改正育児・介護休業法とハラスメントの関係とは?

この記事を読む方の中には

「育児・介護休業法が改正されたが、ハラスメント行為が改善されない」とお悩みの従業員の方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、改正育児・介護休業法の概要とハラスメント防止策についてご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

児・介護休業法とは?

育児・介護休業法は、育児・介護の必要がある労働者が仕事を継続できるように支援することを目的とした法律です。具体的には、労働者の育児・介護休暇の取得、ハラスメント防止措置、労働時間の制限などがあります。

育児・介護休業法は、社会背景をもとに、何度も改正が行われてきました。直近では2021年6月に改正され、2022年4月1日から段階的に施行されています。

 

正の背景と理由

2021年の改正は、2つの社会的背景を受けて行われました。

第1に、女性の出産・育児による離職者の多さです。出産前に就業している女性の約3割が出産後に退職しています。最も多い理由は「育児と仕事の両立が難しいため」です。

第2に、男性育休取得率の低さです。厚生労働省の「令和3年雇用均等基本調査」によると、2021年度の男性の育休取得率は13.97%でした。女性の育休取得率85.1%に比べて6分の1程度と極めて低水準です。

これら2つの社会的背景には密接な因果関係があると考えられます。配偶者である男性の育児支援がなければ、女性の育児負担は増え、退職へ至る可能性が高くなります。こういった社会的背景を解消することを目的に、改正育児・介護休業法が制定されました。

参考:厚生労働省 令和3年度雇用均等基本調査

 

正による企業・組織への影響

改正育児・介護休業法により、企業には以下の6点への対応が義務付けられます。

  • 育児休業を取得しやすい雇用環境の整備
  • 妊娠・出産の申出をした労働者に対する、育児休業の個別周知
  • 意向確認有期雇用労働者の育児
  • 介護休業の取得要件の緩和
  • 産後パパ育休(出生時育児休業)を新設、育児休業の分割取得も可能に
  • 育児休業取得状況の公表育児休業等を理由とする不利益取扱いの禁止

ここで述べている「有期雇用労働者」とは、子どもの年齢が1歳6か月に達する日までに労働契約期間が満了することが明らかでない労働者のことです。より詳細な情報は、厚生労働省のホームページに公表されています。

参考:厚生労働省 育児・介護休業法について

 

正育児・介護休業法で注目される主なハラスメント防止策

改正育児・介護休業法に盛り込まれているハラスメント防止に対応すべく、ハラスメント防止策をご紹介します。

社内アンケートなどで実態を把握

妊婦への妊娠や出産に関する精神的・肉体的な嫌がらせである「マタハラ」(マタニティハラスメント)や、育児休業制度などを利用する男性社員への嫌がらせである「パタハラ」(パタニティハラスメント)の状況把握には、社内アンケートが効果的です。アンケートの実施は、状況調査とともに従業員の意識づけにも役立ちます。

社内ルールの整備

マタハラ・パタハラに対する規定が不足している企業は、社内ルールの整備が必要です。ルールには、違反となる行為および対応する罰則を明確にします。

外部相談窓口の設置

ハラスメント相談窓口を設置しましょう。被害にあっている労働者はもちろん、その周囲の労働者も相談しやすい体制の整備が必要です。相談窓口の対応は、受付後の体制の構築から運用フローの整備、再発防止策を講じるまでを指します。

また、相談の対応中に関係者のプライバシー保護や不利益を受けない配慮についても講じておきましょう。

社内の周知・啓発・教育

ハラスメントに関する社内周知や教育は、マタハラやパタハラに対する認識が不足している労働者に対して効果的です。主な周知・教育内容は、トップメッセージや自社のハラスメント防止措置、具体的なハラスメント行為と罰則などがあります。

また、社内アンケートの設問を身近な例にしたり、社内規則の周知へつながるようなものにしたりすると、アンケートを取るのと同時に啓蒙活動となるのでおすすめです。

発生した場合の再発防止策

ハラスメント防止策への対応を終えたのち、再発防止策を講じることが義務づけられました。相談対応フローのなかへ組み込んでおくとよいでしょう。

 

 

ラスメント防止の社内アンケートで失敗しないための7つの方法

実態把握に役立てようと社内アンケートを実施しても、有効な回答が得られなければ意味がありません。そこで、社内アンケートで失敗しないためのポイントを紹介します。

  • 質問文は一文一要素とし、簡潔に分かりやすい文章とする
  • 誘導する質問は避ける
  • 10分以内で回答できる質問数にする
  • 選択肢に「その他」を設ける場合は、合わせて自由回答欄を設ける
  • 設問順序は、時系列とカテゴリーを意識する
  • マトリクス形式のアンケートは多用しない
  • アンケートの目的・使途を明確にする

設問の文言・順序などに配慮することで回答率が向上し、有効回答が見込めます。有効回答が得られれば、ハラスメントの実態が把握でき、課題も見えてくるでしょう。

正育児・介護休業法をふまえて社内アンケートを成功させるコツ

改正育児・介護休業法をふまえた社内アンケートを作成するときに注意したい事項をご紹介します。主に以下の3つです。

当事者意識を持たせる設計であること

従業員に「当事者意識を持ってください」と呼びかけても、すぐに意識を変えさせることは難しいでしょう。しかし、社内アンケートは回答するだけでも有意義です。

そこでポイントとなるのが、よくあるハラスメントの事例や最近のニュースなど、イメージしやすい内容をアンケートの中に盛り込むことです。回答時に身近な事例として具体的にイメージできれば、従業員は当事者意識を持つことになります。

ハラスメントの周知につながる設計であること

設問によくある例やニュースを盛り込み、ハラスメントの具体的な言動・行為を設問に入れることは、従業員が当事者意識を持つことになるのと同時にどういった行為がハラスメントにあたるかの周知教育にもつながります。

改正育児・介護休業法にのっとった設計であること

改正育児・介護休業法のハラスメント防止策に準拠する項目を設問へ盛り込むことで、法にのっとった対応ができているのかの確認が可能になります。アンケート結果から課題が明確になり、具体的な施策が実施できるようになるでしょう。

以降、定期的にアンケートを実施することで、改善具合やその時点での実態や課題が明確になります。社内アンケートから改善施策までの流れを毎年実施することで、改正育児・介護休業法をふまえたPDCAサイクルが回せるのです。

事者意識を持たせたハラスメント防止サービス「CHeck」

アスマークの「CHeck」は、当事者意識を持たせてハラスメントを予防することを目的に開発されたハラスメント防止パッケージです。

1.実態調査アンケート

  •  ハラスメントからコンプライアンスまで網羅したアンケート
  •  回答に要する時間は約10分。
  •  スマホまたはパソコンから手軽に回答できる
  •  アンケートの回答自体がハラスメントへの理解度向上
  • 啓蒙活動につながる設問設計
  •  見やすく分かりやすいレポート
  •  同業界のベンチマーク結果との比較が可能

2.研修

  •  最新のPAF法を用いて各自の「リスク」を可視化し、フィードバックする参画型の研修

3.外部相談窓口対応

  •  実績ある第三者機関の外部相談窓口の紹介も可能

 

各社ハラスメント対策状況にあわせ、必要なメニューを組み合わせて実施できるのが「CHeck」の最大のメリットです。

改正育児・介護休業法にのっとったハラスメント対策を実施し、仕事と育児・介護を両立したい労働者にとって働きやすい環境を目指しましょう。

執筆者

Humap編集局

株式会社アスマーク 経営企画部 Humap事業G

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