シニア人材が輝く職場環境とは?活用を支えるポイントと成功事例

この記事を読む方の中には、「シニア人材をうまく活用できず、組織が停滞している」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。
少子高齢化が進む日本において、シニア人材の活用は避けて通れないテーマです。今回は、シニア人材活用のポイントや成功事例について解説します。ぜひ、取り組みの参考にしてみてください。

シニア人材とは?

シニア人材とは、一般的には65歳以上、あるいは60歳以上の高齢労働者を指しますが、明確な基準はありません。多くの企業では、定年を迎えた社員の再雇用や継続雇用の対象者を指すことが一般的です。

内閣府が発表している「令和6年版 高齢社会白書」によると、日本の高齢者人口の割合は全体の29.1%を占めています。労働力が減少する中で、シニア人材の活用が急務となっています。

参考:内閣府「令和6年版 高齢社会白書」

 

 

シニア採用が進む背景

シニア人材の採用が進む背景には、慢性的な人材不足と労働意欲を持つシニア世代の増加があります。特に人材不足の解消を目的として、高年齢者雇用安定法が改正され、高齢者の雇用促進が図られるようになりました。

慢性的な人材不足

少子高齢化による労働人口の減少は、企業に慢性的な人材不足をもたらしています。人材不足をカバーするために、女性、シニア、外国人など、多様な人材をより積極的に採用する動きが加速しています。

高年齢者雇用安定法の改正

2021年に改正された「高年齢者雇用安定法」では、70歳までの就業機会を確保するための措置を講じる努力義務が課されました。この措置には、定年制の廃止、70歳までの定年の引き上げ、継続雇用制度の導入、さらには他の適切な形態での雇用継続などが含まれます。この改正により、企業は高齢者の多様な働き方に対応する仕組みを整備することが求められ、シニア人材の活用が進んでいます。

総務省統計局が公表している「労働力調査(基本集計)2023年(令和5年)平均結果」では、65歳以上の労働者は前年に比べて13万人増加したという結果が出ています(*1)。この結果からも、シニア採用が進んでいることがうかがえます。

*1…非正規の職員・従業員が12万人、正規の職員・従業員が1万人増加

参考:総務省統計局「労働力調査(基本集計)2023年(令和5年)平均結果」

 

労働意欲の高いシニアの増加

労働意欲の高い高齢者が多いことも、シニア採用が進む背景にあります。内閣府が発表した「令和6年版高齢社会白書」によると、60歳以上で現在仕事に就いている人のうち約4割が「働けるうちはいつまでも働きたい」と回答しており、「70歳くらいまで」またはそれ以上という回答と合計すると、約9割にのぼります。この結果からもシニア層の労働意欲の高さがうかがえます。

参考:内閣府「令和6年版 高齢社会白書」

 

シニア人材を活用するメリット

シニア人材を活用することで、人材不足だけでなくさまざまなメリットが期待できます。結果として、市場競争力が向上し、企業の発展につながるでしょう。

人材不足の解消

労働力不足に直面している企業にとって、シニア人材の活用は大きな助けになります。少子高齢化が進む日本では、今後さらに人材の確保が難しくなることが予想されます。そのため、シニア人材が活躍できる職場環境を構築しておくことが、人材不足解消の重要な鍵となるでしょう。

労働環境の改善

シニア人材を活用するためには、時短勤務やフレックスタイムなど、柔軟な働き方の導入が不可欠です。業務の効率化を図るツールの導入や業務プロセスの見直しなど、シニアが活躍できる環境を作るための取り組みは、シニア人材だけでなく、すべての従業員にとって働きやすい環境の提供につながるでしょう。

競争力の向上

シニア人材が培ってきた経験やスキルの活用、若手社員へのスキルや知見の継承など、シニア人材が果たす役割は大きいといえます。人材不足の解消と労働環境の改善は、社員全体のモチベーション向上にもつながり、さらなる市場競争力の向上が期待できます。

