男女の賃金格差はなぜ起こる?性別によらず働きやすい職場を作るには

この記事を読む方の中には

「男女の賃金格差を改善するにはどうすればいいのか」とお悩みの方がいるのではないでしょうか。

 

そこで今回は、男女の賃金格差がある理由と性別問わず働きやすい組織を作るための取り組みについてご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

男女賃金格差の現状とその複雑な要因

男女間の賃金格差は、SDGsで掲げる目標の一つ「ジェンダー平等の実現」を達成するうえで、世界的に重要な課題です。現在、国内外の統計データと日本の賃金格差の特徴をご紹介します。

賃金格差の現状と国内外の統計データ

賃金格差を示すデータには、OECD(経済協力開発機構)が発表しているものがあります。男性の賃金を100とした場合、女性の賃金との差を示すデータです。結果の数値が大きいほど格差があります。

 

2022年の「男女間賃金格差」によると、世界の平均男女間賃金格差は12.1%でした。一方、日本は21.3%と、G7(主要7ヶ国)の中で最も格差が大きく、世界平均と比較しても大きな開きがあります。

 

参考:OECD(経済協力開発機構)_男女間賃金格差 (男女間賃金格差)

日本特有の賃金格差の傾向と特徴

日本の男女間賃金格差は、世界の平均と比較しても大きく開いています。厚生労働省が発表している「2022年賃金構造基本統計調査」によると、男女間賃金格差は24.3%でした。しかし、男女間賃金格差の推移を見ると、2001年の34.7%と比較すると、年々格差が縮小しています。

 

参考:厚生労働省_令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況

賃金格差を生む根本的な理由

賃金格差の開きが解消しないのは、ジェンダーロールや女性のキャリアパス、教育と家庭環境など、日本に根強く残る意識があるためです。具体的にご紹介します。

ジェンダーロールと社会的期待の影響

2016年に施行された女性活躍推進法により、男女間の賃金格差を解消する動きがあります。しかし、古くから根強く残るジェンダーロールのため、性別によって男性は営業や企画、女性は受付や事務といったように、仕事の役割を決めつける意識が未だに残っていることは否めません。

 

ジェンダーロール意識が根深く残っていることが、性別ごとの仕事内容の差を生み、その仕事に合わせた給与を受け取るため、格差が解消しないのです。

 

非正規雇用と女性のキャリアパス

賃金格差が大きい理由の一つは、女性の非正規雇用率が高い点と女性のキャリアパスが機能しきれていない点があげられます。総務省が発表した労働力調査によると、2023年12月時点で女性の非正規雇用は54%と半数以上でした。男性の場合は23%と2倍以上の差があります。

 

正規雇用と非正規雇用の給与が異なるため、非正規雇用が多い女性との賃金格差が生まれるのです。

 

参考:総務省_労働力調査

家庭における役割の影響

男女の賃金格差は、家庭における役割意識にも原因があると言われています。
先ほどは仕事におけるジェンダーロールについて述べましたが、こちらは家庭内における家事育児は女の仕事といったジェンダーロールによるものです。
家事育児の負担が女性に集中することにより、フルタイムでの仕事が難しかったり、長期の育休を取らざるを得ないことで賃金にも影響が出てきます。

男女格差による組織への影響

男女の格差があると、組織の運営にも影響を及ぼします。具体的な影響は3つです。

生産性の低下

男女の格差を従業員が感じ取ると、不公平さを理由に男女ともに意欲が低下します。昇進が見込めないことで意欲が下がる女性もいるでしょうし、逆に育休が取りづらいことで意欲が下がる男性もいるでしょう。従業員の意欲が下がれば、必然的に生産性が下がっていきます。

ジェンダーダイバーシティの欠如

男女格差は、ジェンダーダイバーシティの欠如も招きます。ジェンダーダイバーシティとは性的多様性のことです。男女間で格差や差別意識もなくならないようでは、LGBTQ+などに対する意識を高めるのは難しいでしょう。差別意識が強い状態では、セクシャルハラスメントを招くおそれもあります。

