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この記事をご覧になっている人事担当者の皆様の中には、「毎年ES調査を実施しているものの、正直なところ成果が見えない」「現場から『またアンケートか』『意味があるのか分からない』と言われている」といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
近年、ES調査(従業員満足度調査)を導入する企業は増えています。一方で「実施しているにもかかわらず離職は減らない」「組織改善につながっている実感が持てない」という声が聞かれるのも事実です。結果として、「ES調査は意味がないのではないか?」という認識が社内に広がってしまうケースも見受けられます。
しかし、本来ES調査は、正しく設計・運用すれば、離職防止や組織課題の早期発見に大きく寄与する施策です。「意味がない」と感じられてしまう背景には、調査そのものではなく、目的設定や運用、結果の活用方法に課題が潜んでいる場合がほとんどです。
本記事では、ES調査が「意味のない状態」になってしまう原因を整理したうえで、実務に活かすための具体的なポイントを分かりやすく解説していきます。
ES調査を正しく活用するためには、まず「ESとは何か」を正確に理解しておくことが欠かせません。 また、近年よく耳にする「エンゲージメント」との違いを曖昧なままにしていると、調査設計や活用の場面でつまずきやすくなります。
人事領域では、以下の3つの概念が混同されがちです。
ESはあくまで「満足しているかどうか」を測る指標であり、必ずしもエンゲージメントや成果と直結するわけではありません。たとえば、「居心地は良いが、成長実感はない」という状態は、ESは高くてもエンゲージメントは低い可能性があります。
この違いを理解せずに調査を行うと、「満足度は高いのに、離職が止まらない」「結果を見ても、何を改善すべきか分からない」といった事態に陥りやすくなります。
ES調査の本質的な価値は、離職の“兆し”や組織の歪みを、早期に可視化できる点にあります。 たとえば、
といった傾向を、定量的に把握することが可能です。 重要なのは、ES調査を「結果を見るためのイベント」として終わらせるのではなく、課題仮説を検証するための手段として位置づけることです。
ES調査が「意味ない」と評価されるとき、原因は調査そのものではなく、運用設計や意思決定の仕組みにあることがほとんどです。言い換えれば、調査結果が「現場の行動」や「会社の判断」に接続されていない状態といえます。ここでは、実務で頻出する3つのパターンを取り上げます。
最も起こりやすいのが、「集計して終わり」の状態です。人事としては、集計や分析、報告書作成だけでも相応の工数がかかるため、そこで力尽きてしまうケースも少なくありません。
▼よくある状態
この状態が続くと、従業員は「答えても、何も変わらない」と感じるようになります。 その結果、次回以降の回答率が下がるだけでなく、“本音”よりも“無難な回答”が増え、データの質そのものが劣化していきます。 ES調査は、改善まで含めて初めて“意味がある施策”になるものであり、結果をどう扱うかが価値を左右します。
設問設計が曖昧だと、「結果は出たが、何をすればよいか分からない」という状況に陥ります。
▼よくある状態
設問設計が曖昧な場合、「満足度が低い/高い」という事実は把握できても、「では、何を変えるのか」が見えてきません。ES調査では、“聞きたいこと”ではなく、“変えたいこと”から逆算して設問を設計することが重要です。設問は、改善施策に活用できる粒感で設計する必要があるのです。
回答率が低い調査は、統計的にも実務的にも扱いづらくなります。特に部署別の分析を行う場合、母数が小さくなるほどブレが大きくなり、誤った解釈を招きやすくなります。
▼よくある状態
回答率や本音度が低い調査は、数値が揃っていても実態を正しく反映していません。特に注意したいのは、離職リスクが高い層ほど回答に慎重になる点です。その結果、本来拾うべき声が消え、改善の方向性を誤るリスクが高まります。
正しく情報をとれたとしても、自社だけの結果では結果の良し悪しがわからず、何から改善すべきかがわからないケースが多いです。比較対象など結果を判断する基準があることが重要です。
▼よくある状態
調査後の改善の効果を最大化するには、調査で「自社にとっての重要な課題」を明らかにし、適切な改善施策を行うことです。優先順位付けが正しくできないと、せっかく施策を実行しても改善効果が出ない結果に終わりかねません。
ES調査をより効果的に組織改善に活かすためのポイントを紹介します。
ES調査を「意味ある施策」にするためには、調査の前に目的とゴール(KPI)を決めておくことが欠かせません。調査は“現状把握”の手段ではありますが、実務では「何を変えるための把握なのか」が明確でなければ、結果が行動につながりません。離職対策に直結させるのであれば、なおさらです。
まず重要なのは、「減らしたいもの」「増やしたいもの」を言語化することです。たとえば離職対策なら、単に「離職率を下げたい」ではなく、もう一段階具体化します。
▼整理すべきポイント
たとえば「若手の早期離職を減らしたい」「特定部署の定着率を改善したい」といった形で、対象を具体化します。そのうえで、ESスコアだけでなく、離職率・定着率といったKPIと結びつけることで、調査結果が経営や現場の判断材料として活用できるようになります。
次に大切なのは、調査設計を「意思決定が行われる単位」に合わせることです。全社で一律に改善できる課題もあれば、部門のマネジメントに委ねるべき課題もあります。拠点差が大きい企業では、物理的な環境や業務特性が離職に影響している場合もあるでしょう。
