから登録が可能です。 企業の情報発信だけでなく、アルムナイメンバーの現職情報や企業・アルムナイメンバー同士のチャットルームなど、身近に感じられる工夫をしています。

参考:パナソニック ホールディングス株式会社_「パナソニックグループ・アルムナイコミュニティ」が本格運用を開始

ジャパネットホールディングス

ジャパネットホールディングスは、2024年9月6日に中途採用で元社員を対象とした「ウェルカムバック採用」を強化すると発表しました。対象者専用の応募フォームと選考ルートを用意し、即戦力人材の確保につなげ、グループ16社、100以上の職種の雇用安定化を目指しています。

参考:ジャパネットグループ_「ウェルカムバック採用制度」

アルムナイ採用の導入に必要な準備

アルムナイ採用の導入には、準備が必要です。ポイントをいくつかご紹介します。

  • 募集要項・採用の条件・入社後の待遇を制度化
  • 担当者の選定
  • 専用ツールやイベントの準備
  • 既存社員へ周知

 

懲戒を理由とした退職者や短期間しか勤務していない社員を受け入れても、生産性の向上は見込めません。そこで、応募や採用の条件など、アルムナイ採用専用のルールを制定しましょう。

アルムナイ採用の成功には、退職者とのコミュニケーションが大切です。そこで、アルムナイ採用の担当者を選定し、専用サイトの構築や退職者と交流するためのイベント、情報発信を実施します。

アルムナイ採用によって、既存社員への影響も考慮すべきポイントです。出戻りへのマイナスイメージを払拭するため、丁寧に説明しましょう。また、アルムナイ採用によって退職へのハードル低下が懸念されます。誰でも再雇用するわけではないことも説明が必要です。

アルムナイ採用を成功へ導くポイント

退職時のフォロー体制を見直す

退職者が会社を嫌ったままの場合、アルムナイ採用に応募したいと考えないはずです。退職時によい印象を残せば、アルムナイ採用へつながります。退職時の面談で本音を聞き、アルムナイ採用へつなげましょう。 退職面談の準備と実践のためのチェックリストを作成しました。印象に残る退職面談のために、ぜひご活用ください。

 

アルムナイネットワークの形成

退職後、期間をおいて突然同社へ求人を応募するのは勇気が必要です。そこで、日頃から退職者と企業がコミュニケーションを取ることが大切です。SNSやチャットを活用したオンラインでの交流と、イベントやパーティーなどのオフラインでの交流を実施し、応募しやすい雰囲気作りを心がけましょう。 アルムナイネットワークの導入について詳しい解説は、下記をご覧ください。

 

人事・給与制度の見直し

退職時の条件を基準とするか、退職後のキャリアを考慮するかによって、再入社後のモチベーションや既存社員の不満へつながります。再雇用するときは、給与やポジションを決め直す必要があります。事前に制度化しておけば、納得感のある再雇用につながるでしょう。

入社後のフォロー体制を整備する

再入社した社員は「自社のことを知っていて当然」という思い込みにより、大きなミスマッチを招く恐れがあります。そこで、職場環境や人間関係に対する不安を払拭するために、一定のフォロー期間を設けることが大切です。フォローには、自社の環境を把握するだけでなく、過去のキャリアへも注目しておくと、よりスムーズに復帰できるでしょう。

既存社員へ配慮する

再入社によって、出戻り社員の待遇が大きく違う様子を見た既存社員は「再入社した方が得」と考え、モチベーションを下げてしまうでしょう。状況によっては、待遇の違いを理由として退職へ至るかもしれません。そこで、既存社員へアルムナイ採用について理解を深めてもらいましょう。 既存社員の不満を把握するためには、定期的なアンケート調査がおすすめです。

従業員の本音を聞いてアルムナイ採用に活用しよう

アスマークの「従業員アンケート」は、新たな制度の導入前や、退職要因の分析など、あらゆる悩みに対応したアンケートサービスです。 アンケートの成功には、有用な回答の収集と分析がポイントです。本サービスでは、悩みに応じて有用な回答が得られる設問を提案します。 設問設計から分析、レポートの作成まで幅広い対応が可能なため、手間をかけないアンケートの実施が可能です。

アルムナイ採用とは、退職者を再雇用する採用制度のことです。働き方に対する考え方の変化や労働人口の減少により、注目されるようになりました。 アルムナイ採用を導入すれば、即戦力が採用できるうえに、採用コストを削減できます。採用制度の成功には、退職時のフォローやアルムナイネットワークの構築、人事・給与制度の見直しが大切です。 アルムナイ採用を活用し、生産性の向上やイノベーションの創出を実現しましょう。

 

執筆者

Humap編集局

株式会社アスマーク 営業部 Humap事業G

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