パタハラ(パタニティハラスメント)とは?具体例から予防策・対応策を紹介

この記事を読む方の中には

「パタハラについての相談が増えた」とお悩みの方がいるのではないでしょうか。

そこで今回は、パタハラの概要と予防策・対応策についてご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

タハラ(パタニティハラスメント)とは?

パタハラとは「パタニティハラスメント」の略で、男性の育休申請、子どもの看病休暇を理由に、嫌がらせを受けることです。なお、国が定めた法令や指針では、「職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント」という言葉を使用しており、「パタハラ」という言葉は使用されていません。「等」にパタハラが含まれています。

パタニティ(paternity)は「父性」を意味し、パタハラは妊娠・出産・育児に関するハラスメント行為を分かりやすくするための造語です。パタハラと比較される言葉として「マタハラ」があります。両社の違いは以下です。

「制度等の利用への嫌がらせ」とは具体的には、育休や子の看護休暇等を取りたいと言った従業員に対する「男が育休を取るなんてありえない」等の言動や、「休むなら降格させるぞ」等と解雇や降格、退職を迫る行為などがあります。

 

タハラ問題の現状

厚生労働省の調査によると、2021年現在の育児休業取得率は、男性が13.97%、女性が85.1%と、取得率にかなりの開きがあります。育児休業日数も、男性は90%以上が6ヵ月未満、女性は8ヵ月以上18ヵ月未満が7割以上を占めるなど、育児休暇に関する男女格差は大きいです。

2022年1月に行った当社の自主調査では、約51%の男性が「子供ができたら育休を取りたい」と回答していますが、一方で「自分の会社は男性が育休を取りやすい雰囲気だ」と回答したのは約25%に留まりました。

パタハラをはじめとする社内の雰囲気や、会社側の制度不備等が男性の育休取得に歯止めをかけていると考えられます。

また、経済的事情により、男性が育休を取得しにくい環境もあります。2022年に財務省が発表した「男女間賃金格差の国際比較と日本における要因分析」によると、日本の男女間賃金格差はG7(カナダ除く)等比較対象国11カ国中最下位です。

これは、女性のパートタイマーの比率が高く、労働時間が短いことが要因として考えられます。

このような日本の男女間賃金格差から「男性が育児休業を取ると家計が回らなくなってしまう」と、本人の意向に反して育休が取れない現状もあるようです。

参考①:厚生労働省 令和3年度雇用均等基本調査

参考②:財務省 男女間賃金格差の国際比較と日本における要因分析

 

 

タハラが発生する原因

パタハラが発生する原因は、企業側の体制整備不足や、従業員の理解不足にあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

企業側の体制整備不足

第一に、企業側の体制整備不足が、パタハラを引き起こす原因です。整備不足が考えられる項目は主に5点です。

  • 業務から従業員が抜けたときの運用フロー
  • 男性の育児休暇の取得時、復帰時の手続き
  • 育児休暇取得中のフォロー体制
  • 「育休は女性だけでなく男性も含めた全従業員の権利」という周知・啓蒙活動
  • 男女の賃金格差

企業は、育休を希望する従業員に対し、育児休暇を取得させなければ違法になります。育児・介護休業法で男女の区別なく認められた権利です。ですが、体制整備不足なため、男性が取得する育休への企業の理解が乏しく、パタハラが発生しやすい傾向にあります。

 

従業員の理解不足

第二に、従業員の理解不足が、パタハラを引き起こす原因です。

日本では、古くから「男性は仕事・女性は家事・育児に専念するもの」という固定観念がありました

近年は、男女差を解消しようという流れが強くなったものの、年配の社員は特にこのような固定観念を解消しきれていないこともしばしばあり、パタハラが発生しやすい傾向にあります。

また、仕事が忙しく休みを取りづらい雰囲気の会社も、仕事への影響懸念から育休などに対する理解が乏しく、パタハラが発生しやすいと言えるでしょう。

 

 

タハラの具体例

パタハラでは、大きく2種類に分けられます

  • 男性が育休等をとることに対して、嫌み・悪口を言われる
  • 育休等の取得を起因として、不当な扱いをする(配置転換・降格、昇進の機会を与えない)

