サイロ化した組織とは?部署間連携を強化する情報管理とコミュニケーション施策

はじめに:組織で進むサイロ化とその弊害

部署間の連携が思うように取れない、情報が共有されない─。
こうした悩みを抱える人事担当者は少なくありません。

近年、多くの企業で問題視されているのが「サイロ化(Silo化)」と呼ばれる現象です。サイロ化とは、部署ごとに情報が閉じ、横のつながりが弱まることで、組織全体の運営に影響が及ぶ状態を指します。

この状態を放置すると、業務効率の低下だけでなく、組織文化の断絶や部門間の不信感、心理的安全性の低下などを引き起こし、社員のモチベーションにも影響が及びます。本記事では、サイロ化の構造とその影響を解説し、部署間連携を強化するために企業が取り組むべき施策について整理していきます。

サイロ化とは?定義と発生のメカニズム

“サイロ”とは、本来、穀物を蓄える筒状の貯蔵庫を指します。この構造になぞられ、組織内で情報が縦割りに蓄積され、他部署へ流れなくなる状態を「サイロ化」と呼びます。

企業では、部門ごとにKPIや評価基準が異なることが多く、どうしても自部署の成果を優先しやすい環境になりがちです。加えて、リモートワークの普及により、以前なら自然に生まれていた偶発的なコミュニケーションが減っていることも、サイロ化を加速させる一因となっています。

サイロ化は、組織内部の構造・文化・仕組みに起因するため、自然に解消されるものではありません。この状態が続くと全社視点での意思決定や課題解決が難しくなり、変化への対応力が弱まってしまいます。

サイロ化がもたらす組織への影響

サイロ化は、単に「情報が共有されない」というだけに留まらず、組織全体の生産性や意思決定のスピードに深刻な影響を与えるため、多面的に悪影響が広がっていく点が特徴です。

意思決定の遅延と重複業務の発生

部署ごとに異なるデータを保持していたり、必要な情報が届かなかったりすると、全社的な意思決定が遅れます。また、同じ業務を複数部署が独自に進めてしまうなど、結果として重複作業が発生しているケースも少なくありません。こうした非効率な作業の蓄積は、組織の貴重なリソースを目に見えない形で奪っています。

情報格差によるモチベーション低下

情報が特定の部署に集中している状態が続くと、他部署の従業員が不公平感を抱きやすくなります。情報の偏りが不信感を生み、チームの心理的安全性を損なう要因となり、エンゲージメントの低下や離職意向の高まりにもつながりかねません。

課題と影響

サイロ化は単なる「情報共有の滞り」だけでなく、大きく「業務・コスト・心理・文化」の4層にまたがって影響を及ぼします。代表的な課題を整理すると以下の通りです。

表 サイロ化がもたらす課題と組織への影響

分類 主な課題 組織への影響
業務面 部署間での情報共有不足、重複作業の発生 生産性の低下、意思決定の遅延、顧客対応の質の低下
コスト面 部署ごとに異なるシステム・ツールの運用 ライセンス費用や管理・運用の人的コストの増大
心理面 部署間の心理的な断絶(孤立感)、他部署への不信感や対抗意識 モチベーション低下、ストレス増、離職リスク上昇
文化面 部署ごとに異なる価値観、全社の方向性が不明確に 組織文化の分断、イノベーションの停滞

 
サイロ化は“静かに進行する組織リスク”です。
特に心理面や文化面での悪化は気づきにくいため、表面的には業務が回っているように見えても、内側では社員のエンゲージメントが確実に下がっていきます。

サイロ化の原因:制度・文化・ツールの3つの壁

サイロ化は、主に以下の3つの要因が複合的に影響し合って生じます。

  • 制度の壁:部門ごとの目標や評価制度が「自部門の成果優先」を助長
  • 文化の壁:他部署との協力よりも「内向き意識」が強い風土
  • ツールの壁:システムが分断され、情報共有の仕組みがない

 
部門ごとの目標やインセンティブなども含めた評価の仕組み、長年の慣習として根付いた文化、個別最適で導入されてきたシステムなどは、それぞれは合理的に見えても、結果として「部署ごとに別々のやり方で動く」状態を強め、部門間の連携を妨げる壁になっていきます。
3つの中でも、特に「文化」と「ツール」の両面を整えることが、サイロ化の解消には不可欠といえるでしょう。

 

