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社員の離職防止やエンゲージメント向上のために、効果的な福利厚生制度を模索している人事担当者も多いのではないのでしょうか。
近年、働き方の多様化が進むなかで「自分らしい時間を持ちたい」「リフレッシュできる余白がほしい」といった社員の声が増えています。特に、ミドル層の燃え尽きや、優秀な若手のキャリア離脱を防ぐには、“働く”と“休む”のバランスが重要な鍵となります。
こうした背景から注目を集めているのが、「サバティカル休暇」をはじめとする長期休暇制度です。
本記事では、長期休暇制度の概要や導入事例、設計・定着のポイントを解説しながら、制度活用を成功に導くための実践的なヒントをお伝えします。
「サバティカル休暇」とは、一定年数以上勤務した社員に付与される、長期有給休暇制度を指します。
学び直しや自己研鑽、心身のリフレッシュなどを目的として利用され、欧米では大学教員や研究職を中心に広く導入されています。近年では一般企業でも採用が進み、日本でも一部の企業が制度を導入するなど、注目が高まりつつあります。
■サバティカル休暇の特徴
※内容は企業によって差があります。
こうした制度は、単なる福利厚生にとどまらず、「信頼されている」「自己決定できる」という心理的な満足感を高める効果も期待できます。
働き方改革やライフスタイルの変化により、長期休暇制度は「福利厚生」の枠を超え、「人的資本戦略」の一部として位置づけられるようになっています。特に、日本企業が抱える若手社員の離職や中堅社員の燃え尽きといった課題に対し、こうした制度の導入は重要な打ち手となり得ます。
社員の世代やキャリアステージごとに直面する課題へ柔軟に対応できるのが、長期休暇制度の強みです。
■社員層ごとの主な課題と長期休暇制度による効果
若手にとっては「成長の機会を会社が後押ししてくれる」点が魅力であり、中堅層には「燃え尽きを防ぎ、再起できる余白」を与えます。管理職にとっても、「健康維持やキャリアの棚卸し」を行えることは大きな安心材料となり、結果として組織全体の離職防止につながります。
一方で、企業側にとっては「長期間社員が不在になるリスク」が懸念されますが、優秀人材の流出コストや採用・育成コストを考えれば、制度のメリットがそれを上回るケースが多いといえるでしょう。
長期休暇制度は、単なる「休養」ではなく、社員の満足度や組織へのエンゲージメントを高める重要な要素です。
■注目される背景
制度を通じて「信頼されている」「選ばれている」という感覚が醸成され、社員の定着意識が自然と高まります。
実際にサバティカル休暇や長期休暇制度を導入した企業では、離職率の改善や従業員満足度の向上といった成果が報告されています。
■株式会社リクルート
リクルートでは、勤続3年ごとに最大28日間取得可能な「STEP休暇」を導入し、取得者には30万円の支援金を支給しています。心身のリフレッシュや学び直しなど、社員が自律的に活用できる制度です。
■ヤフー株式会社
ヤフーでは、社員が自らのキャリアや働き方を見つめ直す機会を提供する目的で、サバティカル休暇を導入しています。勤続10年以上の正社員を対象に2ヶ月~3ヶ月の範囲で取得でき、休暇中の一定期間は会社から支援金も支給されます。
■大和リース株式会社
大和リースでは、社員の多様なライフステージに対応した休暇制度を設けています。地域活動への参加を支援する「ボランティア休暇」のほか、心身のリフレッシュを図るため連続5日間の年次有給休暇の取得を推奨する「リフレッシュ休暇」、61歳を迎える年度に1ヶ月間の休暇を取得できる「アラ還休暇」など、長期的な視点で社員の働き方を支える制度が整えられています。
いずれの事例も、社員の多様なライフスタイルやキャリアを支える工夫が盛り込まれており、自社に適した制度づくりを検討する際の有効なヒントとなります。
長期休暇制度の導入では、「運用上の不公平感」や「業務への支障」が懸念されがちです。制度が形骸化する原因の多くは、初期設計段階での想定不足にあります。以下の2点を軸に制度設計を進めることが、成功の鍵を握ります。
取得条件があいまいなままだと、「誰が取得できるのか」「なぜ自分は対象外なのか」という不満や混乱を招きます。特に中堅層や管理職とのバランスに注意が必要です。
■設計時のチェックポイント
制度が「単なる長期バカンス」と誤解されてしまうと、職場の士気が下がる恐れがあります。業務への影響を最小限に抑える仕組みづくりが求められます。
■実務上の工夫例
制度の目的や期待される効果を社内で共有し、「休むことへの理解」を醸成することも大切です。
導入するだけでは、長期休暇制度は定着しません。実際に使われ、効果を発揮するには「制度への理解促進」と「利用しやすい雰囲気づくり」が欠かせません。導入後の社内コミュニケーション設計が、制度の定着率を左右します。
制度の意義や取得後の効果を、全社に丁寧に伝えることが第一歩です。
■社内浸透の工夫例
こうした工夫により制度への納得感が高まると、利用も促進されやすくなります。
せっかく導入しても利用されなければ意味がありません。取得率の低下や制度の形骸化を防ぐためには、継続的な改善と社員の声の反映が不可欠です。運用フェーズこそが制度の真価を問われる場面といえるでしょう。
制度を“使いやすいもの”にすることが、利用率を大きく左右します。心理的・実務的ハードルを下げる工夫が必要です。
■フォロー体制の工夫例
制度の定着には、「活用された事実」と「実感された効果」を継続的に把握する仕組みが必要です。
■収集・検証の方法
数値だけでなく、「休暇を通じて得られた学びや変化」といった社員の声を可視化することで、制度の改善の方向性が明確になります。
施策提言まで込みの
真に役立つES調査パッケージ
長期休暇制度は、単なる福利厚生ではなく「社員が自律的にリフレッシュし、組織に還元する力」を育む仕組みです。
制度を効果的に活用するには、社員の声を把握する仕組み=ES(従業員満足度)調査の活用が鍵となります。
■「長期休暇制度」×「ES調査」のメリット
当社の「ES+(イーエスプラス)」は、従業員のリアルな声を可視化するサービスです。 新しい制度の導入にあたり、意識や満足度、運用上の課題を可視化することで形骸化を防ぎ、エンゲージメントの高い制度設計が可能になります。
■「ES+」の特長
従業員が「本当に求めている制度」とは何か。長期休暇制度を単なる施策で終わらせず、働きがいを育む仕組みへと昇華させるために、まずは「ES+」による現状把握から始めてみてはいかがでしょうか。
「調査+研修」で
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株式会社アスマーク 営業部 Humap事業G