静かな退職とは?組織の存続に影響する理由と対策を解説

アメリカを中心に「静かな退職(Quiet Quitting)」という働き方が広がり、話題になりました。

今回は、「静かな退職」の意味や組織に与える影響と対策についてご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

「静かな退職」とは?

「静かな退職」とは、組織に属しながら必要最低限の仕事をこなし、まるで退職したかのように精神的余裕を持って働くことです。アメリカを中心に世界へ広がった概念で「Quiet Quitting」と言われます。

 

新型コロナウイルスの流行をきっかけとして、従業員が自らの働き方を考え直す機会が増えました。それにより、まず最初に訪れたのが「大退職時代(GreatResignation)」です。2021年頃に、自身のキャリアの見直し等を理由とした自主退職者が激増したことを指します。その次に訪れたのが「静かな退職」です。

 

近年では、労働市場の変化により、仕方なく仕事を続けている「不機嫌な在職」という言葉も登場するなど、働き方に関するトレンドは目まぐるしく変化しています。

 

 

「静かな退職」の原因

「静かな退職」が増加する原因は、働き方に対する価値観と仕事の不一致です。具体的にご紹介します。

働き方に関する価値観の変化

近年は、育児や介護があっても仕事を続けたいと思う人や、プライベートを充実させたい人など、働き方に関する価値観が変化しています。仕事を頑張って高い役職や給料を手に入れるよりも、プライベートを重視したいと考える人は、「静かな退職」を選ぶ可能性があります。

 

報酬・評価制度への不満

多様化する働き方により、報酬・評価制度の設定が難しくなっています。どんなに頑張っても、納得のいく報酬・評価がなければ、モチベーションはあがりません。報酬・評価制度への不満から、頑張っても評価されないのであれば最低限の仕事だけすればいいと考えることが、「静かな退職」の増加につながります。

経営方針や業務内容への不満

経営方針や業務内容への不満も、「静かな退職」の原因となります。
組織の経営方針に共感していれば、組織のために頑張ろうと積極的に働く意欲が湧くかもしれませんが、経営方針や業務内容に不満を抱いている状態だと、そういった意欲は湧きにくいでしょう。結果として、必要最低限の仕事だけやる「静かな退職」の状態になる原因となりえます。

「静かな退職」が組織の存続に影響する理由

「静かな退職」は、組織の存続に大きく影響を及ぼします。具体的な理由は4つです。

組織から積極性が失われる

「静かな退職」は、「必要以上に仕事をしない」状態です。自ら新しい事業を考えたり、業務改善のために動いたりというようなことはしません。「静かな退職」が増えると当然、組織全体からも積極性が失われます。
もらえる報酬が変わらないならできることだけやればいいという考えが広まってしまうと、「静かな退職」がさらに増える可能性があります。

組織の生産性が低下する

「静かな退職」が増えると、熱心に仕事をする人に仕事が集中します。トラブルが発生したときに対応する人がいなくなったり、オーバーワークで熱心に仕事をする人が減ったりするかもしれません。組織全体で見ると、積極的に仕事が進めにくくなるため、生産性が低下します。

また、不公平感から「自分だけ頑張っているなんてばからしい」と感じてしまうと、熱心に仕事をしていた人も「静かな退職」に移行するおそれがあります。

組織内の人間関係が悪化する

「静かな退職」は、仕事の意欲が高い人から見ると「組織に貢献していない人」「やる気のない人」に見られがちです。組織で浮いた存在になったり、意欲の高い人と「静かな退職」状態の人との間で対立が起きたりと、組織内で仕事に対する価値観があまりにも違うと、人間関係が悪化する原因となるでしょう。

組織から人材が流失する

「静かな退職」は、人材の流失にもつながります。
「静かな退職状態」の人は、同時に転職を検討していることが多いので、組織として対処せずに放置しておくと、そのうち転職していってしまう可能性が高いでしょう。また、「静かな退職状態」の人が多い職場では、意欲の高い人は仕事がしにくくなるため、退職へつながります。いずれにせよ、組織から人材が流失するのです。

「静かな退職」に対して組織ができる対策

「静かな退職」による影響を受ける前に、組織ができる対策が3つあります。ポイントは、従業員のニーズを把握することと、長く意欲的に働きやすい環境作りです。

従業員満足度調査(ES調査)の実施

従業員満足度調査は、従業員の仕事観と現状を知るために効果的です。以前はやる気があった従業員が、組織の施策により「静かな退職」を始めているかもしれません。このように、従業員満足度調査を使って組織へのエンゲージメントや仕事観を知れば、組織が取るべき対策が見えてきます。

報酬・評価制度の透明化

報酬・評価制度を公平かつ透明化すれば、従業員それぞれが報酬・評価制度に納得できるでしょう。報酬・評価に納得感があれば、次の目標が見えるため、働く意欲へとつながります。労働意欲をあげることで、「静かな退職」の対策となるでしょう。

フリーアドレスやリモートワークの導入

従業員の中には、介護・育児を理由に「静かな退職」を余儀なくされている人もいるでしょう。そのような場合は、フリーアドレスやリモートワークを導入により解消できる可能性があります。一人ひとりの従業員が、モチベーションを保ちながら長く働ける環境作りを心がけましょう。

 

外部リソースを活用することが重要

「静かな退職」の原因は、人それぞれです。従業員が、好んで静かな退職をしていない可能性もあります。そこで、従業員の価値観を知り、「静かな退職」を生んだ職場環境の改善が急務です。

 

従業員の価値観を把握するためには、次の要件を満たす従業員満足度調査を行いましょう。

  • 迷うことのない設問と回答の選択肢
  • 秘匿性が高い調査
  • 施策につながる集計

 

秘匿性が高く、集計や設問設計が適格な調査の実施には、第三者サービスへ委託するのがおすすめです。

「静かな退職」の対策に効果的な「ASQ」「せきなび」

アスマークの「ASQ」「せきなび」は、「静かな退職」の原因となる職場の課題の発見や改善に貢献します。

従業員の本質がわかる満足度調査サービス「ASQ」

「ASQ」は、アスマークが提供する従業員満足度調査サービスです。主に4点の特徴があります。

  • ベンチマークデータとの比較
  • 組織・人材診断結果を独自ロジックにより4タイプへ分類
  • 人事コンサルと共同開発した設問構成
  • 簡易的な施策提案付きのレポート

 

社員タイプ分類をすることで従業員のタイプ別の構成割合等がわかり、「静かな退職」(ASQでは「受け身型社員」に分類)の多い部署や、対策すべき課題等がわかります。

シンプルな操作性で多様な働き方の導入をサポートする「せきなび」

「せきなび」は、シンプルな操作性が特徴の座席管理ツールです。従業員が働く場所の把握は、働き方改革を実現するうえで、必ず直面する課題のひとつです。「せきなび」は、ホワイトボードや座席表に近い見た目で運用できるため、導入直後からスムーズに操作できます。せきなびは、事情により「静かな退職」が増えている組織の職場環境改善に効果的です。

 

「静かな退職」は、組織の存続に影響をおよぼすほど、重要な課題です。「静かな退職」の原因は多岐に渡るため、従業員満足度調査を実施し、ニーズを把握することから対策を始めます。第三者機関による従業員満足度調査や、座席管理ツールを導入し、「静かな退職」に対抗できる職場環境を構築しましょう。

 

執筆者

Humap編集局

株式会社アスマーク 経営企画部 Humap事業G

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