障害者雇用における合理的配慮|3つのポイントとよくあるQ&Aを解説

この記事を読む方の中には
「障害者雇用を検討している。何を配慮すればよいのか」とお悩みの方がいるのではないでしょうか。

そこで今回は、障害者雇用における合理的配慮についてご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

合理的配慮とは?

合理的配慮とは、障害のない人と同等の機会を得るために、支障となるバリアを取り除く調整や改善のことです。障害の有無に関わらず、誰もが平等に生活できる社会を実現するために配慮します。

合理的配慮の対象となる障害者は、障害を持つ人だけではありません。障害がなくとも、一定の特性があるため社会生活で不都合が生じている人などに対しても支援が必要です。

合理的配慮の詳しい解説は、次のコラムをご参照ください。

 

障害者雇用促進法とは?

障害者雇用促進法とは、雇用の分野において障害を理由に不当な取り扱いを禁じる法律です。障害者を雇用しているすべての期間を対象とし、国や自治体、すべての事業主に法的義務が課されています。

不当な取り扱いとは「排除」「不利な条件を付けること」「障害のない人を優先すること」です。障害がある人への不利益な対応を禁ずるため、企業で合理的配慮を講ずる対応や障害者雇用の求人を出す行為は、不利益にあたりません。

障害者への対応は、配慮しないこともしすぎなこともハラスメントにあたる可能性があるため、注意が必要です。

募集・採用時の合理的配慮の例

求人の募集や採用時によくある合理的配慮の事例をご紹介します。

  • 視覚障害:試験問題の点字対応や音声案内
  • 身体障害:試験会場への移動を最短距離にする
  • 発達障害:面接の時間を延長して意思疎通をはかる
  • 精神障害:面接時に就労支援機関の職員等の同席を求める

雇用・採用時から採用後までの合理的配慮に関する指針をまとめています。障害者の雇用に迷う場合は、参考にしてみてください。

参考:厚生労働省_合理的配慮指針

 

障害者雇用で押さえておきたい3つのポイント

障害者雇用を理由としたハラスメントを発生させないために、企業ができる3つのポイントがあります。

研修で障害者雇用への知識を周知

ハラスメントの加害者は、無自覚に相手を傷つけている可能性があります。障害者雇用に関しても、知らずに間違った対応をして、相手に不快な思いをさせているかもしれません。

障害を理由に不快な思いをさせないためには、研修で障害者雇用の知識や合理的配慮について社員の認識を深めるのが効果的です。対応のポイントが分かれば、障害の有無に関わらず、多様性を受け入れられるようになるでしょう。

障害を理由に不当な対応をしない

「不当な対応をしてはいけない」ことは、当たり前と思う方も多いでしょう。しかし、不当の判断基準が不明瞭な方も多いのではないでしょうか。不当の基準は、状況によって人それぞれです。相手が「何を不当に感じるのか」に意識を向ければ、不当な対応を避けられるでしょう。

丁寧な対話とエビデンスの保存

丁寧な対話は相互理解を深めるための大切なポイントです。対話では、障害の状況や影響、配慮について検討します。話し合いの結果によっては、産業医や支援担当、社会保険労務士と連携が必要です。対話の内容は、本人と確認のうえ、議事録を残します。

障害者雇用で差別を生まないため、研修や定期チェックが大切です。現在、アスマークではハラスメント対策サービスにおいて実態調査のサービスを提供しています。実態調査で作成される報告書のサンプルを無料で配布しているので、ぜひ参考にしてみてください。

 

合理的配慮Q&A集

合理的配慮でよくある質問をまとめました。配慮にあたるかハラスメントにあたるかの判断基準に関する疑問が多いようです。合理的配慮への理解を深めて、ハラスメント対策に役立てましょう。

当事者が申し出れば何でも対応できる?

合理的配慮は、当事者が申し出れば何でも対応する訳ではありません。申し出の内容が合理的か否かがポイントです。合理的か否かは、セルフケアでは対応しきれない範囲かつ企業側も過度な負担がなく提供できる範囲を基準にします。

入社後に障害が悪化して効率が低下したらどうすればよい?

入社後の変化は、障害の有無に関わらず誰でも経験することでしょう。「障害が悪化したから」という点より「適性が変わったから今の適性に合う業務をお願いしよう」と意識を向けるのが大切です。

組織で理解すべき合理的配慮の考え方は?

組織で理解すべき合理的配慮の考え方を2点ご紹介します。

  • 障害者雇用は経営判断の一つ
  • 組織全体は平等を意識し、個々への配慮は公平に行う

従来の障害者雇用は、組織の中心とは言えない状況でした。しかし、経営判断として採用すれば、多様性が実現できていると言えます。ひいては「多様性の実現」が企業イメージのアピールへつながるでしょう。

 

平等と公平は、似て非なる言葉です。平等は、誰もが同じ能力だと画一的にとらえ全員一律の対応をする一方、公平は人によって能力には「差」があることを認め、 その人の能力に合わせて公正さを持って対応することです。労働人口の減少や市場の変化により、労働力を確保して個々のスキルを活かすことが注目されています。労働力を確保するためには、個々の希望を実現する企業が求められています。

合理的配慮とハラスメントの線引きは対話で決まる

合理的配慮とは、障害のない人と同等の生活を送るために障壁となることを取り除く調整や改善のことです。雇用の場面では、障害者雇用促進法に定められています。

障害者雇用促進法は、障害を原因とした不当な扱いを禁ずる法律です。不当な扱いとは、障害を理由とする排除や障害のない人を優先する行為を指します。障害を理由としたハラスメントの防止には、事前に障害者雇用や合理的配慮の研修を行い、共通認識を周知します。

 

合理的配慮をはじめとする障害者雇用のポイントをまとめた資料を無料で配布しています。障害者の雇用を検討している場合はぜひご活用ください。

 

 

執筆者

Humap編集局

株式会社アスマーク 営業部 Humap事業G

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