典型的な例を上げると、以下のようなものがパタハラにあたります。

・育児休業の取得について上司に相談したところ、「男のくせに育児休業を取るなんて あり得ない」と言われ、取得をあきらめざるを得ない状況になっている。

 ・産後パパ育休の取得を周囲に伝えたところ、同僚から「迷惑だ。自分なら取得しない。 あなたもそうすべき」と言われ苦痛に感じた。

・上司・同僚が「子供の世話で何度も休んで迷惑だ。」 と繰り返し又は継続的に言い、就業をする上で看過できない程度の支障が生じている

 

業がとるべきパタハラの予防策

企業がとるべきパタハラの予防策は5つあります。

育児休暇制度の整備

2022年10月から育児・介護休業法で「産後パパ育休制度」「育児休業の分割取得」が創設されました。

「産後パパ育休制度」は、産後8週以内に最大28日の育児休暇を分割して2回まで取得できる制度です。

「育児休業の分割取得」は、今までまとめての取得が必要だった育児休業を、父母問わず、産後1年以内に分割して2回まで取得できるようになりました。育児休業の分割取得により、短時間勤務も可能です。

また、男女を問わず育休が取得できる旨およびその内容の通知・説明、取得意向の個別確認も義務付けられました。従業員に子供が産まれることが分かった場合には、会社側から育休を取りたいかの意向確認を行うことが必要です。

    参考:育児・介護休業法改正のポイント

     

     

    就業規則の改定

    育児休業制度が変われば、その内容を就業規則などの規定に反映する必要があります。制度をもとに、企業がパタハラを許さない姿勢を前面に出しましょう。

    相談体制の設置

    ハラスメント相談体制は、すでに整っている企業が多いのではないでしょうか。そこで、現在のハラスメント相談体制に「パタハラ」を加えましょう。必要な体制は以下の通りです。

    • 相談窓口
    • 通報後の調査担当者
    • プライバシー保護(通報者・当事者・関係者)
    • 不利益な扱いをしない(通報者・当事者・関係者)
    • パタハラ通報受付後、迅速な対応をとる
    • パタハラ調査終了後、今後の対策をとる

    基本的には、パワハラ・セクハラなどと同様の整備を行います。一度、企業のハラスメント相談対応について見直してみるとよいでしょう。

    育休制度の周知・啓蒙活動

    育休制度の周知・啓蒙活動は「全従業員向け」「管理職向け」が必要です。

    全従業員へは「育児休業制度の概要」「就業規則変更」「相談体制整備」を周知します。一方、管理職向けには、育児休業の推進と今までの固定観念がある場合は認識を改めるよう、周知が必要です。

    パタハラの周知は、定期的にハラスメント対策として触れましょう。パタハラの早期察知・周知には「CHeck」のようなハラスメント対策パッケージを使用すると、自社の課題が見えるとともに、パタハラの啓蒙活動につながります。

     

    厚生労働省の取り組みに参加

    厚生労働省では、男性の育休取得率向上へ向けて、あらゆる取り組みをしています。取り組みへの参加を通じて、男性の育休が取得しやすくなる効果があります。具体的な取り組みは、厚労省の「育MENプロジェクト」をご参照ください。

    参考:厚生労働省 育MENプロジェクト

    タハラが起きた際の対応策

    実際にパタハラが発生した場合の対応策をご紹介します。

    1. 1.事実関係の確認
    2. 2.被害者のケア
    3. 3.加害者の処分
    4. 4.再発防止の取り組みを策定

    基本的に、パワハラ・セクハラと同じ流れです。パタハラについても通報・ヒアリング・対策にいたるまで記録を残しておきます。

    タハラ・マタハラを考えよう

    パタハラについてご紹介しました。パタハラは、育児休業取得に際し不快な思いをすることで、企業側の体制整備不足や、従業員の理解不足により発生します。

    パタハラ対策には、男性の育児休業制度の整備、従業員への啓蒙活動などが必要です。

    女性の活躍を推進している現代、男性の育児参加は不可欠です。男性の育児休業を推進し、女性活躍社会を作り上げることが国の成長につながり、家族のライフワークバランスが保てます。

    これを機に、今一度パタハラ・マタハラについて考え直してみてはいかがでしょうか。

      執筆者

      Humap編集局

      株式会社アスマーク 経営企画部 Humap事業G

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