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この記事を読む方の中には 「最近よく聞くノーレイティングとは何?」とお悩みの方がいるのではないでしょうか。
そこで今回は、ノーレイティング制度についてご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
ノーレイティングとは、ランクを付けない人事評価制度のことです。2010年代からアメリカの企業で始まり、近年の日本企業においても注目されています。従来の評価制度との違いやノーレイティング導入の背景と目的をご紹介します。
従来の評価制度としてよくある方法は、企業が設けた基準を元に「ランク付け」で評価するレイティング制度です。半年または一年など、定期的に人事評価が行われ、決定したランク付けによる評価が従業員へ伝えられます。給与・賞与や昇格は、評価と連動しているのが一般的です。 一方、ノーレイティング制度は、面談は週次など頻繁に行われ、設定した目標の進捗を確認します。最終評価は面談を実施する上司により決定し、給与・賞与や昇格に反映する仕組みです。
ノーレイティングが導入される背景には、従来の評価制度に対する課題解消と、企業を取り巻く環境の変化があります。
レイティング評価の多くは、半期または1年ごとに評価が行われます。過去の業績を元にした評価のため、納得感を得にくい点が課題です。この課題を解消するため、リアルタイムでフィードバックが受けられるノーレイティングが導入されるようになりました。
変化が激しい現代において長期的な育成計画を基準に評価をしてしまうと、変化した実態の業務と評価基準が合わずに正当な評価ができないといったことになりかねません。
そこで、企業を取り巻く状況に即した人材を育成するために、ノーレイティングを導入すると良いでしょう。
ノーレイティング制度のメリットは、主に2点です。
今の日本は、時代の変化が目まぐるしく、外部環境は常に変化しています。ノーレイティングを導入することで、変化に合わせ柔軟にフィードバックが受けられる点がメリットです。
従来の評価制度だと柔軟性にかける制度も多く、過去の業績を元に評価していると納得感が得られず、モチベーション低下を引き起こす可能性があります。ノーレイティングは、リアルタイムの評価が得られるため、結果に納得感が生まれます。納得した評価が受けられるためモチベーションが上がり、生産性向上も期待できます。
ノーレイティング制度は、デメリットを知ったうえで導入を検討しましょう。主なデメリットは2点です。
ノーレイティング制度は、上司との面談によって評価が決まります。一定の基準を元に評価を付けるものの、明確な基準がないため、しっかりとコミュニケーションを取り、なぜそのような評価にしたのか理由をしっかりと示せないと納得感が得らず、デメリットとなりえます。
週次など頻繁な面談で評価を決定するため、従来に比べて管理職の面談回数が増えます。面談の時間が増えることに加えてリアルタイムでフィードバックするため、日々、しっかりと従業員の管理・評価を行うマネジメントスキルが必要になります。管理職の人は時間やスキルなど求められるものが大幅に増えるため、大きな負担になる可能性があります。
ノーレイティング制度における給与の決め方に明確なルールはないですが、代表的な給与の反映方法をご紹介します。
上司に昇給・昇進の権限を付与し、組織へ分配された予算の中から昇給額を決定する方法です。この方法は、評価者によって基準が変わるため、組織間で整合性がとれない恐れがあります。そこで、組織間の整合性をとるために、調整・目線合わせをする場合もあります。
上司の裁量によって人件費の予算から分配して、部下の給与を設定する必要があるためノーレイティング制度の導入をためらう日本企業も少なくありません。
ノーレイティング制度を導入している事例をご紹介します。
国内の老舗菓子メーカー「カルビー」では、「Commitment & Accountability(約束と結果責任)」という評価制度があり、自ら公約をかかげて実行に移していく仕組みを採用しています。 上司と部下の間でC&A契約を結び、その達成度に応じて賞与の受給額が決まる制度です。
海外の複合企業「General Electric」で導入するノーレイティング制度は、「Fastworks」と呼ばれる評価制度です。具体的には、専用アプリを使用し、日常的に上司部下とやり取りをしフィードバックが受けられる環境を構築しています。
参考:アルドーニ株式会社 GEとAdobe、人事評価制度やめたってよ。目的のためには手段はどんどん変えていく
ノーレイティング制度をスムーズに導入するにあたり着目すべき、5つのポイントをご紹介します。
制度の導入前に、評価制度に対する課題を可視化しておきましょう。例えば、正しく評価が得られていないという不満がある場合、上司によるフィードバック不足が原因なのか、柔軟性にかける評価制度が原因なのかなど正しく課題をとらえることが大切です。ノーレイティングを導入することで解消が可能な課題か、別に原因があるのかまずは従業員の声を拾い上げ正しく課題を可視化しましょう。
組織によっては、ノーレイティングが合わない可能性があります。例えば、面談できる管理職が少ない場合です。ノーレイティング制度は、上司による面談ができなければ、制度そのものが形骸化する恐れがあります。メリット・デメリットと組織の課題を把握したうえで、導入を検討しましょう。
レイティングからノーレイティングへ変更するには、大幅な規定の変更が必要です。評価方法および給与への反映方法を改定するとともに、管理職の権限と給与についても別途触れておきましょう。
ノーレイティングを導入すると、管理職が評価を付けるため、スキルが求められるだけでなく、心身の負担が増えます。管理職がスムーズに評価を付けられるよう、研修などのフォロー体制を整えておきましょう。組織によっては、管理職の負担を減らすためにサブポジションを選定する組織もあるようです。
評価を受ける従業員の理解が得られなければ、制度が意味を成さなくなる恐れがあります。そこで、従業員へ制度を浸透させるために、次の項目を説明します。
制度の開始後は、組織のビジョンが業務目標に大きく関わります。そこで、従業員が目標を設定できるよう、定期的に組織のビジョンや課題を発信しましょう。ビジョンを基準に目標設定や評価を行うことで、組織間のブレが少なくなります。
アスマークの「ASQ」は、満足度や離職意向、従業員のタイプが把握できるES調査サービスです。 ES調査を通して従業員の本音を聞き出すことができるため、自社のどこに不満や課題があるのか組織の課題を可視化することが可能です。
調査設問はカスタマイズも可能で、ノーレイティング制度が自社にあうのか判断できるような設問を組み込んだり、評価制度について深く掘り下げることも可能です。
また「ASQ」では組織のさまざま課題を可視化できるだけでなく、課題に沿って人事コンサルによる簡易施策提言が付くため、幅広い組織改善施策を検討することが可能です。
施策提言まで込みの
真に役立つES調査パッケージ
ノーレイティング制度の導入をはじめ新しく制度を実施する際には、従業員の意向を確認しながら実施を検討する必要があります。組織の課題を正しく理解するためには、ES調査が有効です。施策提言までついたES調査サービスを活用してみてはいかがでしょうか。
株式会社アスマーク 経営企画部 Humap事業G