シニア人材活用の課題

一方で、シニア人材の活用には、次のような課題も挙げられます。

  • モチベーションの低さ
  • 若手社員との摩擦
  • 組織のパフォーマンス低下

 

シニア人材は、若手世代に比べて働く期間が短いため、スキルやキャリアの向上は期待できないと見られることがあります。実際に、「言われたことだけやれば良い」という受け身の姿勢で業務に取り組むシニア社員もいることから、こうした意欲の低いシニア社員を目にした若手社員が、「何をしているのかわからない」と不満を募らせるケースがあります。その結果、こうした不満が組織内で広がり、全体のパフォーマンスが低下するという悪循環に陥る恐れもあります。

 

シニア人材の活用において、こうした課題に対処するためには、事前に職場での困りごとを把握し、エンゲージメントを高めるための施策を講じることが重要です。職場で生じやすい課題や困りごととして、次のような調査結果も参考にしてください。

 

シニア人材を活用するポイント

シニア人材に活躍してもらい、組織全体の成長にもつなげるためのポイントをご紹介します。

シニア世代への配慮

シニア人材の特性に応じた配慮を行うことで、シニア世代が長く働ける環境を整えることができます。具体的には、次の点に注意した施策が有効です。

  • 健康状態への配慮
  • 個人の能力を把握
  • キャリア自律を促す

 

シニア世代の特性や健康状態を考慮した、柔軟な働き方を導入する必要があります。若手社員よりも病気やケガのリスクが増えるため、デスクワークであれば足腰への負担が少ない椅子を用意するなど、身体的な負担軽減にも配慮すると尚良いでしょう。

また、既存社員の意識改革も必要です。「高齢だから」「シニア採用だから」といった偏見を取り除き、多様性を受け入れる姿勢を会社全体で共有することが求められます。能力の把握やキャリア自律を促す点は若手社員と区別なく行うようにすると、「シニア」という限定的な側面ではなく、個々のスキルに目が向き、シニア人材が生き生きと活躍し、孤立しづらい職場環境が作れるでしょう。

既存社員への配慮

シニア人材への配慮や働きやすさにばかり注力し過ぎると、若手社員や中堅社員に「自分たちが軽視されているのではないか」と不満が生じるリスクもあります。
このような状況は、組織全体のモチベーション低下やエンゲージメントの低下を招く恐れもあるため、若手社員や中堅社員が職場での成長や貢献を実感できる環境を整えることも重要です。たとえば、若手社員がシニア社員から経験やスキルを学べる機会を作りつつ、若手の意見やアイデアが尊重される場も設けるといった取り組みが挙げられます。
また、全社員に対して公平な評価制度やキャリア支援を導入することで、組織全体のバランスを保つことができるでしょう。

制度や運用の工夫

シニア世代が数十年も働き続けることは、身体的・精神的な負担から見ても困難な場合が多いでしょう。そこで、世代交代を視野に入れた、若手社員へスムーズに引き継ぐ体制を常に整備しておくことが重要です。
また、シニア社員の状況に応じて時短勤務や週3日勤務など勤務体制に変化がある場合は、給与制度の見直しや労働条件の合意を事前にしっかりと行う必要があります。制度を見直す際には、特定の個人に合わせて行うのではなく、労働条件全体に基づいて給与を設定することで、既存社員との間で不公平感が生じるのを防ぐことができるでしょう。こうした制度設計は、組織への信頼感を高める上でも非常に重要です。

 

シニア人材の活用を促進するために、確認しておきたいチェックポイントをまとめた資料を配布しています。ぜひご活用ください。

 

シニア人材の活用事例

シニア人材を積極的に活用し、成功している企業の事例をご紹介します。

株式会社ノジマ

株式会社ノジマでは定年を65歳と定めていますが、定年後の再雇用制度を整備し、シニア人材の活躍を推進しています。再雇用契約は1年ごとに更新され、最長で80歳までの雇用延長が可能です。さらに、個別の面談を通じて、80歳を超えても働き続ける意欲と健康状態が確認された場合、雇用を継続する事例も出てきています。

