元外資系企業人事マネージャーが語る人事部門の役割とは【前編】

企業における人事部門といえば、採用や給与計算を行っている部門だと理解している方は多いでしょう。たしかにそういった役割も人事部門の一つですが、それだけではありません。ここでは人事部門の役割についてご紹介したいと思います。 >後編はこちら

1. 人事部門の役割

どの会社においても人事部あるいは人事の役割を担う部門・担当者がいます。企業規模や組織としての成熟度によって人事部門の体制や求められるものは変化していきますが、人事部門の役割は大きく3つにわけることができます。

1-1 オペレーション

人事実務のエキスパートとして、地域・事業横断で効率化・最適化をするためにシェアードサービスやアウトソーシングを推進しています。主に社員とのやりとりのなかで発生します。具体的には以下のような業務です。

  • 給与賞与計算・支給
  • 福利厚生
  • 勤怠管理
  • 労務管理
  • 人事システム運用
  • 採用実務運営 など

1-2 制度企画・運営

社内における人事専門領域の企画・設計機能として、経営層やビジネスパートナーを支援します。経営戦略に基づいた各種制度の構築だけではなく、制度の管理・運営も担当します。企業規模が大きくなると制度も複雑になる傾向があります。経営戦略だけでなく従業員の生活にも直結するため、現実に即した制度の構築が必要です。具体的には以下のような業務です。

  • 組織開発
  • 後任者計画・採用戦略など全社的なタレント開発
  • 評価制度・報酬制度など人事制度の構築
  • 研修プログラムの開発
  • 人事システムの設計・開発 など

1-3 HRビジネスパートナー

各事業部門に寄り添い事業成果を最大化するために、事業戦略や経営目標を理解したうえで、経営戦略に基づいた人材や組織の企画・立案・実行を担います。具体的には以下のような業務です。

  • ビジネスリーダーのパートナーとして、事業戦略に沿った人材戦略を立案
  • 人材戦略に則った採用、人材育成の計画・実行
  • 事業部の従業員の相談窓口 など

創業されたばかりのスタートアップ企業ならば、社長が人事の役割を担っている、あるいは、組織拡大が主流のため採用担当しか置いていないケースもあります。スタートアップ企業もフェーズが変わっていくことによって、複数の人事担当者によって「人事部門」が組織化されていきます。 また、経営者の方針や企業規模によって、人事担当者としての仕事の内容・範囲が異なる場合があります。例えば、大企業のように社員数が多い場合、給与・社会保険などオペレーション担当、事業部門のHR ビジネスパートナー担当など役割を細分化している一方、中小企業では一人~少数の人事担当者が人事関連業務を幅広く担当しているケースが多いです。

最後に

人事部門の役割は多岐にわたっており、人事部門以外の社員からすれば、イメージがしやすい部分もあれば、なかなか認識されにくい部分もあります。近年、働き方改革や世の中の変化によって活躍の幅も広まっています。次回は人事部門への期待についてふれたいと思います。  

 

 

執筆者

アルドーニ株式会社

代表取締役 永見 昌彦

外資系コンサルティングファームなどで人事コンサルタントとして勤務した後、事業会社(ラグジュアリーブランド持株会社)で人事企画担当マネージャーとして人材開発・人事システム・人事企画を兼務。事業会社、コンサルティングファームの両面から人事に20年たずさわった経験を活かして、2016年にフリーランス人事プランナー・コンサルタントとして独立。2018年に法人化。現在、人事全般のプランニング・コンサルティング・実務にたずさわっている。

humapの編集ポリシー

 

元外資系企業人事マネージャーが語る人事部門の役割とは【後編】

経営層や他部門が人事部門に求めることとはなんでしょうか。
人事部門に期待する3つの側面をご紹介します。

> 詳しく見る

リーダーシップとは何か~元外資系人事マネージャーが語る

リーダーシップは組織やプロジェクトチームを運営していくにあたって重要なスキルです。
リーダーシップとは何か、リーダーシップを発揮するために必要な要素について2回にわけてご紹介します。

> 詳しく見る

おすすめ記事