インテグリティとは?重要性やコンプライアンスとの違いを解説

この記事を読む方の中には 「インテグリティがある人材を育てたいがどうしたらよい?」とお悩みの方がいるのではないでしょうか。

そこで今回は、インテグリティがある人物の特徴や組織で実践する方法についてご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

インテグリティとは?

インテグリティとは、誠実さや高潔さを意味し、従業員が持つべき資質として企業運営の分野で用いられるようになった言葉です。近年では、特に管理職や経営者に求められる資である「誠実さ」を表す表現として注目されています。

インテグリティの解釈は、提唱者によって違います。中でも代表的な提唱者は、オーストリア人経営学者のピーター・ドラッカー、アメリカの著名な投資家ウォーレン・バフェットの2名です。

ドラッカーによるインテグリティの定義

ドラッカーは、1954年に発表した著書「現代の経営」の中で、経営において重要なのは真摯さだと提唱しています。 ドラッカーは、真摯さは概念のため、明確な定義は難しいと認識しており、逆説的に真摯さがない人の特徴を例にあげることで、真摯さについて解説しています。

ドラッカーが提唱する真摯さがない人の特徴は、次のとおりです。

  • 人の弱みに焦点をあてる者
  • 冷笑家
  • 「何が正しいか」より「誰が正しいか」に関心を持つ者
  • 人格より頭脳を重視する者
  • 有能な部下を恐れる者
  • 自分の仕事に高い基準を設けない者

 

バフェットによるインテグリティの定義

バフェットは、2017年にスティーブ・シーボルトの著書「一流の人に学ぶ自分の磨き方」において、次のように定義しています。

「人を雇うときは三つの資質を求めるべきだ。すなわち、高潔さ・知性・活力である。高潔さに欠ける人を雇うと、他の二つの資質が組織に大損害をもたらす」

上記のうち「高潔さ」がインテグリティに当たり、知性や活力があったとしても、インテグリティが欠けていては、損害をもたらす可能性があるということを示しています。バフェットは「高潔さ(インテグリティ)」は、経営者だけでなく組織に属する従業員全員に必要な素質であると述べています。

インテグリティとコンプライアンスの違い

インテグリティ・コンプライアンスは、自発的か否かに相違点があります。

コンプライアンスは「法令順守」のことです。組織の規則・規範だけでなく、社会的な理論までを遵守することを意味します。組織や社会のニーズに即している点が特徴です。

一方、インテグリティは、「進んでよいことをして、社会に貢献したい」という積極的かつ自発的な面を持ちます。「規則を守る」「遵守する」といったコンプライアンスとの違いは「積極性」であると言えます。ただ自発的に法令を遵守できなければ(インテグリティを持っていなければ)、コンプライアンスを守ることは難しいため、両者には、密接な関係があるといえるでしょう。

 

インテグリティがある人物の特徴

インテグリティがある人物には、2つの特徴があります。

正義感がある 利他的である 正義感がある人物が意思決定するときの基準は、公平・公正かつ組織にとって正しいと思えるか否かです。不正や顧客のためにならないことは、例え上司であっても正しくないと意見します。 自分の利益や評価ばかりを気にする人物は、いくら能力が高くとも、顧客やメンバーとトラブルを引き起こしかねません。

また、物事を客観的に捉えられ、利他的で組織のため、ひいては社会のためになっているかを考えられる人はインテグリティがあるといえるでしょう。

なぜ組織にインテグリティが必要なのか

近年、インテグリティが必要とされる理由は、主に3点です。

CSR(社会的責任)が問われる時代

近年はCSRが重視され、顧客から誠実で信頼できる企業であるかどうかも、取引するにあたり重視されるポイントとなっています。誠実で信頼できる取引先であると選定される基準のひとつが、コンプライアンスが実現されているかです。企業はコンプライアンスの実現などといった社会的における責任や誠実さ、つまりインテグリティを持つことが求められています。

