役職定年で問われるシニアのやりがい、不満の把握で強い組織へ

この記事を読む方の中には

「役職定年制を導入したいが、従業員への影響を考えると踏み切れない」とお悩みの方がいるのではないでしょうか。

そこで今回は、役職定年制度についてご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

役職定年とは?

役職定年とは、定年退職の前にある年齢に達した時点で部長や課長などの役職から退く制度です。「高年齢者雇用安定法」(※)は改正を重ねていますが、2013年の改正では60歳未満の定年は禁止され、定年年齢が延長されました。そのような中、役職手当などの人件費を抑え、人材活性化のために設けられたのが役職定年制度です。

労務行政研究所の調査によると、2022年時点で29.1%の企業が役職定年制度を導入しています。

参考:厚生労働省「高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~」

参考:WEB労政時報「人事労務諸制度の実施状況【後編】」

役職定年が設定される背景と必要性

役職定年が設定されるようになったのには、以下の2つの背景が考えられます。

成果主義への転換

終身雇用制が基本であった日本企業では、年功序列により一定期間同じ職場で勤務すると管理職になるのが通例でした。しかし近年は、年齢にとらわれない成果主義を採用する企業が増えています。勤続年数だけで役職者を同じポストへ配置することは、成果主義と相反しています。また、長年管理職を続ける人が増えていくことで、人件費も増える一方です。

そこで、役職定年制度の設定が必要と考えられるようになりました。

市場の変化

年功序列による役職任命は、人材が固定化し、新たなアイデアが生まれにくいというデメリットがあります。市場の変化が激しい現代社会に対応するためには、新しいアイデアの創出やスピード感が重要になるのです。また、人材の固定化は、若手社員の成長機会を奪うことになりかねません。そこで、組織活性化のために、役職定年が導入されるようになりました。

役職定年が従業員のやりがいに与える影響

役職定年を設定することで、従業員のやりがいにどのような影響があるのでしょうか?ポジティブ・ネガティブのそれぞれの側面からご紹介します。

ポジティブな影響

役職定年を導入することで、管理職だった従業員は専門職などへと舵を切り替えることになり、早くから定年後のキャリア形成に取り組むことができます。キャリア形成により、自分に合った働き方で長く安心して働くことが可能です。一方、若手従業員にとっては、成長の機会が与えられるため、モチベーション向上が期待されます。

ライフステージに合わせて自分に合った働き方ができるので、仕事へのやりがいを失うことなく働き続けられることでしょう。

ネガティブな影響

役職定年を迎える従業員にとって、役職定年はモチベーション低下の要因となる可能性があります。主な悩みとしてはは「収入の減少」「年下上司との人間関係」の2つが多いようです。一方、若手従業員にとっては、目標とした上司がいなくなる点や、将来の収入減少を不安視する可能性があります。

役職定年の不満を把握する方法3選

役職定年に不安のない人は少ないでしょう。役職者の不安を事前に把握し、払拭することが成功のポイントになります。そこで、不安を把握する方法をご紹介します。

ES調査(従業員満足度調査)

従業員満足度調査は、現在の満足度・離職の可能性などを探るための調査です。調査結果から、従業員が仕事に対して重視する点なども測定できます。測定結果を踏まえて、多くの従業員が不満に思う事柄に対してフォロー体制を整えたり、制度改革に役立てたりするのがES調査の強みです。

 

1on1面談

1on1面談は、従業員一人一人に対して細かなケアができます。特に効果を発揮するのは、ES調査で不満の強い結果となった従業員に対して1on1を行うことです。また、潜在的に不安を感じている従業員と話をすることで、役職定年への不安を払拭する機会となるでしょう。

キャリアデザイン研修

キャリアデザイン研修は、定年後のキャリアについて検討・確認する研修です。研修中、役職定年者同士で不安に思うことを共有することで、不安を話しやすくなるでしょう。また、他の役職者が持っている不満を聞くことで、自身との捉え方の違いを感じる良い機会になります。

まずは人材・組織タイプの理解が重要

役職定年を迎える従業員の不満を把握するには、ES調査が有効です。しかし、個別のケアには限界があるのではないでしょうか。そこで、毎年行っているES調査で人材のタイプや組織のタイプについて把握することをおすすめします。従業員個人と組織の潜在タイプが把握できれば、不満に思う事柄に対する事前準備ができます。

 

ES調査「ASQ」で人材・組織タイプの理解を

アスマークのES調査パッケージ「ASQ」は、役職定年者の不満をいち早く察知し、対策を立てることができます。主な特徴は3点です。

タイプ別の分類による潜在意識の把握

「ASQ」では、人材・組織・リーダーそれぞれをアスマーク独自のロジックにより4つのタイプに分類します。役職定年を迎える従業員のタイプを把握することで、潜在的な不満を察知することも可能になるでしょう。また、役職定年後のキャリアデザインにおいても、各タイプに合ったキャリアの提案に役立つはずです。

分かりやすいレポートによる改善点の見える化

「ASQ」の調査結果は、色やグラフ、ポートフォリオを駆使したレポートで出力しています。改善点がひと目で判断できるのが特徴です。また、アスマークでは、全国の有職者1万人の調査データを保有しています。このデータをベンチマークとして、同業平均との比較が可能です。比較結果を元に、役職者の傾向を知ることができます。

プロの施策提言により早期の改善着手が可能に

役職定年制度を導入したばかりの企業においては「制度を活用できているのか」「従業員にとって良い制度にしていくためにはどうすれば良いのか」などと模索している部分もあることでしょう。そこで、役職定年制度の見直しに、ES調査の活用をおすすめします。

「ASQ」のES調査結果は、組織・人材コンサルティング、生産性向上・業務効率化コンサルティングをそれぞれ専門とする2社による協力のもと、多面的に分析しています。レポートでは問題点から導き出した簡易施策を提案しているため、いち早く改善策の実行が可能です。

役職定年を迎える従業員にとっては、大きな不安・不満があることでしょう。ES調査を活用し、安心して長く働き続けられるシニア世代のキャリアデザインについて、検討してみてはいかがでしょうか。

 


執筆者

Humap編集局

株式会社アスマーク 経営企画部 Humap事業G

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