2024年10月改定!知っておくべき最低賃金の基礎知識。派遣にも適用される?

2024年10月から、最低賃金が大幅に引き上げられますが、
「派遣社員の最低賃金はどう変わるの?どの都道府県のものを適用すればいいの?」とお悩みの方がいるのではないでしょうか。

そこで今回は、派遣社員の最低賃金についてご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

 

最低賃金とは?

最低賃金とは、最低賃金法に基づき、雇用主が労働者に支払わなければならない賃金の最低額を取り決めた制度です。派遣社員を含めた、正社員、アルバイト・パート等すべての雇用労働者の賃金に適用されます。最低賃金は、公益代表・労働者代表・使用者代表で構成される最低賃金審議会によって、年に1回改定されています。

適用される対象者

最低賃金は、雇用形態に限らずすべての労働者とその使用者に適用されます。
ただし、下記の労働者においては、使用者が都道府県労働局長の許可を得ることで「最低賃金の減額の特例」が認められています。

  • 精神または身体の障害によって著しく労働能力が低い方
  • 試用期間中の方
  • 基礎的な技能訓練を受けている方のうち厚生労働省令で定める方
  • 軽易な業務に従事する方
  • 断続的な労働に従事する方

断続的な労働とは、間欠的に行われる労働のことです。どの要件においても、減額の対象となる期間や業務内容などを細かく設定する必要があります。

参考:厚生労働省_最低賃金法第7条の減額の特例許可事務マニュアルの作成について

 

対象となる賃金

最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金です。具体的には、基本給と諸手当を対象とします。ただし、毎月発生する手当の中でも、通勤手当・家族手当・精皆勤手当は最低賃金の対象に含みません。

また、毎月支払われる基本的な賃金が条件なので、残業代や賞与、出産手当なども対象外です。

【2024年度】地域別の最低賃金一覧

最低賃金は、年に1回10月に改定されます。2024年度の最低賃金は、以下の通りです。

※岩手、山形、島根、徳島、愛媛、佐賀、長崎は令和6年9月9日現在未決定

参考:厚生労働省 地域別最低賃金の全国一覧

 

発効年月日とは、最低賃金を改定する日です。10月5日の都道府県は、10月1日から4日までの給与は前の賃金で計算し、10月5日勤務分から改定後の最低賃金が適用されます。

2種類の最低賃金

最低賃金は、都道府県ごとに決められた「地域別最低賃金」と特定の産業を対象とした「特定(産業別)最低賃金」の2種類があります。勤務先が地域別と産業別が同時に適用される場合、使用者は高い方の最低賃金を支払わなければなりません。

地域別最低賃金

地域別最低賃金は、産業や職種に関係なくすべての労働者に適用される賃金です。全国的な整合性を取るために、中央最低賃金審議会によって引き上げ額の目安が決められ、都道府県ごとの審議会が最低賃金を決めています。

特定(産業別)最低賃金

特定(産業別)最低賃金とは、特定の産業に対して設定されている最低賃金です。地域別最低賃金より高い最低賃金を定める必要があると認められた特定の産業について、産業別賃金が設定されています。なお、特定の産業で勤務していても次の要件を満たす場合、産業別最低賃金は適用されません。

  • 18歳未満または65歳以上
  • 雇入れ後一定期間未満の技能習得中
  • その他当該産業に特有の軽易な業務に従事する場合

参考:厚生労働省_特定(産業別)最低賃金全国一覧

 

派遣社員の最低賃金

派遣社員の最低賃金は、派遣先企業の所在地の最低賃金が適用されます。給与は、派遣会社から支払われるものの、最低賃金は派遣先企業の所在地が基準となるため、注意が必要です。

労働者・派遣元が同じ都道府県だが派遣先は違う場合

労働者の居住地と派遣元の所在地が同じ都道府県の場合でも、派遣先がある都道府県の最低賃金が適用されます。派遣先企業に複数の支社がある場合においては、最低賃金は勤務地の支社がある都道府県の額となります。