組織の競争力への影響

女性が活躍できていない職場と、性別を問わず活躍できている職場では、当然後者の方が生産性も競争力も高くなるでしょう。

また、近年は、女性活躍やダイバーシティは株主などからも注目されている項目です。こういった対策を疎かにすることは企業イメージの低下も招くでしょう。

男女格差の解消に向けた具体的な取り組み

男女格差は組織に多大な影響を及ぼしかねません。そこで、男女格差を解消するために、組織ができる取り組みをご紹介します。

育休等の制度や規則の整備

男女格差は、役割意識の強さが理由の一つです。男女の格差を解消するためには、家事や育児など、女性が多く担っている業務を分担することから始まります。既に育児休業制度は普及しているものの、2022年度現在の男性育休取得率は17.13%です。

 

男女問わず育児休業制度を利用できるように制度や規則を整備し、浸透させることで、男女格差は解消していくでしょう。

 

参考:厚生労働省_令和4年度雇用均等基本調査

 

組織全体の意識改革

男女格差がある原因の一つとして、ジェンダーロールがあります。仕事に男女の区別をつけていては、格差は埋まりません。職務内容と責任の範囲を明確にし、公平な判断基準を設けるなど、組織全体で格差をなくす意識を植え付ける必要があります。

性別にかかわらず活躍できる組織風土作りが大切

ジェンダーロールへの意識が強いと、ハラスメントを引き起こす恐れがあります。女性はお茶くみをしろといったセクハラや、男性へ育休の取得を認めないといったパタハラなどのハラスメントにつながるでしょう。

 

そこで、性別にかかわらず従業員全員が活躍できる組織風土を確立することが大切です。

ハラスメント防止「CHeck」

アスマークの「CHeck」は、ジェンダー差別やハラスメントをなくす組織風土作りに役立つサービスです。

 

「CHeck」は、5つのサービスメニューがあります。

 

  • リサーチ:教育や周知啓蒙につながる実態把握アンケート
  • リサーチLGBTQ+:リサーチにLGBTQ+関連の設問を加えた実態把握アンケート
  • 研修:LGBTQ+・アセスメント・有資格者による研修など豊富をそろえた研修
  • ハラスメント外部相談窓口:匿名性の高い外部相談窓口
  • 予防対策サポート:ハラスメントのルール整備をサポート

 

リサーチ、研修、LGBTQ+を取り扱うメニューを通じて、性別問わず働きやすい職場作りに役立ちます。

 

日本における男女の賃金格差は、世界の平均と比較しても大きく開いています。年々格差は減少しているものの、根強いジェンダーロールのため、世界平均まで格差を埋めるには企業や個人単位での努力が必要です。

 

男女格差のある組織は、ハラスメントを引き起こし、生産性や組織競争力に影響を及ぼしかねません。そこで、育休等の制度整備や組織全体の意識改革が大切です。

 

組織の制度や意識を改革するために、研修や実態把握アンケートなどを活用してみてはいかがでしょうか。

執筆者

Humap編集局

株式会社アスマーク 経営企画部 Humap事業G

「あなたの組織の従業員総活躍をサポートしたい」の理念のもと、在席管理、パワハラ防止法対策、ES調査、RPAなど組織の働き方改革を応援する6つのサービスをご提供しています。

humapの編集ポリシー

パタハラは仕方ない?よくある事例と組織ができる対策を簡単に紹介

パタハラとは、男性が育児目的の制度を利用すること。
パタハラの事例と対策についてご紹介。

女性活躍推進法への対応、組織の実態が把握できるES調査

女性活躍推進法(正式名称:女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)は、女性が働きやすい環境作りを目指して制定された法律のこと。
女性活躍推進法の定義と課題解決手法についてご紹介。

おすすめ記事