参考:株式会社ノジマ_80歳を超えての雇用延長事例4
例目誕生 ~年齢に関係なく活躍の場を提供~

 

オムロン エキスパートリンク株式会社

オムロン エキスパートリンク株式会社では、経験豊富なシニア人材をパートタイマーとして採用し、現場から管理業務まで、企業の課題に合わせて人材を派遣しています。パートタイマーとして雇用することで、シニアの負担軽減にも成功しています。「働きたいシニア」と「課題に悩む企業」両方のニーズを満たした制度です。

参考:オムロン エキスパートリンク株式会社_「GOOD AGENT AWARD 2018」 (リクルートキャリア主催)特別賞 受賞

 

シニアの活躍には既存社員の理解が重要

シニア人材の活用ばかりに注力し過ぎると、若手社員のモチベーションが下がる恐れがあります。そこで、既存社員を含めた職場全体での意識改革が必要です。シニア人材の登用や必要な制度について意見を定期的に聴取し、柔軟に改革を進めていくことが大切です。

従業員の現状把握には「ASQ」

シニア人材の活用には、年齢的な心身の負担への配慮や既存社員の理解が必要不可欠です。また、シニア人材を活用する上で重要なのは、現状の職場環境や従業員の意識を正確に把握することです。職場における課題を明確にし、既存社員とシニア社員が円滑に協力できる環境を整えることが、シニア人材の活躍を支える基盤となります。

アスマークの「ASQ」は、従業員の満足度や意向を可視化し、課題解決のための具体的な指針を提供するアンケートサービスです。従業員の満足度と離職意向の相関関係が高い要素を分析し、ランキング形式でレポートにするなど、調査結果を見て終わりにするのではなく、具体的な改善ポイントが把握できるという特長があります。

 

「ASQ」を活用することで、職場全体の満足度や改善点を把握し、シニア人材の活躍を支えるための環境づくりを効率的に進めることができます。従業員の声に耳を傾けながら、より良い職場環境の構築に取り組んでみてはいかがでしょうか。

執筆者

Humap編集局

株式会社アスマーク マーケティング・CSチーム運営

Humap(ヒューマップ)編集局は、従業員1万人規模の独自調査や、CS活動を通じて寄せられる「現場のリアルな悩み」に基づき、ハラスメント・エンゲージメント・働き方改革といった組織課題解決のための知見を発信する専門組織です。
単なる用語の解説に留まらず「改善につなげる具体的な手法」や「取り組みのコツ」など明日から自社で活用できる、実践的なコンテンツを企画・制作しています。

【活動の実績】
ハラスメント・エンゲージメント・働き方改革に関する知見発信において、自社登壇セミナー開催数は累計320回、申込者数は23,000人を突破。関連資料の利用者は17,000人以上。(※2026年現在)

【受賞歴・社会活動】
・SUCCESS STORY AWARD 2025 アワード受賞(座席管理ツール「せきなび」)
受賞詳細:https://digi-mado.jp/success-story-award-2025/sekinavi/

【学術・教育支援】
大学等の教育機関へ1万人規模の実証データを提供し、PBL(課題解決型学習)教育の支援も行っています。
プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000593.000018991.html

監修:竹中 重雄(Shigeo Takenaka)
株式会社アスマーク マーケティング管轄 マネージャー

リサーチ業界およびマーケティング領域で10年以上のキャリアを持つスペシャリスト。従業員満足度調査「ASQ」のサービス立ち上げに参画し、業界比較分析も起案。人材コンサル会社と協力し「やりっぱなしで終わらせず、改善できるES調査」の開発を主導。

本記事の監修にあたって: 自身の豊富な実務経験に基づき、公開情報の正確性と、読者の皆様のビジネスに即した実用性を厳格に審査しています。

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