健全な組織運営につながる

誠実さに欠ける上司の元で仕事を進めると、本当に自分自身の仕事や成果を正当に評価してもらえるのか疑問に思う社員もでてくるでしょう。評価に不安を感じる状態が続けば、「頑張っても意味がない」とモチベーション低下や離職へつながります。 また、誠実でない従業員がいると、従業員間でトラブルが起きる恐れがあります。トラブルや離職の多い職場で心地よく働ける従業員はいません。健全な組織運営のためには、誠実さが必要です。

企業のイメージが向上する

従業員にインテグリティが浸透すれば、誠実さや高潔さは、企業の文化へとつながります。企業文化は、顧客や取引先へのアピール材料となり、企業イメージが向上するでしょう。

組織においてインテグリティを実践するには?

組織全体でインテグリティを実践するためには、主に3つの施策を実施するのがおすすめです。具体的にご紹介します。

研修等によるインテグリティを重視する組織文化の醸成

誠実さは、1日では身につきません。常に誠実な行動を意識し続けることが重要です。そのためには、定期的にインテグリティの重要性や思考・行動、身に着けるメリットなどを伝える必要があります。そこで、継続的に研修を実施し、インテグリティを従業員へ浸透させましょう。研修によって従業員へ誠実さの大切さやあるべき姿が浸透すれば、良い組織文化を醸成することにもつながるでしょう。

 

管理職の意識を向上させる

部下にとって、管理職の行動や言動は仕事を進めるうえでの手本となるため、管理職の行動や言動が、部下へ大きな影響を与えます。そこで、インテグリティを推進するために、まずは管理職向けの研修を実施することもおすすめです。

管理職向け研修では、よりインテグリティを高めるイメージを持ちやすくするために、例えばインテグリティをもった状態とそうでない場合の比較について紹介したり、どのように部下と接するかや自身のマインドの持ち方について、事例つきで紹介するとよいでしょう。

インテグリティを評価に組み込む

インテグリティを評価制度に組み込むと、目に見える形で自分たちにフィードバックがあるため、従業員の意識が変わります。組み込むべき評価基準は、次のような項目です。

  • 目標達成度
  • チーム・組織・顧客への貢献度
  • 自律的な行動をとっているか否か
  • コンプライアンスの遵守度

目標達成度の判断基準は、自ら設定した目標に真摯に取り組むか否かです。チームへの貢献度は、チームで仕事に取り組めるか否かや積極的な姿勢があるか否かが問われます。組織への貢献度は、組織の方針に沿った行動ができるか否かです。

顧客への貢献度は、顧客が喜ぶ情報提供ができているか否かを問います。自律的な行動とは、責任感・積極性・自分なりの考えを持っているかが判断基準です。コンプライアンスの遵守度は、組織や社会のルールに違反していないか日頃の行いも確認が必要です。

コンプライアンス対策「CHeck」

アスマークの「CHeck」は、コンプライアンス&ハラスメント対策パッケージです。「CHeck」のメニューには、コンプライアンス意識やハラスメントの実態調査があります。

アンケートは回答するだけで、必要な知識を周知させることができる設計になっており、実態を把握するだけでなく、従業員への教育・啓蒙にもつながります。

コンプライアンスに対する意識をまずは調査し、どの程度の対策が必要なのか把握した上で、コンプライアンス意識を定着させる研修など施策を検討することが大切です。
施策は一度きりで終わるものではないため、継続して行うことで従業員のコンプライアンス意識や誠実さが定着し、インテグリティの実践に貢献できます。

インテグリティとは、誠実さや高潔さをあらわします。企業イメージの向上やCSRのために、組織全体が誠実であることが重要です。 インテグリティのある人材を育成するためには、一度きりの対策ではなく、定期的にコンプライアンス意識などを調査し、従業員への知識の周知・啓蒙の機会を作ることが必要です。

執筆者

Humap編集局

株式会社アスマーク 経営企画部 Humap事業G

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