▼意識したい設計視点
意思決定単位を意識せずに設計すると、結果が出た後に「誰が動くのか」が決まらず、やりっぱなしになりがちです。あらかじめ「どの単位で改善するか」を想定して設計することで、調査後のアクションが格段にスムーズになります。
ES調査は、設問の質が高くても、「回答される」「本音が出る」状態でなければ成立しません。回答率と信頼性は調査の土台であり、ここを固めるには、設計と周知の両輪が必要です。
回答率が伸びない理由の多くは、「忙しい」「面倒」「後回し」の3つです。したがって、負荷を減らし、回答行動を起こしやすい環境を整えることが重要です。
▼実務上の工夫
特に現場職や店舗職が多い企業では、「回答しやすさ」が回答率に直結します。10分以内で完了する設計を一つの目安にすると、未回答を防ぎやすくなります。
信頼性を高めるうえで、最も重要なのは匿名性への不安を払拭することです。従業員が懸念しているのは、「匿名と書いてあるが、本当は誰の回答か分かるのではないか」という点です。ここは、制度説明だけではなく、“運用の具体性”によって安心をつくる必要があります。
たとえば、
といった対策が有効です。
さらに、管理職の巻き込みが欠かせません。従業員は、調査に対する“職場の空気”を上司の言動から敏感に読み取ります。管理職が「やっておいて」と形式的に伝えるだけだと、調査はただの雑務になってしまいます。一方で、管理職が「改善につなげるために必要」「結果を受けて職場で話す」と明言することで、本音が引き出されやすくなります。回答率と本音度は、管理職のコミットメントによって大きく左右されるのです。
ES調査を「やりっぱなし」にしないためには、結果の読み解き方と実行プロセスをセットで設計する必要があります。結果が出た瞬間がスタートであり、調査の価値は“その後”で決まります。
結果が出ると、ついスコアが低い項目に目が行きがちです。しかし、スコアの低さだけで優先順位を決めると、施策が空回りしやすくなります。ここで有効なのが、「影響度」と「改善余地」の2つの視点です。
「影響度」とは、その項目が離職やパフォーマンスにどれほど関係しているか、という観点です。 「改善余地」は、現状のスコアが低い、あるいはばらつきが大きく、改善による伸びしろが見込めるか、という観点を指します。両方が高い領域は、投資対効果が出やすい“急所”になります。
▼優先順位付けの考え方
スコアが低い項目すべてに手を付ける必要はありません。影響度と改善余地の両面から整理することで、限られたリソースでも効果が出やすいテーマを選定できます。
やりっぱなしを防ぐには、フィードバックを「一度の報告会」で終わらせず、行動と管理に落とし込むことが重要です。実務では、次の流れをつくると進めやすくなります。
▼実行フェーズの流れ
ここまで行って初めて、従業員は「答えた意味があった」と感じます。 ES調査は単発の取り組みではなく、継続的な改善サイクルの起点として位置づけることが重要です。
ES調査は、「実施すること」自体が目的ではありません。 分析し、優先度を明確にし、改善施策につなげるところまでを一連のプロセスとして設計することが重要です。
▼アスマークの「ASQ」で、施策につながるES調査(従業員満足度調査)へ
アスマークの「ASQ」は、調査設計から分析、改善優先度の明確化、施策検討までを一気通貫で支援するES調査サービスです。
ASQは人材コンサルティング会社と調査会社から生まれた従業員満足度調査で「組織改善の具体策までわかる」ES調査となっています。初めての調査でも網羅的に組織の課題を把握できる設問設計で、何が離職の要因となっているのか洗い出すことが可能です。
さらに改善に向けた具体策があるため、結果を見たその日から改善に向けたアクションに取り組めます。
「調査はしているが、活かしきれていない」と感じている企業にとって、有効な選択肢となるでしょう。 ES調査を「意味のないもの」にしてしまうか、「組織を変える武器」にできるかは、設計と運用次第です。この機会に、自社のES調査のあり方を見直し、本当に施策につながる調査設計に取り組んでみてはいかがでしょうか。
施策提言まで込みの
真に役立つES調査パッケージ

株式会社アスマーク マーケティング・CSチーム運営
【活動の実績】
ハラスメント・エンゲージメント・働き方改革に関する知見発信において、自社登壇セミナー開催数は累計320回、申込者数は23,000人を突破。関連資料の利用者は17,000人以上。(※2026年現在)
【受賞歴・社会活動】
・SUCCESS STORY AWARD 2025 アワード受賞(座席管理ツール「せきなび」) 受賞詳細:https://digi-mado.jp/success-story-award-2025/sekinavi/
【学術・教育支援】
大学等の教育機関へ1万人規模の実証データを提供し、PBL(課題解決型学習)教育の支援も行っています。
プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000593.000018991.html
監修:竹中 重雄(Shigeo Takenaka)
株式会社アスマーク マーケティング管轄 マネージャー
リサーチ業界およびマーケティング領域で10年以上のキャリアを持つスペシャリスト。従業員満足度調査「ASQ」のサービス立ち上げに参画し、業界比較分析も起案。人材コンサル会社と協力し「やりっぱなしで終わらせず、改善できるES調査」の開発を主導。
本記事の監修にあたって: 自身の豊富な実務経験に基づき、公開情報の正確性と、読者の皆様のビジネスに即した実用性を厳格に審査しています。

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