2022年4月からパワハラ防止法が全企業へ義務化され、本記事をお読みの方には、
とお悩みの方がいらっしゃるのではないでしょうか。そこで本記事では、加入急増しているパワハラ保険とハラスメント行為の対策についてご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
パワハラ保険は、雇用慣行賠償責任保険の別名で、「ハラスメント行為による損害賠償」に備えた保険です。ハラスメント行為による裁判で、企業に賠償責任が問われると、多い場合は数千万円の支払いが発生し、企業経営に多大なる影響をおよぼす可能性があります。そこで、注目されているのが、パワハラ保険です。
パワハラ保険は、損保会社から販売されていて、月の掛け金は数千円〜です。月の掛け金の決め方は、従業員の人数・会社の規模・ハラスメント対策の整備状況・保険金額などで決まります。
保険金は、裁判が発生したときから裁判費用が支払われ、賠償責任が発生したら、賠償額の支払いにあてられます。ですが、会社に所属する従業員個人が賠償責任を問われた場合は対象外なので、注意しましょう。
近年注目されているパワハラ保険。では、なぜ注目されるようになったのでしょうか?
主な要因は2つです。
パワハラ防止法適用義務範囲が拡大したことは、ハラスメント対策が不十分な中小企業が訴えられる可能性を高めました。また、ハラスメント行為が社会問題として捉えられるようになり、被害者が声をあげやすくなった点もハラスメント裁判が急増している背景です。
そこで、将来起きうる損害賠償へ備えて、パワハラ保険へ加入する企業が急増しているのです。
パワハラ保険へ加入したからといって、パワハラが発生してもよいという訳ではありません。そこで、過去のパワハラ裁判の事例を知り、ハラスメント対策に役立てましょう。
<事案の概要>
家電量販店に派遣された従業員Aが教育係2名および家電量販店従業員1名から暴行された事件。会話訓練中に怒号を発し、販促物を使って殴打した他、虚偽の入店時間を伝え、遅刻を理由に30回以上に渡り殴打したため、Aは退職に至りました。この殴打については、派遣元の代表者が見ている場面もありました。
<事案の結果>
家電量販店の従業員による殴打は、家電量販店側の使用者責任が問われます。また、派遣元の代表者は、殴打を見ていて抑止しない点が「働く権利の侵害」にあたるため、賠償責任を追うこととなりました。
本件は、直接暴行した従業員に加えて、企業が使用者責任などを問われた例です。
<事案の概要>
旅行事業部門の廃業にともない整理解雇された従業員Xが、複数の嫌がらせを受けた事件です。嫌がらせの内容は「上司と男女の仲にあるとうわさされるも、改善措置がなされない」「早朝から深夜まで休憩がなく、土日まで出勤することとなり、人員補充を求めるも改善されない」など。また、数々の嫌がらせは、1年近くにおよび、一部の行為は取締役主導で行われました。
<事案の結果>
社内で起きた事案で、上司に相談したものの改善されなかった例です。上司は事情を知りながら黙認したことになるため、企業の責任が問われました。また、取締役が業務命令として嫌がらせ行為をした件は、取締役個人へ賠償責任が認められました。
本件は、会社ぐるみの嫌がらせ行為で、代表取締役個人の損害賠償責任が認められた事例です。
<事案の概要>
2名体制の職場に従事する医師が、職場の問題点を経営者へ指摘したところ、直属の上司から「報告を受けていない」ことを理由にいじめを受けた例です。報告を受けた日以降、明らかに業務量が減り、仕事を外されるようになり、退職に至りました。
<事案の結果>
業務の割り当ては、上司の権限にて行うため、ハラスメント行為とは言い難いが、問題の指摘以降、明らかな変化があったため、ハラスメント行為にあたると認められました。
本件は、業務の範囲か否かの判断が難しい例です。業務として行うとしても、ハラスメント行為に気を付けましょう。
パワハラ対策は、企業の義務です。そこで、パワハラと訴えられる前に企業が取るべき対策を確認しておきましょう。
2022年4月から中小企業においてもパワハラ防止法が義務化されました。そのため、ハラスメント行為に対して声をあげやすくなり、企業の対応が求められています。
そこで、改めて社内のハラスメントルールを見直しましょう。近年では、パワハラをはじめ、セクハラ・マタハラなどあらゆるハラスメント行為があります。その全てに対応するルールへ見直しが必要です。
ルールの見直しは容易ではないでしょう。しかしコンプライアンス&ハラスメント対策サービス 「CHeck」の”予防対策サポート”等のコンサルを利用することで、現在のルール見直しとサポートをしてもらえます。積極的にプロの力を借りるのも一つの方法です。
ハラスメント予防・
コンプライアンス対策なら
ハラスメント対策ルールを見直した後は、従業員の理解を深めましょう。理解度チェックを定期的に行うことで、従業員の意識づけになります。理解度チェックの集計や問題作成に工数をかけるのは大変。という場合は「CHeck」の”リサーチ”などのハラスメントアンケートサービス使うとチェックがしやすくなります。年1回のルーチンワークとして取り入れてはいかがでしょうか。
ハラスメント対策における従業員の理解度が分かったら、必要な研修を実施しましょう。そこで、さらなる定着が図れます。研修内容は、理解度チェックで意識の低かった内容を集合研修で実施し、顕著に理解度が低かった従業員へ1on1の対話形式で研修するとよいでしょう。
また、前述の「CHeck」の中には、性格診断により各個人ごとの起こしやすいハラスメントを判定し、その結果に基づいた研修を行うサービスもあります。
現在、加入件数が急増しているパワハラ保険とハラスメント対策について解説しました。パワハラをはじめとして、さまざまなハラスメント行為がある昨今、損害賠償請求されるケースが増えています。これに備える保険が「パワハラ保険」です。
パワハラ保険へ加入するだけではなく、ハラスメント行為の対策をとりましょう。具体的には、ハラスメントルールの見直し・チェック・研修を定期的におこなうことが対策となります。
パワハラ保険への加入と、ハラスメント対策をとり、安定した企業運営を目指しましょう。
株式会社アスマーク 経営企画部 Humap事業G