
INDEX
外国籍社員の受け入れや多様性推進を進める中で、ハラスメント対応に課題を感じている企業は少なくありません。
レイシャルハラスメント(人種や国籍に基づく嫌がらせ)は、個人の尊厳を損なう行為であり、職場の信頼関係を崩す要因にもなります。悪意の有無に関わらず、放置すれば、従業員の離職やモチベーション低下を招くだけでなく、国際的な企業評価やブランド価値の毀損にもつながる深刻な問題です。
近年では、DE & I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)やグローバル人材の活用が注目される一方で、防止策を怠れば「経営リスク」として企業の信頼や持続性を損なう恐れがあります。
レイシャルハラスメントとは、人種・国籍・文化的背景を理由とする差別的な言動や、不利益を与える行為を指します。
こうした行為は無意識に行われるケースも多く、悪意の有無にかかわらずハラスメントに該当する場合があります。特に注意が必要なのは、「無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)」です。
たとえば、「日本語が上手ですね」「海外では○○なんでしょう?」といった一見フレンドリーな会話も、相手にとっては“他者化”を感じさせる場合があります。日常会話の中に潜む差別的構造を理解し、意識的にコミュニケーションを見直すことが、ハラスメント防止の第一歩となります。
※「他者化」とは、自分とは異なる存在として相手を区別・分類し、無意識のうちに距離を生んでしまうことを指します。
無意識の言動が放置されると、当事者の孤立や信頼関係の崩壊につながるおそれがあります。
日本でも、外国籍社員への差別的言動が労働審判や訴訟に発展した事例があります。海外ではさらに厳格で、米国や欧州では人種差別的行為に対する法的制裁が強化され、巨額の賠償金やブランドの失墜につながるケースも報告されています。
現代はSNSや口コミサイトによって情報が瞬時に拡散される時代です。社内の問題が社会問題化し、採用活動や取引先との関係にまで影響を及ぼすリスクがあります。経営層は「社内だけのトラブル」では済まされないことを認識なければなりません。
多様性を尊重する経営は、企業価値を高める重要な戦略です。しかし、社内にレイシャルハラスメントが存在すれば、ダイバーシティ推進は形骸化し、むしろ逆効果を生む結果となります。
■企業に与える影響
| 領域 | 影響 |
|---|---|
| 企業価値 | ブランド毀損、国際市場からの信頼低下 |
| 人材 | 外国籍社員の離職、採用難の加速 |
| 経営リスク | SNS炎上、取引先・株主からの批判 |
レイシャルハラスメントの予防は、現場任せでは十分に対応できません。経営層が主体的に理解し、リスクマネジメントの観点から取り組むことが求められます。
主なリスク
加えて、経営層は「レピュテーションリスク(評判リスク)」への意識を高めることが求められます。社会問題化した際には、企業の対応スピードや姿勢がメディアや世論から厳しく評価されることになります。
そのため、初動対応を明文化した「危機管理マニュアル」を整備し、法務・広報・人事が連携して迅速に対応できる体制を構築することが重要です。社会的信頼は、一度の対応ミスで容易に失われることを忘れてはなりません。
国際的には「DE & I(Diversity, Equity & Inclusion)」の取り組みが企業価値を測る基準の一つとなっています。投資家や金融機関は、環境・社会・ガバナンス(ESG)の観点から、企業の多様性への取り組みを評価軸に含めるようになっています。
つまり、レイシャルハラスメント防止は「社員を守るため」だけではなく、「市場や投資家から選ばれる企業」になるための必須条件です。外国籍人材を受け入れる日本企業にとっても、経営戦略と直結したテーマといえるでしょう。
レイシャルハラスメント防止の鍵は、経営層のリーダーシップと全社員の意識変革にあります。
加えて、現場での“自浄作用”を高めることも不可欠です。定期的なハラスメント研修に加え、異文化コミュニケーションのケーススタディを取り入れることで、社員が「どのような発言・行動が相手を傷つけるのか」を具体的に学べます。
また、管理職向けには「通報を受けた際の対応手順」や「再発防止策の立案」を含む実践的なトレーニングを実施し、現場対応力を強化しましょう。
外国籍社員を含む多様な人材が能力を発揮できる環境づくりは、企業の成長に直結します。
■整備すべき領域と取り組み例
| 領域 | 取り組み例 |
|---|---|
| 言語・文化配慮 | マニュアルの多言語化、文化背景の理解促進 |
| 心理的安全性 | 発言機会の平等化、意見を尊重する会議運営 |
| キャリア形成支援 | 公平な評価制度、昇進機会の確保 |
レイシャルハラスメント防止は「守りの施策」にとどまりません。多様な人材が心理的安全性のもとで働ける環境は、イノベーション創出や国際競争力の強化につながります。
つまり、防止策は「リスクマネジメント」であると同時に、「企業成長のドライバー」でもあるのです。
レイシャルハラスメントは、個人の尊厳を脅かすだけでなく、企業のコンプライアンスや経営リスク、ひいては企業価値に直結する課題です。防止策は単なる人事対応ではなく、経営戦略の一部として位置づける必要があります。
「CHeck」は、従業員意識調査とハラスメント研修を組み合わせ、レイシャルハラスメントを含むさまざまな職場ハラスメントを従業員が“自分事”として捉え、未然に防ぐためのサービスです。
こうしたサービスを活用いただくことにより、単なるコンプライアンス対応を超えて「企業価値を高めるダイバーシティ経営」の実現を支援します。
本記事では、レイシャルハラスメントの定義と影響、経営層が押さえるべきリスクマネジメントの観点、防止策や環境整備のポイントについて解説しました。自社のダイバーシティ経営推進やハラスメント防止施策の強化にお役立てください。
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株式会社アスマーク マーケティング・CSチーム運営
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プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000593.000018991.html
監修:竹中 重雄(Shigeo Takenaka)
株式会社アスマーク マーケティング管轄 マネージャー
リサーチ業界およびマーケティング領域で10年以上のキャリアを持つスペシャリスト。従業員満足度調査「ASQ」のサービス立ち上げに参画し、業界比較分析も起案。人材コンサル会社と協力し「やりっぱなしで終わらせず、改善できるES調査」の開発を主導。
本記事の監修にあたって: 自身の豊富な実務経験に基づき、公開情報の正確性と、読者の皆様のビジネスに即した実用性を厳格に審査しています。