EX(エンプロイー・エクスペリエンス)とは?従業員の体験価値向上で組織を強くする

この記事をご覧の方の中には、「EX(エンプロイー・エクスペリエンス)とは何か?」「導入すると本当に組織が強くなるのか?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
本記事では、エンプロイー・エクスペリエンスの基本的な概念から、組織にもたらす効果、具体的な向上策をご紹介します。今後の施策立案の参考としてご活用ください。

EX(エンプロイー・エクスペリエンス)とは

エンプロイー・エクスペリエンスは、英語表記「Employee Experience」の頭文字をとって「EX」と略されます。まずはその定義と、似ている概念との違いから確認していきましょう。

EXの定義と注目される背景

エンプロイー・エクスペリエンスとは、従業員が組織に所属し、業務に関与する中で得るあらゆる体験の価値を指します。具体的には、キャリアアップによる達成感や、福利厚生制度を利用した満足感などが挙げられます。

この考え方が注目されるようになったのは2015年頃からで、HR関連のイベントや専門誌などで紹介される機会が増えたことがきっかけと考えられます。組織の持続的成長においては、従業員の能力発揮が不可欠であり、その背景にはモチベーションの維持と向上が重要な要素として位置づけられています。そこで、組織との関わりを通じて得られる体験を重視し、従業員のエンゲージメントを高めることで、生産性向上につなげようとする取り組みが広がってきたのです。

エンゲージメント・ES(従業員満足度)との違い

EX(エンプロイー・エクスペリエンス)に関連する言葉として、エンゲージメントや従業員満足度(ES)が挙げられます。エンゲージメントは、従業員が仕事や組織に対して愛着や貢献意欲を抱いている状態をあらわす言葉です。一方、従業員満足度は、業務内容や人間関係など、組織に対する満足度を指すものです。

EXは、これらエンゲージメントや従業員満足度が形成される前提となる「体験そのもの」に注目しています。ポジティブなものだけでなく、ネガティブな出来事も含め、すべての体験がEXの構成要素となります。言い換えれば、EXはエンゲージメントや従業員満足度を包括する上位の概念と捉えることができるでしょう。

 

EXを向上させる要素

EXの向上に必要な要素は次のとおりです。

  • 就業環境(多様な働き方やオフィス環境)
  • コミュニケーション
  • 企業理念やミッション
  • ダイバーシティ&インクルージョン
  • キャリア成長と研修機会
  • ウェルビーイングの推進

 

EXの質は、従業員が日々の業務を通じて得るあらゆる体験に影響されます。そのため、EXを向上させるには、多面的かつ継続的な取り組みが求められます。上に示すような複数の要素が、従業員の体験価値を高める鍵となるでしょう。

EXが組織に与える影響

EXの充実は、従業員の満足度向上やエンゲージメント強化を通じて、組織全体にさまざまな好影響をもたらします。ここでは主な3つの効果について取り上げます。

従業員満足度の向上

EXの向上は、日々の業務や職場環境を通じて得られる達成感や安心感を育みます。これにより、従業員が自らの役割に意義を見出しやすくなり、仕事への満足感や帰属意識が強まることが期待されます。満足度の向上は、離職リスクの低下や従業員の組織への忠誠心の醸成にもつながる重要な指標です。

新たなアイデアの創出

心理的安全性が確保された環境では、従業員が自由に発言しやすくなります。EXの取り組みが進むことで、部署間や上下関係を越えて意見を出しやすい環境が生まれ、個々のアイデアが埋もれずに共有されるようになります。多様な考え方の従業員が活発に意見交換することで、新規プロジェクトの着想や業務改善につながる提案など、新たなアイデアの創出につながります。

優れた人材の確保

従業員の体験価値が高い組織は、対外的にも魅力的に映ります。満足度の高い従業員が企業の良さを周囲へ自然に発信することで、企業の評判が高まり、結果として採用活動における競争力も強化されます。また、働きやすさや公正な評価制度といったEXの要素は、既存人材の定着にも寄与し、組織にとって貴重な人材を長期的に活用できる基盤となります。

EXの向上法とポイント

EXを高めるためには、現状を正確に把握したうえで、実効性のある施策を着実に実行する必要があります。ここでは、具体的な手法と取り組みのポイントをご紹介します。

エンプロイー・ジャーニーマップの活用

エンプロイー・ジャーニーマップとは、従業員が入社してから退職に至るまでのプロセスを段階的に可視化したものです。従業員が経験する各段階における心理状態や想定される課題、次のステップへ進むために必要なKPIなどを盛り込むことで、キャリア全体の流れを体系的に捉えることができます。

マップの作成にあたっては、具体的な従業員像(ペルソナ)をイメージしてから作成すると、組織が提供する経験を具体的に検討できます。また、部署ごとの違いや時代背景も加味することが重要です。実態と解離しないよう、定期的な見直しと更新を行うことで、より効果的なマップとして活用できます。

労働環境の整備

労働環境を整えると、満足度やエンゲージメントの向上が見込めます。具体的には、以下のような項目が挙げられます。

  • 健康経営
  • オフィス環境の整備(休憩室やカフェの設置など)
  • コミュニケーション施策の実施(社内イベントやツールの導入)
  • 評価制度の見直し
  • 研修機会の提供
  • ダイバーシティ&インクルージョンの推進
  • 多様な働き方の推進(テレワークの導入)

 

EXの中核をなすのが、従業員が安心して能力を発揮できる職場環境の整備です。健康経営や評価制度の透明性、柔軟な働き方の推進といった施策は、働く上での基盤を支えます。
なかでも、評価や表彰による承認欲求の充足、リラックスした場での非公式なコミュニケーションの機会は、業務外の満足度にも深く関わります。制度面と感情面の両輪で環境整備を進めることが、EX向上のカギといえるでしょう。

 

従業員満足度調査の実施

EXに関わる施策は多岐にわたるため、手当たり次第に実施しても、高い効果は実感しにくいのが実情です。まずは調査を実施して、現状の把握と課題の特定を行いましょう。優先度の高い施策から実施することで、短い期間で効果を実感しやすくなります。 また、調査は施策の効果測定にも活用が可能です。定期的に調査を実施して、従業員の意に沿った施策を実行しましょう。

組織にあわせた施策の選定には「ASQ」

EX(エンプロイー・エクスペリエンス)とは、従業員が得るあらゆる体験価値をあらわします。
EX向上に向けた取り組みは多岐にわたりますが、すべての施策を一律に導入しても効果的とは限りません。重要なのは、自社の課題や従業員のニーズを的確に把握し、優先度の高い施策から着手することです。
そのためには、定期的な従業員満足度調査が欠かせません。

アスマークの「ASQ」は、従業員の声を可視化し、組織の改善すべきポイントがひと目でわかる従業員満足度調査サービスです。経験豊富なプロの調査設計と分析力で、組織の課題をあぶり出します。色分けやグラフを用いたわかりやすいレポートには具体的な施策提言も含まれているため、調査結果を見て終わりにせず、すぐに具体的なアクションへとつなげることができます。

効率的かつ実効性の高いEX施策の検討に、ぜひご活用ください。

執筆者

Humap編集局

株式会社アスマーク 営業部 Humap事業G

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