この記事を読む方の中には
「メンタルヘルス対策をしたいが、何をすればよい?」とお悩みの方がいるのではないでしょうか。
そこで今回は、メンタルヘルスの重要性と対策法についてご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
メンタルヘルスとは、こころの健康状態のことです。メンタルヘルス不調は、心身面や行動面の不調として現れます。例えば、頭痛、めまい、睡眠障害、生理不順などの体調の変化が起こることもあります。さらに、それが、遅刻早退や無断欠勤、仕事に対する活力が低下して生産性の低下といった行動面の不調につながることもあります。
「健康経営」が注目されているなか、メンタルヘルス対策は企業にとって重要な経営課題です。
厚生労働省においても、安心して健康に働くことができる職場の実現に向け、「第13次労働災害防止計画 」を策定し、
とするという目標を掲げています。
メンタルヘルス不調の従業員は、気づかないうちに判断力が鈍ったり、集中力がなくなったりなど、業務が手につかない状態に陥っている可能性が高いです。そのような生産性の低下を、長時間労働でカバーしようとすると、メンタル不調が悪化し、生産性がさらに低下するという悪循環に陥ることもあるでしょう。それはやがて業績悪化にもつながります。このようなことを防ぐためにも、従業員のメンタルヘルス対策は重要な経営課題となっているのです。
「令和3年労働安全衛生調査(実態調査)」によると、メンタルヘルス不調により1年以内に連続1か月以上休業した労働者又は退職した労働者がいた事業所の割合は10.1%となっているように、メンタルヘルス不調を理由とした離職は少なくありません。
そのため、従業員に快活に働いてもらい、離職を防止するためにも職場におけるメンタルヘルスケアは重要な経営課題となっています。
メンタルヘルス対策に取り組む企業には、5つのメリットがあります。
CSR評価方法の1つとして、トリプルボトムラインがあります。これは、経済面(最終利益等)だけでなく、環境的側面、社会的側面(人権、福利厚生等)の3つの側面から企業を評価するという考え方です。メンタルヘルス対策をしっかり行うことは、社会的側面で評価され、企業イメージの向上に寄与します。それは、やがて業績向上にもつながるでしょう。
従業員のメンタルヘルス不調のステージに応じて、メンタルヘルス対策を行うことが大切です。一次予防、二次予防、三次予防と整理できます。
一次予防とは、従業員がメンタルヘルス不調に陥ることを未然に防止することを目的とした取り組みを指します。 具体的には、長時間労働の防止や、安全で快適な職場環境の整備などです。
二次予防は、メンタルヘルス不調の従業員を早期発見し、適切な措置をする取り組みを指します。 具体的には、定期的なストレスチェックや産業医面談、相談窓口の設置などです。
三次予防は、メンタルヘルス不調に陥り、休職した従業員への職場復帰のサポート等を行う取り組みです。 具体的には、職場復帰支援プログラムの作成・実施などです。
メンタルヘルス対策は、誰が行うか(実施主体)という観点から、対策を講じるとよいでしょう。すなわち、(1)セルフケア、(2)ラインによるケア、(3)社内の産業保健スタッフ等によるケア、(4)社外サービス利用によるケア、という4つに分けられます。先述のメンタル不調の段階に応じて、有効な対策を講じるとよいでしょう。
労働者自身がメンタルヘルス対策ができるようにする取り組みです。例えば次のような取り組みをするとよいでしょう。
管理監督者による取り組みです。例えば次のような取り組みをするとよいでしょう。
支援プログラムの中には、就業規則の改定や休職中の情報提供ガイドラインなどがあげられます。事業所規模別の支援プログラム例が「労働者健康安全機構(JOHAS)」より公開されています。作成に迷う場合はこちらの確認がおすすめです。
参考:労働者健康安全機構(JOHAS) 職場復帰支援にかかるモデルプログラム
産業医や衛生管理者、保健師等による取り組みです。メンタルヘルス対策の中心的役割を担う場合も多いでしょう。例えば、次のような取り組みをするとよいでしょう。
外部機関や専門家を利用してメンタルヘルス対策を行う取り組みです。
従業員が相談内容を秘密にしたい場合などプライバシーに配慮した有効なメンタルヘルス対策を実施したい場合や、企業自身がメンタルヘルス対策を実施することが人的資源等から難しい場合等に有効でしょう。
EAP(Employee Assistance Program)とは、従業員支援プログラムの略で、従業員のメンタルヘルスケアへの取り組みを支援するものです。ストレス等の仕事のパフォーマンスを下げる要因を取り除き、パフォーマンスを上げることを目標とするものです。
メンタルヘルス対策で重要なことは「従業員のケア」です。 メンタルヘルス対策を講じる際には、従業員のプライバシー保護に注意した対策をとる必要がありますし、従業員の不利益に働くようなことにはならないように注意する必要があります。 また、メンタルヘルス対策は、それが有効に機能する風通しの良い組織風土が醸成されていなければ、効果的とはならないことにも注意が必要でしょう。
メンタルヘルス対策についてご紹介しました。健康経営やコーポレートサステナビリティが注目されている昨今、メンタルヘルスケアは企業にとって重要な経営課題です。
メンタルヘルス対策を講じることは、従業員の生産性向上や優秀な人材確保・離職防止など、企業にとっても多くのメリットがあります。 メンタルヘルスケア対策の3つの目的と会社の状況に応じて、4主体が一体となった有効なメンタルヘルス対策を講じるとよいでしょう。
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