「ケアハラスメント」の認知度を高め、予防・対策になるアンケートとは?

この記事を読む方の中には

「最近、ケアハラスメントという言葉を聞くが、具体的にどういった対策をすればよいのか分からない」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、ケアハラスメントの意味や対象となる法制度、対策法についてご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

ケアハラスメントとは?

ケアハラスメントとは、仕事と介護を両立する人に対する嫌がらせ行為のことです。

具体的には以下のような行為があります。

  • 「仕事のしわ寄せがくる」など嫌みを言われる
  • 介護休業を取得しないように進言する
  • 介護を家族に代わってもらうよう打診する

令和3年現在、介護を理由に離職する人は年間約10万人いるといわれ、社会的な問題となっていますが、ケアハラスメントもこの一因になっていると考えられています。

 

ケアハラスメントが起こる原因3選

ケアハラスメントはなぜ起きるのでしょうか。主な原因は3つです。詳しくご紹介します。

介護はいつ終わるか見通しが難しいため

第1の理由は、介護の終了時期が分からないため、その後の見通しが立たないことです。産休・育休は終わりが見えているので、見通しが立てやすいです。しかし、介護の場合、誰にも終了時期が分かりません。周囲も明確な時期が分からないままフォローするためストレスが溜まり、介護者は不当な扱いを受けやすくなります。

介護は女性がするものという固定観念があるから

第2の理由は、介護に対する固定観念です。古くから「介護は女性がするもの」という固定観念があり、介護休業は女性従業員が取得するケースが多い傾向にありますが、核家族化が進み、男性が介護を担当する家庭も増えています。前述のような固定観念はいまだにあるため、男性が介護をすることへの理解が進まず、「介護は奥さんに任せれば?」と言われるなどの嫌がらせや、介護休業を取らせないなどの妨害行為を受けてしまうことになるのです。

ケアハラスメントの認知度が低いから

第3の理由は、ケアハラスメントの認知度が低い点です。事実、これまでのハラスメント研修で社会問題として多く取り上げられているのは、パワハラ・セクハラ・マタハラです。

そのため、ケアハラスメントに対する認識が低く、無意識にハラスメント行為に及んでいる可能性があります。

ケアハラスメント理解のため知っておきたい法制度

介護と仕事との両立に関する法律は、育児・介護休業法で定められています。介護に関するものでは主に以下の8項目が事業主に義務付けられています。

 

 

  1. 1.介護休業……要介護家族1人につき通算93日まで休業を認める(3回を上限として分割できる)
  2. 2.介護休暇……要介護家族1人の場合は年間5日まで、2人以上の場合は年間10日まで、介護休業や 年次有給休暇とは別に休暇取得を認める
  3. 3.短時間勤務等の措置……時短・時差出勤など短時間勤務制度の制定義務
  4. 4.所定外労働の制限(残業免除)……残業免除申請を拒否してはならない
  5. 5.時間外労働の制限……月24時間、年間150時間以上の時間外勤務をさせない
  6. 6.深夜業の制限……22時から翌5時までは働かせない
  7. 7.介護休業等を理由とする不利益取扱いの禁止
  8. 8.介護休業等に関するハラスメントの防止

また「介護は女性がするもの」といった固定観念に対する政策としては、女性活躍推進法が挙げられます。企業は、男女の区別なく仕事と家庭の両立ができるよう環境を整備し、支援する義務があります。

ケアハラスメントの予防・対策に取り組むメリットとデメリット

ケアハラスメントの予防・対策に取り組むことで多くのメリットが得られる反面、課題もあります。把握しておきましょう。

 

 

メリット

ケアハラスメントの予防や対策により得られるメリットは主に5つです。

  • 安心して仕事に取り組めるようになり、生産性が向上する
  • 従業員同士が互いを尊重し、信頼し合える明るい職場になる
  • 離職率が低下する
  • 優秀な人材が確保できる
  • 採用・育成コスト削減

明るく安心感のある職場は従業員のやる気を引き出し、生産性の向上につながります。また、明るく働きやすいとの評判から多くの人材が集まり、優秀な人材を確保しやすくなるのもメリットです。