労働者・派遣元・派遣先すべての都道府県が違う場合

労働者・派遣元・派遣先すべての都道府県が違う場合、派遣先の最低賃金が適用されます。

派遣先企業の地域に産業別最低賃金がある場合

派遣先企業が地域別と産業別の両方に該当する場合は、勤務地の最低賃金のうち、地域別と産業別いずれか高い金額が適用されます。

同一労働同一賃金について

大企業は2020年4月から、中小企業は2021年4月から、パートタイム・有期雇用労働法によって正規雇用労働者と非正規雇用労働者の不合理な差別をなくす「同一労働同一賃金」が制定されました。 同一労働同一賃金における最低賃金の決定方法は、業務内容によって待遇を設定する「派遣先均等・均衡方式」と派遣元と過半数の労働者で決める「労使協定方式」があります。

派遣社員の賃金は、派遣元企業が採用している方式が基準です。どの方法においても、最低賃金を下回ることはありません。

 

最低賃金の計算方法

自社で雇っている派遣社員が最低賃金を下回っていないかチェックするために、計算方法を知っておきましょう。計算方法は、時給・日給・月給など、受け取り方によって異なります。

1.時給の場合

時給の場合は、そのままの金額を最低賃金と比較します。

時間給≧最低賃金額(時間額)

例えば、東京都での勤務の方が時給1,300円だったとしましょう。2024年度の東京都の最低賃金は、1,163円です。受け取る時給の方が高いため、最低賃金を下回っていないことが分かります。

2.日給の場合

日給の場合は、1日の所定労働時間から時給を算出します。

日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

例えば、日給が8,000円で所定労働時間が8時間だったとしましょう。8,000円÷8時間=1,000円のため、東京都の最低賃金を下回る結果となりました。 ただし、日額が決められている産業別最低賃金が適用されている地域の場合は、日給をそのまま比較します。 日給≧最低賃金額(日額)

3.月給の場合

月給の場合は、月の労働時間を使って時給に換算してから比較します。

月給÷1ヵ月の平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

例えば、月給19万円で月の平均所定労働時間が160時間としましょう。19万円÷160時間=1,187.5円のため、東京都の最低賃金1,163円を上回っています。

4.出来高払その他請負制の場合

出来高払いや請負制の場合は、賃金の総額を総労働時間で割って時給を算出します。

賃金総額÷総労働時間数≧最低賃金(時間額)

出来高払いや請負の場合は、当該業務に対する賃金と労働時間をあらかじめ確認しておく必要があります。

5.1~4を組み合わせた場合

日給と月給など、複数の方法を組み合わせた場合は、日給・月給などの種類別に時間給を算出してから合算します。 例えば、基本給は日給9,000円で所定労働時間が7時間、職能手当ては月給30,000円で月の平均所定労働時間が140時間としましょう。

【日給部分】基本給9,000円÷7時間=1,287.6円≒1,288円
【月給部分】職能手当30,000円÷140時間=214.2円≒214円
【時間給】1,288円+214円=1,502円

計算結果から、東京都の最低賃金を上回っていることが分かりました。 派遣社員においても、最低賃金は保障されています。自分の給与が最低賃金を下回っていないか、10月の改定を機に計算しておくのが大切です。

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最低賃金とは、雇用主が労働者へ支払わなければならない賃金の最低額を取り決めた制度です。雇用形態に限らず、毎月支払われる基本的な給与に対して適用されます。

最低賃金には、地域別と産業別の2種類があり、勤務先が両方を適用している場合は、高い方の金額が最低賃金です。 派遣社員の最低賃金は、派遣先企業の最低賃金を適用します。2021年4月より、全企業に義務付けられている「同一労働同一賃金」制度においても、最低賃金を下回ることはありません。

 

自分の給与が最低賃金を下回っていないかチェックするためには、給与を労働時間で割った時間給を算出し、勤務先の最低賃金と比較します。地域別最低賃金の改定月は、毎年10月です。ぜひ一度最低賃金をチェックしてみてください。

 

執筆者

Humap編集局

株式会社アスマーク 営業部 Humap事業G

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