サイロ化を防ぐためのコミュニケーション設計

サイロ化を解消するには、「人」と「情報」をつなぐ流れを意図的に設計することが必要です。

まず、部署横断の定例ミーティングや合同ワークショップで、互いの業務や課題、成功事例などを共有する場をつくりましょう。

「共通フォーマット」で情報を提示する

たとえば、各部署が「どのような状況で(課題)」「どのようなことを行い(アクション)」「どうなったのか(結果)」「どのような成果や学びがあったのか(経験)」を、1枚に整理して共有する。形式を揃えることで、他部署の取り組みを比較しやすくなり、横展開の判断もしやすくなる。

会議の目的を「情報共有の場」と「意思決定の場」に分ける

情報共有の場で「結論」を求められると、各部署が“自分の部署を守る”方向に話が傾きやすく、結果的に情報が出てこなくなりやすい。(サイロ化の解消と逆行)
“情報を安心して出せる場”と“判断を行う場”を明確に分けることで、他部署の取り組みや課題が表に出やすくなり、サイロ化の緩和につながる。

KPTなどの振り返り手法を横展開する

KPT(Keep/Problem/Try)とは、継続すべき良い点・課題・改善策や取り組みを整理する手法です。同じフォーマットで振り返ることで、「どこが強みで、どこに改善余地があるのか」を部門横断で共有しやすくなり、成功事例の横展開もしやすくなる。

情報共有のツールや仕組みを導入するだけでなく、「どの情報を共有すべきか」「誰が見ても理解できる形で残せているか」といった観点でルールを設計することが大切です。
また、トップダウンだけでなく、現場からの声を拾い上げる「ボトムアップの仕組み」を整えることで、組織の一体感が高まります。

情報の一元化による業務効率と透明性の向上

サイロ化の解消には、部署をまたいで使える“共通の情報基盤”が欠かせません。

部署ごとに異なるシステムを使っていると、データの齟齬や更新の漏れ・遅延が起こりやすくなります。全社統一のプラットフォームを整えることで、最新の情報がリアルタイムで共有できるため、意思決定がスムーズになります。

情報基盤を機能させるためには、次のような運用ステップが役立ちます。

  1. データ更新の“責任部署”を明確にする
    どの部署がどの情報を更新するのかを決めておくことで、鮮度の高いデータを維持しやすくなる。
  2. フォルダ構造・命名ルールを統一する
    情報探しの手間が減り、部門間の摩擦も生じにくくなる。
  3. 重要な指標や状況を“誰もがわかる”形で可視化する
    主要な指標を把握できるように可視化しておくことで、部署間の認識のズレを防ぎ、スムーズな意思決定につながる。

情報の透明性が高まることで、従業員間の信頼関係や心理的安全性も向上し、部署間の協働が自然と進む土台が形成されます。

まとめ:サイロ化を防ぎ、協働する組織へ

サイロ化は、企業の成長を阻む“見えない壁”です。

しかし、部署間のコミュニケーション設計と情報の一元化を同時に進めることで、その壁を乗り越えることができます。経営層・管理職・現場が同じ方向を向き、共通の目標に向かって歩むことで、“つながる組織”が形づくられます。

そのためには、各部署の実態や日々の働き方がどうなっているかを可視化し、連携の取りやすい環境を整えることが第一歩として効果的です。

■「せきなび」によるコミュニケーション支援

株式会社アスマークの「せきなび」は、テレワークと出社、フリーアドレスなどが混在する環境で、社員の所在や状況をリアルタイムに把握し、共有できる在席管理ツールです。

部署やチームのメンバーが「今どこで働いているのか」「話しかけられる状態なのか」がひと目で確認できるため、連絡の行き違いやコミュニケーションの遅延を防ぎます。
また、フロア別・エリア別の混雑状況が可視化されるので、部署間のやり取りや対面でのちょっとした相談もスムーズに調整しやすくなります。

さらに、顔写真と名前、所属や役職などが掲載された“プロフィール”がワンクリックで閲覧できるため、従業員の物理的・心理的な“距離”を縮め、部門間連携を妨げる障壁を軽減します。

 

さまざまな働き方が混在している今、組織の中で「誰がどこで働いているのか」を可視化し、円滑な連携を促す環境を整えることは、サイロ化を防ぐうえでも重要なポイントのひとつです。
社員一人ひとりの状況や関係性が見えるようになると、連携のきっかけを意識しやすくなり、部署の壁を越えたコミュニケーションも生まれやすくなります。
アスマークの「せきなび」で、部署の壁を越えた“協働する組織”へと、一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。

執筆者

Humap編集局 株式会社アスマーク 営業部 Humap事業G
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