デメリット

ケアハラスメントの予防・対策を行ううえで、企業にとってのデメリットはありません。しかし、取り組むなかでの課題があります。主な課題は1つです。

  • ケアハラスメントの予防・対策に人員・コストがかかる

企業にとっての課題は、ケアハラスメントの予防・対策への人員や費用の負担が挙げられます。人員や費用の負担を考えると、対策に踏み切れないかもしれません。

一方、従業員にとっての課題は、経済面です。制度を利用して介護休暇を取得した場合、一定の要件を満たせば、介護休業開始時点の賃金の67%が介護休業給付金として受け取れます。しかし、通常勤務に比べて収入が減るため、せっかく介護休業を取得できたとしても経済的に安定しにくいという側面があります。

ケアハラスメントの予防・対策のための取り組み例

ケアハラスメント予防としては、パワハラ・セクハラなどと同様に対策が必要です。具体的にご紹介します。

従業員にアンケートやヒアリングを実施する

アンケートやヒアリングの実施は、自社の現状把握に効果的です。早い段階でアンケートを実施することで、ケアハラスメント対策や職場環境について見直すよい機会にもなります。

ハラスメントに関する研修を実施する

研修は、ケアハラスメントの理解度を高め、自分事としての自覚を芽生えさせることを目的とした取り組みです。具体例を交えた研修を開催することで、ケアハラスメントに対して具体的なイメージが沸き、予防効果が高まります。

外部に相談窓口を設ける

外部相談窓口の設置は、ケアハラスメント被害者の安心感につながります。内部の相談窓口では、社内でうわさになる可能性や、ハラスメントをした当事者が相談役になっているケースもあり、相談しにくいという声も聞きます。こういった観点から相談窓口は、外部に設置するのがおすすめです。

内部通報・相談窓口代行サービス『CHeck』

ハラスメントに関する会社のルールを設ける

ケアハラスメントに関するルール作り、規程類への追記は、自社のケアハラスメントに対する基本方針を示すために必要な取り組みです。ルールが明確になることで、従業員への意識づけや、ハラスメント対応の指針となります。

ケアハラスメント予防のためには当事者意識が重要

ケアハラスメントの実態把握には、アンケートやヒアリングの実施が効果的です。最初に実態を把握することで、ケアハラスメントの被害者対応が迅速にできるほか、ケアハラスメントを行った者にも当事者意識を持たせることができます。そのため、最初にアンケートを実施することが重要です。

また、ケアハラスメント予防策の対応状況や課題把握のためにも、アンケートの実施は効果的です。定期的にアンケートを実施することで、継続的にケアハラスメントの予防に役立てられるでしょう。

ハラスメント対策アンケート「CHeck」で当事者意識を高める

アスマークの「CHeck」は、アンケートの設問を読んで答えていくだけで、ハラスメントの当事者意識が高められる設問内容になっています。当事者意識を植え付ける工夫は3点あります。

  • ハラスメントの説明文を読まないと、次の質問に進まないページ構成
  • ひと目で分かりやすい図解
  • 追加設問が可能なので、ケアハラスメントや各社に合わせた設問設定が可能

当事者意識が持てるアンケートは回答者自身の行動を見つめなおすよいチャンスにもなりますし、ケアハラスメントの予防に役立てることができます。また「CHeck」では、厚労省が推奨する「パワハラ防止7つのメニュー」にある対策にも対応しており、未実施もしくは不十分な項目については対策支援を行っています。

厚労省が勧めるパワハラ対策7つのメニュー

  • トップのメッセージ
  • ルールを決める
  • 社内アンケートなどで実態を把握する
  • 教育をする
  • 社内での周知・啓発
  • 相談や解決の場を提供する
  • 再発防止のための取組

アンケートを通じて相談や解決の場を提供することにつなげるため、「ハラスメントについて相談したいか否か」を聞く設問を追加できるほか、外部相談窓口の紹介も行っています。

義務化に対応した内容のチェックができるのは大きなメリット。自社の対応状況を確認することにもなり、ケアハラスメント対策が進められます。

ケアハラスメント予防・対策を実施し、従業員同士が信頼できて働きやすい職場を目指してみてはいかがでしょうか。

事者意識を持たせたハラスメント防止サービス「CHeck」

アスマークのハラスメント対策パッケージ「CHeck」は、ハラスメント対策としての心理的安全性の向上に効果的です。設問は、ハラスメントに関する知識の定着に役立つ設計で、従業員への周知・啓蒙活動の役割も担います。アンケート結果を見て従業員の心理的安全性の度合いを測るとともに、課題が見いだせるパッケージです。

執筆者

Humap編集局

株式会社アスマーク 経営企画部 Humap事業G

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