近頃、多くの企業においてエンゲージメントの向上をはかる取り組みが増えてきています。そもそも、エンゲージメントとは直訳すると「約束」や「契約」といった意味になります。人事領域では、「社員が企業理念や所属企業の方向性に共感しており、(所属企業に)貢献したいと思っている状態」といった意味で用いられています。
そもそも、エンゲージメントに着目する背景はどこにあるでしょうか?
日本では少子高齢化が進んだことによって労働人口が減少しており、人材不足が課題となっている企業が増えてきています。そのため、人材を定着させることが重要となっています。また、終身雇用などの安定志向よりもキャリアアップを重視し、より良い環境を求めて転職する人が増加しています。そこで、自社に存在している問題点などを明確にして改善を重ねていくことが、離職防止=人材の定着につながると考えられています。株式会社リンクアンドモチベーションと慶應義塾大学の共同研究によると、エンゲージメントは労働生産性にプラスの影響をもたらすことが判明しています。 つまり、エンゲージメントが高い企業ならば、人材が定着し、長期的に企業の業績や生産性の向上が期待できると考えられています。
エンゲージメントを高めるには、企業と社員のつながりを深めることが大切です。それでは具体的にはどのようなことに取り組めばよいでしょうか?5つあげたいと思います。
社員が経営理念を意識・理解することなく仕事をすると、目指す方向が全く別になってしまいます。そのため、経営理念は社員に伝え、共有することが大切です。社長などの経営層が、積極的に経営理念や企業の価値観・未来を伝えていきましょう。
社内で意見がオープンにでき、コミュニケーションが取りやすい環境だと、社員間のチームワークも発揮されやすいです。コミュニケーションを活発にするには、例えば以下のような方法が考えられます。
社員にとって適切なスキルアップの機会を設けましょう。社員が自発的にスキルアップできる環境を企業が提供することによって、離職率の低下だけではなく、企業で活躍できる人材を育成することができます。具体的には研修プログラムの実際や、様々な業務にチャレンジできる仕組みを設けることなどが考えられます。
社員が納得できる適正な人事評価制度を構築することで、社員が積極的に仕事に取り組める基盤を確立させましょう。自身がやるべきことや何をすれば評価されるのかが明確になることで、企業に貢献しようという気持ちも強まるでしょう。
長時間に及ぶ残業は社員の健康を損ない、結果としてエンゲージメントを下げることになります。ワークライフバランスの取れた働き方が実現できるための施策(フレックス勤務やテレワーク制度など)を展開しつつ、業務量の定期的な見直しや業務手順・手法の改善を行いましょう。
エンゲージメントは、信頼関係や愛着心といった目に見えないものであるため、社員のエンゲージメントを掌握するには数値化する必要があります。そこで使用されるようになったのがエンゲージメントスコアです。エンゲージメントスコアを測るには、「パルスサーベイ」と、「エンゲージメントサーベイ」の2種類があります。
パルスサーベイは、「週に1回」「隔週に1回」など短期間で繰り返し数問の質問に答える簡易的な調査のことです。定期的に実施することもあり、人事や集計担当者が毎回集計や分析をするよりも、何か重大なアラートを検知する目的で実施する企業が多く、問題が発生したことにすぐに気づき、対策を行うことが可能です。
エンゲージメントサーベイは、企業と社員の関係性や満足度について様々な領域や様々な角度から多面的に回答をすることでより幅広く答えてもらい、問題の原因を特定する調査のことです。半期に1度あるいは年次で実施することが多いです。様々な角度から調査を行うため、アンケートの設問数は多くなります。ただし、それだけ多くのデータを集めることにつながるため、組織の課題が発見しやすいという特徴があります。例えば、従業員満足度調査ASQがあげられます。 エンゲージメントサーベイとパルスサーベイを組み合わせて実施することで、より明確な調査結果が得られます。
代表取締役 永見 昌彦
エンゲージメント調査とは?エンゲージメントの重要性と測定指標を解説
エンゲージメント調査を始めたい方や今までの調査を見直したい方へ。
エンゲージメント調査の重要性と活用法についてご紹介します。
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